3章(3匹目の四天王)

第27話 とはいえ学生なので

-side アラン-




 時は6月。俺が入学してから2ヶ月が経った。今、俺たちは再び学園に戻っている。

 なんせ、学生なのだ。忘れてたけど。



「結局のところ、ハンニン男爵そのものが四天王だったワン。

 読み違えていたワン。ごめんだワン。」


 ハンニン男爵を四天王の手下と俺に言ったポータは反省している。



「名前からしても、最初から分かっていたことだから、実害はなかったし大丈夫だぞ。

 まさか、防犯ブザーを鳴らしたら四天王として、覚醒したなんて信じられないし。」


「それを言ったら、賽銭箱が飛んでるのもおかしいし、賽銭箱が美少年に生まれ変わるのもおかしいワン。

 こんなの全部話したら、頭のおかしい奴と思われるに決まってるワン。」


 目の前で起こった非現実的すぎる出来事を、掘り起こしながら、開き直る2者。



 そんな2者に新たな仲間が加わった。

 それが、この人。


「おにー。見て見て!きれいなお花〜!」


 そう。噂の賽銭箱君である。

 名前をアッシュと名付けた。


 決して、登場の仕方が最新のポケ○ンっぽかったから、アニメの方の主人公の英語名にしたわけではない。


「その言い方だと、確信犯み増すからやめるワン。」


 確かに。




 話しながら、教室の中に入ると既にみんな揃っていた。


「主役は遅れて登場かい?」


 ウィリアムに言われる。


 残念ながら違うな。主役はヒロインだ。

 もう死んでしまったが。

 決して、ブラックジョークとかのつもりではなく、真面目な話である。



 そんなことを考えていると、なぜか担任ではないパリシッツ先生が入ってきた。


「皆さん、本日担任のカイル先生がお休みなため、急遽代役を務めさせていただきます。

 よろしくお願いいたします。さっそくですが、転校生を紹介します。

 エンジェル=ハイド君こちらへ。」


 

 これまた、いかにも天使ですという感じの白髪に青目、透き通るような色白の肌をした感じの10歳くらいの少年がきた。


 しかし…直訳すると、天使であることを隠しているか。

 ハンニン男爵といえ、ゲームのキャラクターとは思えないほど、正体が分かり易すぎる名前だ。

 もしかしてこのゲーム、クソゲー認定されていたのかもしれない。


「気づくの遅いワン。」


「………。」


 それはそれとして、今気づいたんだが、ポータとアッシュさらっと教室にいるよな。

 なぜか、誰も気づかないし。



「別に教室に従魔を連れて行ってはいけないという学校の規則はないワン。

 そこまで、考えられて作られてる規則ではないからだワン。」


 規則がない理由がそこまで考えられてないって言うのが怖すぎる。

 だが、ここはゲームの世界。

 そこまで破天荒なキャラはいないのかもしれない。



「私、エンジェル=ハイドは今年で1000歳です。

 天界で女神達と酒池肉林を沢山してしまった結果、男性の神々から妬みを買い、堕天した元天使です。

 堕天した今は田舎でヤンキーやっています。

 学校にも興味があって、入りたいため、校長を脅して入学しました。

 よろしくお願いいたします。」



 …………。それは聞いてない。破天荒すぎるだろ。




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