第8話 とある日の回想
-side アラン-
「……………。以上で、入学式の挨拶とさせていただきます。
我が校の3大校則である、“愛、平和、平等”に恥じない行動をしましょう。
それでは皆さん、“ラブ&ピース”」
「「「「「“ラブ&ピース”」」」」」
(絶対やらねえ。あのポーズ。
あとさっきからニヤニヤみてくるのやめろウィリアム。)
校長の長い挨拶が終わり、入学式が終わる。入学試験の時、乙女ゲームの洗礼を浴びせられたアランはあの日以来、この学園のことが一切信じられなくなっていた。
(くっそ。やっぱりくるんじゃなかった、こんなところ。
森で狩りしてた方が100倍ましだ。)
今更ながら、後悔するアラン。しかし、時既に遅しであった。
何故だかわからないが、この学校謎の超強力結界が貼られていて、外に出ることができないのだ。
きっと、仕様なのだろう。仕様なら仕方ない。仕様という言葉は最強だからである。
「あら?まあ、アラン様こんなところにいらっしゃったのですね!ご機嫌よう」
こんなところにいらっしゃったも何も、入学式の会場にみんなでいるのだから、当たり前だろう。
しかもアランたちは、貴族の席に座っている上、王子であるウィリアムもいるためすごく目立っている。
加えてエミリーもずっと近くにいたはずなので、知らなかったわけはない。
きっと、ずっと話すタイミングを窺っていたのに、話しかける言葉を考えていなかったのだろう。
しかし、そのことをエミリーに伝えると命の危機が訪れるので、誰も突っ込まなかった。
この場にいる4人は、エミリーが強いということを入学式前に知ってしまったのである。
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
「あら、どうしましたの?」
「ああ、これからレッドチーターを狩りに行くんだ。」
「俺たちはそんな凶悪な生物、狩るのは不可能だって言ったんだけどね。
なんせ、Aランクの魔物だ。アランでも危険だろうし、心配だから俺たちもついていこうと思ったんだよ。」
「まあ、ウィル様はお優しいのですね。私も同行させていただけませんか?
(絶対足手まといですわね。レッドチーターは弱くはないですが、強くもないですわ。動きは早いですが、魔法を使えないですし。
仕方ありません、アラン様以外の3人を守るためにも同行しますわ。)」
「え、き、危険だよ。」
と言ったウィリアムをアランは手で制すると、
「お願いします。(ありがとうございます。エミリー嬢)」
「ええ。(大丈夫です。礼は入りませんわ。)」
こうしてエミリー嬢も加えて5人で狩りをすることになった。
コソッ
「いたぞ、レッドチーターだ。近くに巣もあるようだ。ざっと20匹というところだろう。」
「なに。危険じゃないか。い、今すぐ引き返して報告を…。」
「大丈夫ですわ。ウィリアム殿下。私とアラン様だけで充分ですわ。」
「エミリー嬢も行くのか。」
「ええ。(ここ数日間の、私の特訓の成果を見せるチャンスですわ。出来るだけ強さをアピールするためになるべく1撃で倒しますわ。)」
「大丈夫だ。エミリー嬢は俺に任せろ。(ぶっちゃけお前らより絶対強いが。)」
そんなこんなで、アランとエミリーは気配を消して、レッドチーターに近づいた。
「行くよ。」「ええ。」
レッドチーターに勢いよく近づく。
GARURURU!!
チーターは驚いて避け、反撃してこようとした。しかし、反撃される前に、
ゴキッ、ボキッ、ドガッ、バキバキ…。
ウィ「へ?」
あっという間に、2人はレッドチーターを倒してしまった。
ウィ「ななな…。」
「アラン様!まだ、終わっていませんわ。」
「わかっている。奥にまだいるな。」
そう、20匹だと思っていた群れだが、本当は地下にも巣があり、150匹の群れだったのだ。
次々に出てくる。流石悪役令嬢、魔物ホイホイの役割をしっかり果たしているようだ。
「フハハ。これは楽しめそうだ。」
「オホホ。そうですわね。」
ノア「き、危険だよ。早く逃げ…。」
「フハハハハ。かかってこい雑魚ども。」
「オホホホホ。そんな攻撃私には効きませんわ。もっと、もっとですわ…!」
ノア「は?」
「フハハハハハ。」「オホホホホホ。」
という感じで?レッドチーターは瞬殺されたのだった。
リチャ「(大量の経験値。う、羨ましい)」
♢ ♢ ♢ ♢ ♢
あれ以来、アラン以外誰もエミリー嬢に逆らえなくなってしまったのだった。
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