第12話 ポータの実力

-side アラン-




 ペロペロ、ベチャベチャ。


 朝、不快な感触してアランは目覚める。

 目を開けると、一見犬のようで犬ではない、しかし、いぬとしか形容できない生物がいた。


(ああ、ああ。そういえば、そうだよな。ここにはこいつ、ポータもいるよな。)


 一瞬で状況を把握したアラン。

 しかし、彼はふと思い出した。


(ん?ポータってヒロインのサポーターキャラだよな。ヒロインがいないってことは、こいつ話し相手を失って役割がないってことなか。)


「ワン、ワン」(やっと起きたかワン)


「…うーん。お前本当は言葉理解しているし、話せるよな。話せたら、頷いて?」


 コクコク。(そうだワン。流石だワン。)


「そうか。うーん。しかし、ヒロイン以外とは話せないと。どうしたものか。

 …そうだ!お前、言葉は読めるか?」


 コクコク。(もちろんだワン。当然だワン。)


 なんとなくドヤ顔しているしている気がする。


「では、しばらくは紙に書いてある文字を足で差してもらうのが1番だな。」



 そうして、俺は日本語で言えば50音に相当する字を全部大きく書いた紙を用意した。


「ふー。これでよし!言いたいことを伝えてくれ。」


「ワン!」


 嬉しそうに返事をすると、


(よ・ろ・し・く)


 と返事してくれた。


「おう。よろしくな。ところでお前、どうしてここに来たんだ?」


 長くなるので、要約するとレッドチーターの狩りを見ていたらしく、ポータも一緒に戦いたいということだった。



「フッフッフ。フハハハハ。

 それはいい。それはいいぞ。」


「ワッ!?」(な、なんかとんでもない人にとんでもないことを言ってしまった感じがするワン。)


 流石、ハイスペックニートである。ご名答だ。


「よし、そうと決まったら特訓だ。

 悪役令嬢ホイホイ呼んで、お前を鍛えてやる。」


「ワ、ワン」(お手柔らかにお願いしますワン)



 こうして、アランたちはまた、ホワイトタイガーを狩りに行くことにした。

 毎回、いいように狩られるホワイトタイガーさん涙目である。



「な、なあ。アラン、大丈夫なのか?」


「なーに、心配ないってウィリアム。いざとなったら俺が守るし。」


「流石ですわ。アラン様」


「ワンワン」(お前らより絶対強いワン)


「な、なんか馬鹿にされている感じのは気のせいかな。」


 ノアはポータのことを信じられていないようだとアランは思った。

 実際には、ノアの方がポータの感情を読み取れていたのだが。


「今度こそ、一緒に戦って俺も強くなる。」


 リチャードはもうすでに戦いのことしか頭にないようだ。



 そんな会話をしていると、ホワイトタイガーの巣が近づいてきた。

 100匹ほどホワイトタイガーがいる。

 学園内にレッドチーターとホワイトタイガーの巣があるのに生徒たちが全員無事に生き残っているのは七不思議である。

 ちなみに、他の凶悪な魔物も学園内にわんさかいるのだ。



「いたぞ。“チェイン”」


 アランは、6匹を捕まえてABCに分け与える。



「では、俺たちは狩りに行くからお前ら頑張って。」


「ワンワン」(せいぜい頑張るワン)


「頑張ってくださいまし」




 いうや否やアラン達は飛び出した。



「ワオーーーン。(“ハイパー威嚇”)」


 Grrrrr。


 ポータが吠えるや否や、ホワイトタイガーは動けなくなる。



「やるな。」「やりますね。」


 シュバババババ。


 次の瞬間、100匹ほどいたホワイトタイガーが2人と1匹によって瞬殺されていた。



「ワンワン。」(これくらい、当然だワン)


 ポータはなかなかの強さのようだ。それを側から見ていたABCはこう思った。



(((あれ、俺たちより強くない?)))


「ワンワン」(当然だワン)






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