第9話 大渋滞
-side アラン-
「ウィリアム様、アラン様、ノア様、リチャード様、ご機嫌よう」
「やあ」
「エミリー嬢。今日もいい天気ですね」
「そうですわね。」
いつでもどこでも、天気の話をするのは貴族特有なのかもしれない。
「この後、いきなり顔合わせがありますね。どんな方々がいらっしゃるか楽しみですわ。」
キャラクター立ち位置的にボッチだった悪役令嬢にとっては、初めて友達ができるチャンスである。楽しみそうだ。
「あ。そういえば…。」
「どうしましたの」
「いや、なんでもない。少し嫌な予感がするだけだ。」
「まあ。何か手伝えることがあれば言ってくださいね。」
「そうさせてもらうよ。」
会話しながら、クラスへと移動する。当然のようにみんな同じクラスである。仕様です。
教室の前に着いた。
「ふう。」
アランは一度、深呼吸して心を落ち着かす。
ウィ「どうしたんだアラン。中に入らないのか?」
「いや……ね。(とっても嫌な予感がする)」
バンッ
その時、突然ドアが勢いよく開いた。
男が話しかけてくる。
「ああ?なんだお前ら。俺様の前に突っ立ってるとはいい度胸だな。って王子御一行じゃねえか。久しぶりだな。」
(ああ…やっぱり。嫌な予感が的中した。)
俺様系攻略キャラ、アーロンが出迎えたようである。
ウィ「おお、アーロン。久しぶり」
「「王子様御一行だってー」」「「すっごーい」」
双子の攻略キャラ、ジニーとトニーが追撃する。
(ああ…。ああ…)
「どうせ、僕なんて、王子様達に見向きもされない存在なんだろうな。でも、別世界の天上人達と同じクラスなんてすごいなー。」
モブのくせに攻略キャラ、モブ男がいった。
そう、実はこの学園には、総勢256名の攻略キャラがいる。
ちなみにこのクラスは25人学級、15人男、10人女構成であるが、男子は全員攻略キャラである。
それは、ハゲの先生であっても、掃除のおじさんであってもだ。
ヒロインのストライクゾーンのポテンシャルは計り知れない。流石である。
ちなみにキャラクター総選挙でのトップは、ダントツで最後に出てきたモブ男である。
モブのくせに、総選挙3連覇という圧倒的な存在だ。別世界の天上人は間違いなく君の方だろう。
なお、総選挙でのモブ男の支持率が、本気なのか、大人の悪ふざけで操作された結果なのかご想像にお任せするとしよう。
ともかく、アランは教室の中に入った。教室には、アランたち以外の20名全員がいた。
アラン達が入ると、途端に静まり返る。
王子とアランの身分は公爵。エミリーは次期公爵。ノアとリチャードは次期伯爵だからこの教室の中で、ダントツで身分が高く、必然的に注目の的となっているからである。
ちなみに誰得モブ男くん情報では、モブ男くんは、次期伯爵だそうだ。地味に高い。
モブのくせにハイスペックである。
5人はモブ男くんの目の前を通ったのにも関わらず、あまりの気配の薄さに見事にスルーし、固まって席に着くことにした。
ちょうど、アラン達が席に着いたと同時に、都合よく先生が入ってくる。
「おう。みんな席に着いているな。ではこれより、顔合わせを始める。」
---------------------------
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます