高橋先輩と(仮) ⑤ -以心伝心ってことで-
「ゆっくりしすぎちゃったかな、そろそろ次のところ行く?」
「はい。」
次にどこに行くかとか話してたらいつの間にか外が暗くなってた。
冬も近いし暗くなるのが早いから余計かな。
「次は長祢ちゃんの要望の水族館だよね。」
「はい!」
「ここは本当に何でもあるからいいよね~。映画館がないのがちょっと残念だけど。」
「映画館がなくても一日ここにいても飽きなくていいです。」
「たしかにね。そういえば、なんでここの水族館に来たかったの?」
「ここは、クラゲをメインに展示している水族館なのと、内装がきれいらしいんです!」
「そっか~、それは楽しみだね。ちなみにペンギンは?」
「またペンギンですかー?もちろんいますよ。」
「それならおっけい。」
ペンギン好きなのって実は高橋先輩だったりする…?
私はクラゲが見れたらいいかな。一応ペンギンも見るけど。
いざ水族館に入ってみるとすごかった。
入口直ぐからクラゲの水槽が所かしこにあって、色とりどりにライトアップされていて綺麗。
その先にある通路には壁にはクラゲの水槽があって、床はプロジェクションマッピングで水面が描かれていたり、天井からも個性的なライトが下がっていたり、SNS映えしそうだった。実際に撮影している人が多かった。
「すごい綺麗ですね。」
「そうだね。ねぇ、長祢ちゃんこっち向いて?」
「何ですか?」
カシャッ
「いい顔が撮れた~。」
「ちょっと、不意打ちはだめです!消してください!」
「それは出来ない相談だね~、諦めて下さい。」
「先輩の変顔撮るのでいいです。」
「撮れないからいいよ。」
カシャッ
「え…」
「半目撮れました。」
「ちょっと―」
「消しません。」
「永祢ちゃーん!」
「嫌です。」
実際に撮れたのは半目じゃなくて、完璧すぎるぐらいの横顔だった。
いつものチャラい感じの顔じゃなくて、ふとした時のこの顔はかっこよかった。
この雰囲気も相まって、別人みたい。
「そんなに携帯見つめてどうしたの?惚れちゃった?」
「っ!?そ、そんなことないです。」
「その反応はずるいな~。期待しちゃうじゃんか。」
「期待、ですか?」
「なんでもなーいよ。次いこう!」
なんかずるいみたいな事聞こえたけど、そんなこそしてないんだけどな。
その通路を抜けた先にペンギンの水槽があって、高橋先輩がかなりはしゃいでた。
やっぱりペンギン好きなのって高橋先輩じゃないのって思った。
今日のお礼に、お土産に先輩にペンギンの何か買ってあげようかな。
「あー、楽しかった~!」
「すごく楽しかったです。」
「お土産あんまり買ってないけどいいの?」
「はい。あ、そうだ高橋先輩にこれプレゼントです。」
「なに?……これって」
「今日のお礼です。」
「ふふっ、ありがとう。もしかしたら僕たち考える事一緒なのかもね。はいこれ。」
「何ですか?……クラゲ!!嬉しいですありがとうございます。」
私が高橋先輩に上げたのは、ペンギンのキーホルダー。
高橋先輩が私にくれたのは、クラゲのキーホルダー。
さっきの水族館でお土産屋さんの同じブースにあったものだった。
いつの間に買っていたんだろう?
考える事一緒だったのかな?
「考える事一緒だね。」
「っ!見たい、ですね。」
「なにその不服そうな顔~。まぁいいけどね。以心伝心ってことで帰ろっか。」
「はい。」
帰りは歩くのが疲れたから電車でいつもの駅まで帰った。
でも、寝ちゃって電車での記憶がほとんどない。
しかも高橋先輩の肩を借りていたみたいで、駅に着いて起こしてもらったときに気が付いた。
重くなかったのかな?起こしてくれてよかったのに…。
「永祢ちゃんまで電車降りなくてよかったのに。」
「ちゃんと挨拶はしたいので。」
「ありがとう。」
「そんな!こちらこそ、今日はすごく楽しかったです!」
「僕も楽しかったよ。最後に、僕たちの仮でのお付き合いは明後日まで続くけど、明日はゆっくり休んで、月曜日は一緒に登校して終わりにするから。」
「明日は何もしないんですか?」
「明日も遊んじゃうと、疲れちゃうでしょ?だから、月曜日にね。」
「…わかりました。」
「そんな顔されたら期待しちゃうからダメだよ。じゃぁ、今日はありがとう、また月曜日ね~。」
「また月曜日。」
先輩と別れた後、姿が見えなくなるまで見送っていたけど、一回もこっちを振り返ることはなかった。
今、高橋先輩が何を考えているのかわからなくなっちゃった。
告白された側で、しかも返事を待ってくださいって言ってしまった身からいうのも変だけど、最後の言葉で先輩の気持ちが分からなくなった。
高橋先輩は本当に私の事好きなんですか?
-つづく-
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