第32話 そんな反応あってたまるか

-side アラン-




「…。あの。ごめん。」


 目の前で落ち込むライバル魔族少年を前に焦る俺たち。



「うっ…うっ…。くっそなんでこんなやつにま………………………。


 な、なんでお前が謝るんだよ。

 お前は俺に勝ったんだぞ。すげえじゃねえか全く。自信持てって!

 お前は俺の…ライバルだ!!」



 …いまあからさまに、どこからか圧力がかかって、セリフを言い直させられてたよな?


 その証拠にちょっと、笑顔なのにちょっと眉間に皺が寄ってるし、目も赤くなっている。か、可哀想すぎる。


 これが運営に優遇されていない本当のライバルキャラか。

 俺はこの先、このキャラと戦ってかたなければならないのか。

 そ、そんなこと、俺は出来ないぞ!



「分かるワン。この不憫キャラには絶対に負けてあげないといけないワン。

 魔族だろうと関係ないワン。

 絶対に負けてあげるワン。」




「そうだな。次は絶対に負けるから覚悟しとけよ。」


「あ、ああ。…?負ける?勝つの間違いじゃないか?

 全く、しっかりしろよ?お前は俺のライバルだろ?」


 な、なんて優しくていいやつなんだ。

 こ、こんなキャラを操作する何者かを俺は許せない…。





 アッシュ(くそちゃばんおつー。)






 その後、俺たちは一旦別れ学園祭のバトルで向こうは必ず勝つ、こちらは必ず負けると、

 お互いリベンジを誓うと約束してから別のところへ向かうことにした。



「今度はどこへ行くんだ?」


「ライブステージだよ。ほら、攻略キャラ総選挙があるだろ?」


「あ、ああ。そういえばそんなのもあったな。」


 モブ男くんがやったら強い総選挙だよな?

 そういえば、最近モブ男くんを見てないな。

 意識しないと見えない幻のシックスマンだから仕方ないのかもしれないが。



「出場する選手はみんな歌や踊り、特技、決め台詞の練習などをしなければならないんだけど、その日程調節のためにね。」


「ふーん。って、なんで俺も行くことになってるんだ?」


「え?だって君も出るでしょ?」


「え?そんなもの出るわけないだろ。」


「でも出場したら、5000兆円プレゼントらしいよ?」


「行きます。参加させてください。」


「手のひら返し早すぎるワン。それに、胡散臭すぎる賞金額ワン。」



 しかし、5000兆円ほしい!



「ダメだこいつ。金に目が眩んで話が通じてないワン。これは仕方がないワン。」



 そんな話をしながら、ステージにいると王冠を被ったモブ男くんがいた。


「モブ男くん。久しぶり!」


「え?昨日もいましたけど。」


「え?あ、そうだよな。ごめん。」


「いいんです。いつものことですから。」


 お前も不憫キャラだよな。

 総選挙やたら強いから王冠被ってるけど。



「まあ、総選挙の説明にみんなを呼び出したけど、あんまりやる事も言うこともないかな?

 適当にやればいいんだよ。頑張れ!」


「へ?じゃあなんで呼び出したんだよ。」


「それは僕の王冠を見せつけるためだよ。じゃっ。」


 お、おう。モブのくせに人気があるのがわかる気がするぜ。



「はあ。色々あったけど、明日から学園祭だね。」



「ああ。そうだな。ん…?明日?」


「…?そうだよ。」


「…お、おう。」


 流石乙女ゲーム。ハードスケジュール。





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