第31話 絶対に勝ってはいけない戦い。
-side アラン-
「はじめまして!お前!タイプ相性が分かるんだな!」
「え?あの…どういう事だい?」
いきなりのご挨拶に、ウィリアムが困惑した様子でそういう。
「とぼけるなよ!従魔バトルのことに決まってるだろ?」
「ああ…。」
「俺はな!幼少期の頃からダークド博士に憧れて従魔バトルの練習をしていたんだ!
だから、誰にも絶対負けねえぜ!」
あっ・・・(察し)。
なるほど。これは、負けてあげないといけないやつだな。
少なくとも、俺だったら、そうする。
「そこのお前!勝負しろ!」
俺にまわってきたか。
良かったな。真剣に勝負してしまって、お前に勝ちそうなウィリアムではなくて俺を選んで。
「ああ。分かった。」
俺は俺でうまくやろう。絶対に勝ってはいけない戦いがここにある。
「んんっ。ではルールを説明するかの。」
あ、そういえば影めっちゃ薄くて気づかなかったけど、おじいちゃんの方もいたね。
この人がダークド博士か。
「従魔バトルは、ターン攻撃制じゃ。自分と相手が交互に攻撃する。」
ふーむ。なるほど。
だったら、相手にも攻撃するチャンスがあるしうまく負けれそうだな。
「いけっ。ブカ様!」
「ブカブカッ!ってこれブカブカだなも。
もう少しフィットした着ぐるみを用意するだなも。」
「待て待て待て待て」
あの会社の色々なキャラが混じりすぎだぞ。
○カ様はそもそも話さないし、だなもって…だなもって語尾は。
「お前、タヌキのキャラじゃねえか。」
わざわざ、他のゲームの着ぐるみまで着て何をしに来たんだ?
「な、なぜ分かっただなも。ってそうだった。俺っちも人気キャラだっただなも。
上司から人気キャラと人気キャラをあわせれば、客受けが良いって言っていたからやっただなも。」
「…。いやそれにしても、節操なさすぎだろ。」
「仕方ないだなも。昔はゲームを作る企業が少なかっただなも。
でも昨今、ソシャゲも沢山出てきて、過当競争になってしまっただなも。
こうせざるを得なかっただなも。」
「それは…世知辛い世の中だ。」
「世知辛くなってしまったのはコラボのさせ方にセンスがないからだワン。
過当競争以前の問題だワン。」
はっ。た、たしかに。
「そんなことより、君の従魔はそのワンコでいいな!」
「あ、ああ。」
待てよ。もしかしてポータって従魔にしては強すぎるじゃ…。
なにせ、ヒロインを守るために生み出されたポケ○ン顔負けの不思議な生物である。
「まっ…。」
「ふぉっふぉっふぉ。審判はこの私、ダークドが務めよう。
両者位置についたことを確認。初め!」
「へ?」
「いけ!ブカ様!商会ビーム!!」
始まってしまった。
というか、いや、どんなビームだよ。
そう思っていると、たぬき…ブカ様の口から大量の金が出てきた。
「お金あげるから、負けてくれだなもー!」
賄賂じゃねえか。
やはり、大して愛らしくもないたぬきが、あの超大手企業で出世しようと思ったら、日常的にそれくらいしなければならないのか。
「絶対そうだワン。
不透明に住民から集めた資金の行き先が不透明で気になっていたが、こういうところに使われていたワン。」
「ち、違うだなもー。というか、効いてないだなもー!?」
そりゃ、レベル差がありすぎるからだろう。
「では、次はそっちのターンだぞ!
こい!」
はっ。そういえば、この勝負はターン制だ。とすると、レベル差があった場合、もしかして負けれない?
「いや、やめよう。この勝…」
「わかったワン!」
「ま、待て…ポータ。」
「いくワン!ファイアーボール!」
ポータもレベル差がありすぎることがわかっているから、威力が1番低いファイアーボールを繰り出した。
だが、ポータ自体のスペックが高すぎるためか、出てきたのは威力が高そうな青い炎である。
「あ、まずい。」
気づいた時には、ブカ様は瀕死になっていた。
「……。」
や、やってしまった。
--------------------------------
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます