第6話 櫛鉈焔
明るい日光が目に当たる。
ここに来て2日目の朝だ。
「おはようございます。院長。」
そういって伊達くんが、コーヒーを
持ってきて入ってきた。
右頬に絆創膏、手首には包帯を巻いていた。
「その、昨日はすまない。」
「いえ、大丈夫です。
少し手首の方は動かすと痛みますが。
そんなことより朝食はどうします?
コンビニ弁当買ってきましたよ。」
「おぉ。気が利くね。ありがとう。」
中身は、おにぎり、サンドウィッチ、
ゼリー飲料だった。
それでも十分の食事だ。
「では、私はここで。」
「食べ終わったら、仕事に戻るから
それまでよろしく。」
「はい。了解しました。」
ビシッと敬礼して部屋を出た。
さて、食事をすませるか。
モキュモキュ。
サンドウィッチとおにぎりを交互に食べた。
コンビニ弁当も食べると飽きるな。
そう思いながら、弁当を食べ終わった。
「さて、仕事に行きますか。」
部屋を出て、玄関へ向かった。
居るのは、少数の子供だ。
遊びに来たのか?声をかけてみよう。
「君たち、どこか体調が悪いのかい?」
「ううん。友達を待ってるの。」
待ってるって...ここは集合場所か。
「あのー。でもさ、ここお医者さんだし
外で…」
「あっ。来た!!」
玄関の自動ドアが開き、一人の女性が
入ってきた。
見た目15才くらいの。こんなガキが、
中学生と友達?
「ごめんね、まった?」
「ううん。全然。
じゃあ、あれ見せてくれる?」
あれ?なんだ、闇の取引でも始まるのか?
「うん。いいよ。」
と言って、取り出したのは人形だった。
なんだ。おままごとか。
そう思ったのもつかの間、
人形を床に起き、手をかざした。
なんだ?何が始まるんだ?
「…はぁー!!!!」
と力強く言うと、なんと人形が立った。
「はぁー!!どうなってんだ!?」
「どうしたんですか?お医者さん。」
「いやいや、なんで人形が1人で
立つんだよ!?」
「良い年して子供より驚かないで下さい。」
ハッとした。子供はこれを楽しみに来たんだ。
子供の方を見ると今にも泣きそうだった。
「ごめんごめん。
ほら、お菓子あげるから。」
あげたら、表情がぱぁっと明るくなった。
チョロい。チョロすぎる.......
「あの、勝手に子供に餌付けしないで
くれますか?」
「餌付けって言い方はよくないんじゃ
ないかい?」
「子供は家族ですから。」
その言葉は、玄二さんが言ったことと
同じだ。童心と関係あるのか?
「童心のことを知ってるのかい?」
「童心?誰ですかその人?」
どうやら知らないそうだ。
たまたまか。あるいはロリか。
こんなこと聞いて良いのか?
聞いてみるか。
「もしかしてロリ?」
「いくらお医者さんでも、
ぶっ飛ばしますよ?」
「女の子らしい言葉使いをした方が、
いいよ。」
「なんか腹立ちますね。」
おっと言いすぎた。
「スミマセン。」
「謝ればいいです。」
機嫌を直してくれたそうだ。
「お名前は?」
「
「治療直介です。」
「お医者さん。向いてないですね。」
ガーン!!一番気にしていることを!!
「あと、ここって健康診断って
ありますよね?」
「あぁもうすぐやるよ。」
「であれば、絶対に子供を泣かせないで
下さい。」
「何故です?」
「私が子供好きだからです。」
「注射はさすがに…」
「ダメです。」
マジか.......どうすればいいんだ?
「少しぐらい泣いても?」
「叩きのめしますよ?」
うわぁ。言葉怖い。
「わかった。だから怒らないで。」
「わかればいいです。」
殺気?が減った。
「では、私はこれで。」
「まって、僕も行く。」
そういい、彼女と子供は診療所を出ていった。
ふうっと息を着いた。
妙なことを約束してしまったな。
健康診断まで、あと1週間。
どうするかな.......
1週間後。健康診断当日。
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