第3話 「ウンチな彼女の作り方 一日目」

僕は馬鹿広い食堂に拘束されていた。目の前には、見目麗しい和食が湯気をあげている。僕は茫然として動けなかった。

広いテーブルにただ一人、拘束されても一人、朝食出されても一人

後ろから苛立たし気な視線を感じながら、おそるおそると、周りを落ち着かなく目が動く。

絵里が、にこりと微笑みながら、食事を促すが、足りない、何かが足りない、だから、僕は茫然と動けない。

「ヨイチロウ様、どうされましたか、御好物の塩じゃけですよ、ほら、美味しいですよ、冷めてしまいますよ」

「箸が・・・」

「箸?お手元にあるじゃないですか、超高級漆塗りの一本数万の箸が、大丈夫ですか?」

絵里の声が怖くなってくる。

「だって、だってさ、僕の箸は、青黒いプラスチックのやつだよ」

「ゆり!!」

絵里がユリと話し始める。

「ヨイチロウ様、あの箸は、貴方の忠犬ジロウ様が破壊されました、昨日・・・・・、一応止めたのですが・・・・。申し訳ありません・・・・・」

ユリが顔を伏せて言う、彼女の瞳からは、一滴の涙が・・・・ああ、奇麗だな・・・・ユリ、ユリ、ユリ、ユリターーン!!、と、それは良いとして・・・・困った。僕の箸がないと食事ができない、

「なぁ、絵里、どうしたらいいと思う?」

「は?!!、何か問題でも?!!」

絵里は機嫌が悪いらしい。しょうがない、嫌だが麻里に聞くか。

「ね、ねぇ、麻里、僕はどうしたらいいの?」

「・・・・・・・・・・・」

無視する麻里、え、僕の立場って、彼女らより上の筈だろ、なんで?

「はぁ、しょうがないですね、食べさせてあげなさい・・・・・強制的にね、抵抗したら・・・分かりますね」

「わかりました」

ユリたんが、僕の隣に座って、朝食を口に押し込もうとしてくる、息が苦しい、怖いよユリたん

強引に力づくで、ユリと麻里に、おかずと白米を口に突っ込まれる

ゲロっ

僕は吐いた

二人が僕の頭を殴る

う、う、うぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ

僕は上を向いて男泣きに泣いた、叫んだ、暴れた

当然待っているのは、スタンガンである・・・・・・・・ああ、帰りたいあの頃へ

「明日から、小学一年生になるのに、一人で食べれないなんて、なんて、情けない・・・・」

絵里が深くため息を吐く

僕は泣いて暴れて脳が真っ白・・・・・・

「絵里さん、こいつ、座敷牢に死ぬまで閉じ込めて於いた方が鴨志田家の為なんじゃないすかね」

麻里が酷いこと言う

「しょうがないのよ、鴨志田家のお世継ぎは、こいつだけなんだから・・・はぁ・・」

ユリだけが、僕の頭をなでて、慰めてくれた・・・・ユリたん、好き!!!  あ、、、、いや、彼女は、僕の朝食を手づかみで食べてただけか・・・・

「ユリ、止めないさい・・・・はぁ」

絵里が再びため息をつく

「ちょっと、休むわ、二人はこいつの監視の続行、いいわね」

「「了解です」」

広い食堂は、僕が泣き叫ぶ騒音と、ユリの咀嚼音、麻里のスタンガンを鳴らす音とヒヒヒヒヒヒヒという不気味な笑い声、そのハーモニーは、僕の繊細なる心を壊しそうだった

しかし、たぶん、これが、こいつの日常なんだろう

そう思うとなんか、安心してきて、涙が止まった、ユリの体の熱さが僕の欲情を煽る、ごくり

あ、そうだ、そうしよう

「ゆり、頼みがあるんだけど」

「はい、なんですか、坊ちゃま」

「今から、ウンチするから、それを揚げてきてくれない?」

「へ?」

「僕もさ、明日から小学生なわけじゃん、もう、お・と・な、だからさ、大人の味に挑戦しようかと思ってさ、いいアイデアだろ」

「そうですか?」

ユリが首をかしげる。かわいい。

「ちょ、ちょ、ちょっと、たんま、うんこですか、ウンチですか、また、私に始末させるんですか?与一郎様、早くトイレへ、ユリ、ボケっとしてないで、」

二人は拘束を解こうと必死になるが、僕の直腸の動きの方が早い、断然に・・・・

ぶりぶりぶりぶりぶり、、ぶるぶるぶるっ

「で、でちゃった」

僕は照れた、ウンチの馥郁たる香気が食堂を満たす。心も満たす、

「あ、あーーーー、」

麻里が座り込んだ。

ユリは、まだ、食べている。

あれ、僕はどうすればいいんだろう。

彼女たちを労わらねばという使命感が突如沸いた。

「ねぇ、一緒に僕のウンチ食べてみようよ、きっと楽しいよ」

なぜか、麻里が泣きだした。ユリはまだ食べている。

ユリの咀嚼音を聞きながら、今日はこれから、何をしようかと、自由になった身を捻った。

椅子の上には、僕のウンチがあって、それを避けて、立ち尽くす。

あれ、僕は何をすればいいんだろう????

麻里は泣いてるし、ユリは食べてるし、僕は突っ立ったまま・・・あれ、あれ、

僕は高い天井のシミを数え始めた

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