佐藤先輩と(仮) ① -初日-


 今日からは佐藤先輩と仮でのお付き合いが始まる。



昨日思ったんだけど、これってなんの意味があるんだろう…?とか思ってしまった。


いやいや、そんなこと考えちゃだめ!

私がすぐに答えを出せなかったのがいけないんだから、ちゃんとこの期間は先輩について考えるようにしないと。


これで私がどっちとも付き合わないとか、どっちかと付き合いますってなったらどうなっちゃうんだろう?先輩たちの関係性が変わっちゃうのは嫌だな…。

とりあえず、駅に向かわないと。会話が続きますように。



「佐藤先輩、おはようございます。」


「あぁ。」



 佐藤先輩、やっぱり素っ気ない…。朝だからかな?

 昨日はちょっと距離近くなったかなとか思ったんだけど、勘違いだったかな…。



「文化祭のコンテストに無理やりださせてすまなかった。」


「いぇ!?いえ、驚きましたけど楽しかったので大丈夫です。」



びっくりしすぎて変な声出ちゃったよ…。

佐藤先輩、無理やり私をコンテストに参加させたこと気にしてたんだ。

私はいろいろあったけど、楽しかったし1位になれたからもう気にしてないんだけどね。



「永祢は大丈夫でも、俺が気にする。」


「そんなこと…。」


「だから今日の放課後開けておいてくれ。」


「え、今日ですか!?」


「無理ならいい。」


「あいてます!!」


「ふっ。じゃあ、放課後な。」


「はい!」



一瞬ちょっとだけ笑った気がする。佐藤先輩が笑うのはなかなかレアだからちょっとキュンってした…って何考えてるんだ私ー!



「おはよう!」


「おはよう杏実。」


「今日から次だっけ?」


「そう…。」


「どうしたの?なんか暗いじゃん。」



さすが杏実、察するのが早すぎて相談する前にばれちゃうから、話す内容決まってないしどう話そうか困る。



「佐藤先輩ってそっけないし、あんまりしゃべらないから、何考えてるかわからなくて。」


「それがデフォじゃないの?」


「そうだと思うけど。」


「あー、静かなのが気まずい?それとも、素っ気なくされるのが嫌?」


「静かなのは確かに気まずいし、話題をどうしても探しちゃう。素っ気ないのは…寂しいのかな?」


「うんうん、そっかそっか。とりあえず1週間あるし、仲良くなる作戦考えよう!」


「ありがとう、杏実。」


「まだ感謝するには早いよー。」



なぜかニヤニヤの杏実と一緒に、佐藤先輩とこの1週間で仲良くなる作戦を考えることにした。


まず作戦1、気まずくても話さないことに私が慣れる作戦!

私は誰かといるとき、話さない静かな雰囲気が苦手だから先輩に合わせてみようかなって。これは私がどこまで我慢できるかが決め手だよね。


次に作戦2、1日に一回は先輩を笑わせてみよう作戦!

安易な作戦だけど、先輩はあまり笑ってくれないから、だったら笑わせてしまおうっていう作戦。1発ギャグとか持ってないし、笑わせるの苦手なんだけど、大丈夫かな?



「これを毎日続けたら何かしら見えてくるんじゃない?」


「なるほど。静かな空気に耐えられるかな…。」


「佐藤先輩とちゃんと付き合うことになったらどっちにしても慣れないとだから、今からいい練習だと思って。」


「そうだね…って、付き合わないよ!?」


「わかってるって~。」



これを毎日続けたら先輩のことも少しはわかるかな?

今は本当に何を考えているかわからないけど、今は”私のことを好きって言ってくれている先輩”って認識だから少しはいい方に変わるといいな。







 -つづく-








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