第14話 ダンジョン探索

-side アラン-




 この世界でダンジョンとは、ゲームの仕様で作られた訓練施設の一つである。

 なぜ訓練施設なのに、人が結構魔物に殺されるかはその方がゲーム性が高いかららしい。実際住んでいる身としては迷惑すぎる仕様である。

 もっとも、学園で潜る時は危険な深い階層にまで潜らず、浅い階層までしか潜らないので、安全ではあるが。


 ところで、今アラン達はダンジョンの3階層にいる。ちょうど先生達の指示が3階層まで降りろということだったためだ。



「はあっ」


「やあっ」


「とおっ」


 相変わらず、かっこいい掛け声で魔物を倒していくABC。

 その姿はまるで、ギャラリーに見せつけるようである。まあ、見せつけたところで…。



「はあ。しかし、雑魚だな。」


「雑魚ですわね。」


「ワンワン(雑魚だワン。)」



 やる気を削ぐ発言が返ってくるだけなのだが。可哀想なことである。

 今2人と1匹が戦っていないのは、アラン達が戦う必要性を感じなかったので、仲間のレベルングをすることになったからだ。


(決してパシっているわけではない。

 まあ、側から見れば、彼らに戦わせているとも見えなくはないのか?)


 アランがそんなことを考えているうちに院卒の先生達が見えてきた。見た感じ1番若そうな先生が声をかけてくる。



「君たち、早すぎないか?ってウィリアム殿下御一行!流石でございます。」


 一瞬疑ったものの、すぐに手のひらを返した先生。

 この国に、王子であるウィリアムに逆らう人はほとんどいないから、仕方のないことではあるが。



「いえいえ、僕なんて別にそんなことないですよ。みんなの実力あってのことです。」


 自分のことを下げ、みんなのことをおいしょする姿は、紛れもないハイスペックパシリである。



「皆様方もお強いですね。

 ところで、お時間が余りましたけど、どうされますか?

 皆様のご様子だと、先に進めそうですが。

 安全にため、引率の者が1人付きますが、それでもよろしければ。」


「では、お願いいたします。(お、まじか。先に進めるのかよ。下の階層まで行けばレベリングのチャンスかも)」


「わかりました。ではこのパシリッツが引率として同行させていただきます。」


「(なんだ、パシリはこっちの方だったか。

っていやいや、俺は決してウィリアムをパシリと思っていたわけではない。)よろしくお願いします。」


「確信犯だワン」


 飼い犬にまで見抜かれるほどわかりやすいアランであった。



「では、目標は10階層までですね。何かあれば私の帰還の魔法石を使っていつでも戻れますから、大丈夫ですよ。」


(ああ。そういえば、ゲームの中でもこんなキャラいたような気が…。

 ってことは、これもシナリオにあった場面ってことか。

 どうでもいいけど、下の階層の魔物は歯ごたえありそうなやつがいいな。

 ちょうどいいし、ついでに先生も扱いてやろう。フハハ。)



 ゾクリッ


 パシリ「(なんか今やばそうな雰囲気を背後から感じたんですが、気のせいでしょうか。)」




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