佐藤先輩と(仮) ④ -しりとり-
佐藤先輩と(仮)期間が始まって3日目。
今日も変わらず学校から最寄りの駅で待ち合わせをする。
「おはようございます。」
「…おはよ。」
佐藤先輩は朝が弱いのか素っ気ないんだよね。
でもちゃんと仲良くなる作戦実行するんだ私!
仲良くならないことには結果なんて考えられないし、まずは作戦1、静かな状況に慣れる!
…。
………。
「無理!!」
「!?いきなりなんだ。」
「何か話してくださいぃ…。」
「は?」
「沈黙嫌です…。」
「無茶な。」
「ひどい。」
「永祢が何か話せばいいだろ。」
「んー。」
先輩と話していられる内容?
何だろう、全く思いつかない。
あ!!
「しりとり!」
「は?」
「は、じゃなくて、”り”です!」
「…りんご」
「ごま」
「まご」
「ごーや」
「やご」
「ご…ってまた”ご”ですか!?」
「ほら、早く。」
「うぅ…」
その後、学校に着くまでの間やってたけど全く勝てなかった…。
仲良くなる作戦の沈黙に慣れる事は出来なかったけど、なかなかいい感じに会話は続けられたと思う。そもそもしりとりって会話って言っていいのかな?
でもいいスタートだよね!
「なわけあるかーい!」
「なんで?」
「佐藤先輩は沈黙が好きなのかもしれないじゃん!それを、それをしりとりって…そもそもそれ会話じゃないし。」
「でも嫌って言わなかったもん。先輩も楽しそうだったし。」
「それなら、まぁ真美がいいって言うならいいのか…?」
「今日の帰りもやろうかなー。」
「ほどほどにね!?」
杏実にはほどほどにってそう言われたけど、佐藤先輩も少し楽しそうだったし良かったんだよね?
それより、今日はいつもよりホームルームが長かったからもしかしたら佐藤先輩の方が先に来てるかも。
担任の先生の話が長すぎた…。
やっぱり。
なんか話してるっぽいけど、誰かと一緒にいるのかな?
「…だから……あぁ、そうだよ……」
1人で話してるから、電話してるみたい。
あんまり声は聞こえないけど。
「永祢?…あぁ、そう。遊んで……なんでそんなこと…」
え、今”遊んで”って聞こえたけど…
んー、やっぱり遊ばれてるのかな。
たしかにあんなにかっこいい先輩はこんな平凡な私に興味ないよね、普通は。
昨日、茉希先輩に確認しなくてよかった。
あれ…?
涙が止まらなくなっちゃった…。
最初から分かっていた事なのに。
今日はもう先輩に会えないや。
『今日は用事が出来て一緒に帰れなくなりました。ごめんなさい。』
家に帰るまでの間、佐藤先輩から電話と心配のメッセージが何回か届いたけど、出たくなかったし、返信もしたくなかった。
なんで遊びなのにこんなに優しくしてくれるんですか…?勘違いしちゃうからやめてほしいです。
『高橋先輩、助けてくさい。』
気が付くと、先輩達2人の約束知っているのに高橋先輩に連絡してる自分がいた。
しかも助けてって気持ちは本心だけど、高橋先輩なら断らずに聞いてくれるかもって思ってる自分がいて嫌になる。
いつから私はこんな風になっちゃったんだろう。
最低だ…。
やっぱり間違えましたって送ろうと思ったその時—
『どうしたの?今から行くから待っててね。』
やっぱり高橋先輩は優しいから…”間違えました”って送るのが遅かった。
私は2人の彼女になる資格なんて無いんです。
こんな子でごめんなさい。
-つづく-
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