佐藤先輩と?(仮) ⑤ -ごめんなさい-
髙橋先輩に頼ってしまった…。
申し訳なさとショックとが混ざってすごく変な感じ。
ちょっと待っててって言ってたけど、佐藤先輩と高橋先輩の約束知ってるのにこんなことして最低だよね。
今いる場所を高橋先輩に送ってから、ちょっと待っててってメッセージが来て30分ぐらい経った頃。
高橋先輩は走ってきてくれたようで息が上がって汗だくだった。
「お待たせ。何かあった?」
「あの…ご、めんな、さい…うっ、うぇっ—」
高橋先輩が来てくれたことで、何か緊張がきれたのかなぜか涙が止まらなくなってしまった。
突然泣き出した私に困り顔で頭をなでてくれる高橋先輩。優しすぎますよ、先輩。
「落ち着いた?」
「はい。突然泣いちゃってすみません。」
「大丈夫だよ。それよりも、何かあったの?」
「えっと—」
私は高橋先輩にさっきの出来事を話した。
今日は佐藤先輩と一緒に帰る約束をしていて、その時に佐藤先輩が電話で”遊んでる”という単語を言った後に私の名前が出ていた事。それを聞いてから、一緒にいる事が実は嫌で、告白も遊びだったのかなと思い先に帰って来てしまった事。そして一人でそれを考えてたら涙が止まらなくなって高橋先輩にメッセージを送ってしまった事を話した。
「なるほどね~。まぁ、僕を真っ先に頼ってくれたってことは、少なからず僕の事は信用してくれてるってことだと思っておくね。」
「はい。」
「でも、1つだけ確認ね。今僕に言ったことを亘輝に伝えた?」
「そ、それは…伝えてないです。」
「だよね。でもさ、それを本人に言わないと本当の事はわからないし、亘輝も永祢ちゃんが自分の事嫌いなのかなって思っちゃうんじゃない?」
確かに、確認せずにただショックが大きすぎてその場から立ち去りたい気持ちが大きくて、メッセージに『一緒に帰れなくなりました』って送っちゃったんだよね。
「亘輝は口下手だからさ、永祢ちゃんがちょっとぐらいぐいぐい行っても困ったりしないから。そこは安心してちゃんと話していいんだよ。」
「わかりました。」
「その言葉が聞けて良かった。多分そろそろかな?」
「そろそろ?」
「ううん。こっちの話だから、気にしないで~。」
「—隆樹…。」
そう声をかけてきたのは佐藤先輩だった。
すこし息が上がってるけど、走ったのかな?でもなんでここに私がいるってわかったんだろう?
あ、高橋先輩がいつの間に話したのかな。申し訳ない事しちゃったな。
しばらく佐藤先輩と高橋先輩だけで話をしていた後
「よし、僕はお邪魔になりそうだから帰るね~。」
と言って高橋先輩は帰ってしまった。お礼も言えずに帰っちゃった。今度お礼しないと。
残された佐藤先輩との気まずい空気が流れる…。
この沈黙すごく気まずい。
「そ、そういえば何でここが分かったんですか?」
「…。」
えぇ、何も返してくれない…。
でもそうだよね、勝手に帰った事怒ってますよね。
「なんで先に帰ったんだ?」
「え、あ、えっと…。」
やっぱり。
でも理由は言いずらい。どう答えよう…。
「隆樹と会うためか?」
「違います!高橋先輩は関係ないです。」
「じゃあ、なんだ。」
「それは…。電話で”遊んでる”って言っていたから私への告白が遊びだったのかな、と思って…。」
「そういう風に思ってたのか。」
「…。」
「俺は永祢に伝えたことは本気だし、それは隆樹も同じだ。ただ、電話をしていた言葉だけで遊びだと思われるのは心外だな。それなら俺に確認して欲しかったし、効かれたらちゃんと答える。ちなみに、今回の電話の相手は隆樹だ。」
「…ごめんなさい。」
ちょっと困った顔で私に思っていることを伝えてくれる佐藤先輩。
私も帰らずに佐藤先輩に聞けばよかった。なんなら、聞かずにいた方が良かったのかな。
「謝ってほしいわけじゃない。永祢は話かけてはくれるが自分の本心はあまり言わないからな。告白してもちゃんと受け止めてくれてるか俺も隆樹も不安だった。俺も話さないのがいけないのは分かってる。」
「うぅ…。わ、私は先輩から”遊び”だって言われているのがすごく嫌で、その時は一緒にいたくないって思いました。これが本心です!先に帰っちゃってごめんなさい。」
「そうか。」
「な、なにニヤニヤしてるんですか!?」
「別に。ほら、帰るぞ。」
顔をそっぽに向けた佐藤先輩の顔はちょっとにやけてる気がしたんだけどな。
でも、先輩は遊びじゃなかったんだよかった。
ん?よかった?
そっか、私は佐藤先輩に遊びで”好き”って言われるのが嫌なんだ…。
そっか。
私、佐藤先輩の事”好き”なのかな?
明日、杏実に聞いてみよう。
-つづく-
読んで頂きありがとうございます!
面白かったら♡やコメント、☆などお願いします(*´ω`*)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます