第5話 「学研 小学一年生」
新京帝国大学付属小学校鴨志田領分校、それが、僕の通う小学校の名前だ。ここらの大学で有名といえば、新京帝国大学と満州大学だ、少し、満州大学にあこがれていたのだが・・・・、まぁいいだろう、どうでもいい。
鴨志田領分校に通う子女のほとんどは、我が家の臣下の家の出で、華族、士族、まぁ、お貴族様やら、ブルジョワ階級が多い、たまに、農家の優秀な生徒がいるらしいが・・・。数は少ないそうだ。
また、特権階級を自任する奴らは、皆、使用人を子供に伴わせる。
うちは、侯爵家、まぁ、ここで一番偉いので、二人、麻里とユリが僕の従者となった。
黒いランドセルをしょって家を出る僕に続いて、日本刀を持った麻里と、長刀を持ったユリが続く。赤いランドセルがかわいい。
絵里に行ってきます、と挨拶をして、僕は学校に向かった。桜が、ああ、桜が、いや、あまり、花に興味ないんだけどね。
未だに、麻里のウンチが口の中に残っている。つい、にちゃにちゃと・・・ゲボっ、吐いた。
「大丈夫ですか、坊ちゃま」
ユリが近づいて、ハンカチを出そうとして止めた。ユリは周りを見渡し、衛兵を呼んで、彼からハンカチを奪ったようだ。
「大丈夫ですか?お坊ちゃま」
「それ、二回目・・・」
ハンカチで、ゲロを拭いてくれる、ユリ。
それで、制服が奇麗になるわけでもないのだが・・・・
まぁいいか、どうでも・・・
僕は歩き続ける。学校へ向かって。
多くの人が見ている。非常に苦手だ。
「ユリ、麻里、僕の前行って」
ユリはこくりと、麻里はなんの反応も示さなかったが、僕の壁役になってくれたようだ。
麻里は優しくて頼りになる、こんな僕の事をいつも考えて対応してくれる。
入学おめでとう、と書かれた飾られた門をくぐる。
小学校に入学するのは何度目だろうか・・・・・え?小学校って何度も入学するものなのか??????
頭がクラっっと、そして、酷い頭痛が僕を襲った。
痛い頭が痛い痛い痛い痛いめまいがする、気持ちが悪い
「麻里、頭が痛い」
「え、大丈夫ですか?泣きますか、また、無様に泣きますか、この雑魚が!!・・というのは冗談で、え、本当に大丈夫? ゆり、先生呼んできて」
「はい」
僕は、膝をつき頭を抱えた。
何度も違う小学校に入学する記憶が浮かぶ、小学一年生って一度きりだよな?留年とかないよな?じゃ、なんで?一年生ーになったーら、いちねんせーーになったらーーーー友達100人できるかな~、ああ、うるさいよ、ううるさいよ、ぐるぐるぐる、新一年生入学式のイメージが浮かぶ浮かぶ浮かぶ、何が何だがわからない、浜見小学校、大磯小学校、西荻窪第三小学校、総武第二小学校、十文字東小学校、バブミ幼稚園・・・・・分からない、分からない、混乱する、頭が痛い、吐きそうだ。
頭を突然強く殴られた、麻里が目の前で微笑んでいる。
「どう?治った?」
麻里は僕の目をのぞき込む、にっと笑うと
「大丈夫そうだね、ほら、立ちな」と、手を差し出しくる。
僕はその手をとった。不思議と今までの混乱と頭痛が消えていた。
僕は麻里に手を引かれて会場へと歩いた。安心感があった。取り残された、ゆりが、可哀そうだなと思ったり思わなかったり。
とりあえず、僕の学校生活はスタートしたのだ。
桜の木の下には・・・・・おっと止めて於こう・・・・取り合えず、僕おめでとう。
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