第13話 初授業
-side アラン-
「行ってらっしゃいだワン!」
昨日ポータの実力を把握した俺は従魔契約をしたことでポータの言っていることがわかるようになった。
従魔契約は魔物としかできないから無理だと思ったが、どうやらポータはスーパーワンワンという種族に分類される魔物らしい。
適当に種族名決めすぎだろうということを考えながらも学校に着いた。
今日は初授業である。
といっても、地球上で行なっている類の勉強、所謂、数国理社英の勉強ではなく、なんかのイベントが随時起こる類の授業らしいのだが。
担任のカイル先生がきた。やる気のなさそうな先生だ。そういう需要もきっとあるのだろう。
「あー。今からお前らには5人1組で学園探索を行ってもらう。頑張ってくれ。じゃ!」
え、そこで教室去るの?と思わなくもないが、職務放棄という概念はこの世界にはない。
ザワザワ…。(い、いきなりダンジョン探索かよ)(おれ、魔物と戦ったことないんだけど)
みんなが、騒いでいる。
たしかに、貴族ならともかく、平民の子供で魔物と戦ったことがある奴は少ないだろう。
この国では10歳から冒険者になることができ、魔物と戦うことができる。
学園に入学する年齢も10歳、法律上は戦うことはできる。
ただ、実際10歳で冒険者になる人は少数派だ。それこそ、貴族の次男や三男は英才教育を受けているので、なる奴もいる。
次男や三男は家を継げないから、リスク承知で稼げるうちから稼いどこうってことだ。
しかし、平民だと大体、冒険者の専門学校を卒業した後なる人が多いので15歳からというのが普通である。
したがって、魔物に関して知識がない状態で行うのは異例中の異例だ。
流石は、乙女ゲームのイベントである。ゲームだからいいが、実際体験する側としては、なかなかにえげつない。
しかし、5人1組か。本来俺たちのグループにはヒロインが入っていたはずだがおそらくいないから、空席ということなのだろう。
チラチラ。チラチラチラ…。
さっきから、エミリーが仲間になりたそうにこちらを見ている。
きっと、コミュ障を発揮してうまく友達を作れなかったのだろう。
まあ、どうせ俺もウィリアム達がいなかったら、友達を作るのは無理だっただろうが。
そもそも、下の身分の人が上の身分の人に話しかけることはマナー違反である。
なので、上の身分の人は自分から話しかけない限り友達はできない。
加えて、自分から話しかけても友達になれるとは限らない。
思うようにいかず、だんだん話しかけるのが面倒くさくなって、コミュ障になっていく。
この世界では、貴族が友達を作るのはなかなかハードなのだ。
だからこそ身分関係なく誰にでも話しかけるヒロインは輝くのだが。
そのヒロインもいないことだし、知らない人も嫌だからエミリーを誘うのがいいかもな。あわよくば、魔物ホイホイしてくれると助かる。
…それが目当てというわけでは決してない。うん。
「エミリー。一緒に行くか?」
「まあ、是非お願いしますわ!」
「よろしく頼むよ、エミリー。頼りにしている。」
「もちろんですわ。ウィリアム様。(やはり、強くなっといて正解ですわ。)」
こうして俺たちは、戦力増強と魔物とたくさん戦うチャンスを得たのだった。
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