第30話 合理化

-side アラン-




「さて、ではみなさん。遊んでないで学園祭の準備を始めますよー。」


 んん…??



「なんだったんだ?さっきの学ラン見せびらかし時間は?」


「あれは、アーロンが個人の趣味でやっていたファッションショーだワン。

 学園祭の準備とは関係ないワン。」



「お、おう。あいつなかなか趣味のレベル高いな。」


「そうだろ?俺様の家にはコスプレ衣装が山ほどある。」


 今、一瞬狂気を感じた。

 これは、なんとなく触れない方が身のためだろう。



「へー。あ、それはそうと、学園祭の準備って業者に頼めないのか?」


 エンジェル君。

 君が“田舎でヤンキーやってた”って言ったせいでみんながヤンキー屋ごっこさんをやる雰囲気になったのに、他人に準備なすりつける気満々だな。



「たしかにそうだったら楽だね。父上に頼んでみるよ。」


 何事もないように、そういうウィリアム。

 いやまて。お前の父親って。



「いらんところで国家権力使うな。頼んだら喜んで業者雇ってくれそうだけど。」


「あはは。父上暇そうだし、大丈夫だよ。

 むしろ、業者呼ばずに自分一人でやりそうだ。」


 …確かに。そういえば、やたらと暇そうにしてたんだあの国王。



「いや、流されるでないワン。多分国王には仕事があるはずだワン。」


 そう言いながら、不安が隠しきれてない表情をしているお前も結構流されてるよな?



 


「学祭の準備は大丈夫です。こちらで良きに計らっておきますから。」


 そんな話をしていると、パシリッツ先生がこちらを見て言った。

 そうだった。ここ乙女ゲームの世界なんだった。

 学園イベントとかの場合、攻略キャラ達もイベントを並行して行わなければいけなくて結構忙しいから、

 一つの出し物を準備してる暇なんて確かにないよな。

 どうやら、運営によって合理化されていたらしい。



「ん…?待てよ。良きに計らってくれるってことは、本格的なヤンキー喫茶の雰囲気になるんじゃ?」


「なにぶつぶつ言ってるんだい?早くダークド博士の所に行こうよ。」


 俺の心配をよそに、ウィリアムが次の場所に急かした。



「え?なにそれ?」


 どっかで聞いたことあるような名前だな。

 若干、雲行きが怪しい博士だけど。



「決まってるだろう?

 2人の挑戦者がそれぞれの従魔同士をバトルさせ、それを鑑賞するのが学園祭のメインイベントだったじゃないか。

 バトルと言っても、片方の従魔が死ぬギリギリまで追い詰めるだけだけどね。」


 お、おう。瀕死という言葉を使いなさい。

 瀕死という言葉を。

 というか、もろポケ○ンのシステムのようだな。



「しかし、従魔が死ぬ手前まで追い詰められるのを見て楽しめるものなのか?」


 あれは、ポケ○ンだから成り立つわけで。



「その点に関しては人それぞれだね。

 昔は奴隷同士を戦わせて楽しんでた人たちが、規制で奴隷を戦わせることが禁止された今は従魔同士で戦わせるのを楽しんでいるという感じだよ。

 ダークド博士もその一人だね。」


 お、思ったより闇が深そうな答えが返ってきたようだな。



 そんな話をしていると、ダークド博士の研究室に着いた。


 中の扉を開く。中にはおじいさんと魔族の美少年がいた。


「失礼します。」



 ウィリアムが2人に声をかけると、少年が笑顔でこちらを見てこう言った。



「はじめまして。お前!タイプ相性が分かるんだな!」


 いや、どんな挨拶だよ。





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