情報のスペシャリスト : 牟洟
情報のスペシャリスト : 牟洟
学生時代、此奴は高嶺の花と呼ばれていた。
それも“無色透明 ”の何色にでも染まる事の
出来る素晴らしい高嶺の花と。
高嶺の花は成績優秀。運動神経抜群。
性格・容姿…全てが完璧な美人だった。
でも裏を返せば性格には難があった。
此奴は八方美人だった。
良い意味で人の前で態度を変え沢山の好意を
受けて成長していた。
でも牟洟はとある一件を境に消えていった。
その一件と牟洟の存在は時間が流れるうちに
皆の記憶から徐々に消え去っていった。
僕の君への復讐の準備は整った。
あとは君を殺していじめてきた奴を殺る。
残るは探すだけ。僕はあれ以来昔の者とは、
あまり好んで連絡を取って居なかった。
強いて言っても荒野ともう1人…
探すことが得意な情報のスペシャリスト…
『頼みたいことがある。此奴を検索。』
『大阪の××駅の駅弁1つと烏龍茶を箱。』
『ああ。わかった。今度送る。』
『パソコンに送った。駅弁速攻で頼む。』
駅弁偏食家の美女。
彼女もまた君と一緒に僕を裏切った1人。
今は復縁して良好だ。
情報の女神様。
無色透明、高嶺の花の略称を文字って
彼女は自分の名を「牟洟」と名乗っている。
彼女はある一件を境に連絡が途絶えていた。
だが、数年前から連絡が取れる様になった。
僕からしたら都合の良い事で助かっている。
数日後、僕は牟洟から送られてきた場所を
頼りに君が居る場所へ向かった。
そこに君はちゃんと居た。
君の薬指には光り輝くリングが付いていた。
僕の心にはリングがぶっ刺さってきた。
君の隣には僕の知らない男が居た。
僕はあの頃みたいに去る様に逃げ帰った。
僕はここ数年でなにも変わっていなかった。
君と違ってあの頃から時が止まっていた。
でも僕は君を殺ることで変わるのだ。
ここからが本番だ。準備は全て整った。
僕の復讐劇に再度幕が上がるのだった。
*
別れとは自分には関係ないと思っていた。
でも意外と関係のあることだと気付いた。
「あ、あの…ありがとうございました。」
彼女に昨日、突然言われた言葉。
この言葉の意味は翌日になりすぐ分かった。
彼女は転校することになっていたのだ。
ウチは最後に感謝を伝えられて終わった。
正直、なにも出来なかった自分が憎い。
もっと彼女の為になにか出来たはずと色々と
考え込み悩んでいる自分も居る。
でもこれでいじめが終わるならマシかなと
安堵していた。彼女がウチらと離れて遠くで
幸せな人生を送ってくれるなら嬉しい。
そんな事を思った矢先…いじめは再開した。
今度のターゲットは彼女の味方だった彼。
あぁ…ウチは逃れた。良かった。
そんな自分のことを考える心の自分も居れば
次も手を差し伸べるべきなのか…あぁ……
前、彼女を助けた時の心もある。
「だ、大丈夫ですか…?…これ…どうぞ…」
人生の分岐点は意外と多くあるものだ。
今度は間違える事なく進めるのだろうか。
また自分に自問自答する日々が始まった。
何時になれば正しい分岐点に進む事ができて
正当な幸せを得る事が可能なのだろうか。
もしかしたら自分は正しい分岐点にどれだけ
多くの時間が流れても迎えられない。
そうなのかもしれない。
今日も自分は彼女のことを頭の隅に考え、
毎日同じように考える日々が繰り返される。
*
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます