高橋先輩と(仮) ② -放課後-


思っていたよりも高橋先輩と一緒にいるのは楽しかった。

前からお話し上手だと思っていたけど、本当にそうだし、私が答えずらそうだったら質問の仕方変えてくれたり、話題変えてくれたり、すごい気をつかってもらっている気がする。

でも、こんなに気を使っていると疲れないか心配。



「永祢ちゃん楽しい?」


「すごく楽しいです!こんなに楽しく男の人とお話したの初めてかもしれないです!」


「そっかそっか良かった~。今日すごく心配だったんだよね。」


「何が心配だったんですか?」



高橋先輩も心配する事あるんだ…。ってそれは失礼か。



「ほら、2人だけで話す機会もそんなになかったから、急に2人きりなんて緊張するでしょ?だから楽しいって言ってもらえるか心配だったんだよね。」


「ふふっ、まだ目的の場所にもついていないのにですか?」


「あー!笑ったね!しょうがないじゃん、心配なものは心配なんだから~。あ、着いたよ!ここが一緒に来たかった所!」



そこは学校から歩いて行ける距離にある、私の行きたかったパスタのお店!!!

ここはパスタにチーズを山ほど乗せてくれる話題のお店で、テレビとかで紹介されたばかりの時は行列で食べれないし、杏実はチーズ苦手で一緒に来れないから一人で寂しく来るしかないって思って諦めかけてたお店!!



「すごく行きたかった所です!来れると思っていなかったので、嬉しいです!」


「そんな喜んでもらえると思ってなかったから、僕も嬉しいよ。」


「高橋先輩!早く行きましょう!!」


「そんな急がなくてもパスタは逃げないよ~!」



テンションが上がってしまった私は、高橋先輩を置き去り気味ではしゃいでしまった…。

店内は思っていたよりも空いていて、高校生が来ていいのかなって思うぐらいしゃれだった。



「永祢ちゃん何食べる?」


「ど、どれにしましょう…。」


「どうしたの?さっきの威勢はどこに行っちゃったの?」


「だって、こんなにおしゃれなお店だと思っていなかったので。」


「確かにちょっとおしゃれだね。僕もこんなにアウェイっぽくなるとは思ってなかったけど、食欲には勝てないよね~。あ、僕はカルボナーラしよーっと。永祢ちゃんは?」


「じゃあ、私はボロネーゼで。」


「おっけい!」



高橋先輩はやっぱり優しい。

一緒にいて飽きないし、お話するのも楽しい。

でもやっぱり気を使い過ぎていないかなって思っちゃう。

出来れば対等でいたい…なんて贅沢かな。

他の人にもこんな感じなのかな?



「お待たせいたしました。」



いろいろ考えている間にパスタが来ちゃった。

高橋先輩がたまに話かけてきてたけど上の空で全然会話覚えてない…。

失礼なことしちゃったけど、大丈夫だったかな。



「いただきまーす!」


「いただきます。」


「ん!チーズふわふわでおいしいです!!」


「こっちもこしょうといい感じでおいしいよ。嫌じゃなかったら一口ちょうだい?」


「は、はい!どうぞ。」


「お皿ごとじゃなくて、あーんしてほしいな~。なんて。」


「あーんって…分かりました。」


「え、いいの!?」


「もしかして、からかっただけですか!?」


「いや、いいよって言ってくれると思わなかったから。でもいいなら遠慮なく!」



あーんなんてしたことないし、いいって言ったけどこれって思ってたより恥ずかしい。

女の事だったら全然平気なのに…!!



「んん!おいしい~!そういえば、さっき永祢ちゃん何考えてたの?」


「えっ?」


「ほら、パスタが来る前上の空だったでしょ?」


「き、緊張しちゃって…。」


「確かにね~、じゃああーんしたらその緊張ほぐれるんじゃない?はいっ口開けて~!」


「自分で食べます!」


「ダメ!はいっ!」



真っ面の笑みでこっちにフォークに巻かれたパスタを差し出す先輩。

しかも、そのフォーク先輩使ってませんでした?

私自分のフォーク持ってるもん。って、そういえば私も自分のフォークであーんした…。はっずかしい!!!!

先輩は諦めてくれなさそうだから、諦めるしかないか…。



「あー…ん…んん!!おいひぃです。」


「でしょー!」



私が緊張しちゃってって言った瞬間、ちょっと顔色が変わったけど、何事もなかったように話変えて気づいてないように振舞うなんて…高橋先輩はずるい。

嘘ついた自分が恥ずかしくなる。



「おいしかったね~!」


「はい。」


「これ以上いると夜になっちゃうから、もう帰ろっか。」


「これで帰るんですか?」


「なになに?えー、足りない?」


「いや、そういうことじゃなくて…、えっと…」


「冗談だって~。明日も学校だから授業に響いたら嫌でしょ?だから~、土日はもうちょっと遅くまで遊ぼうね。」


「分かりました。」


「明日は僕がちょっと用事あるから、送ってあげられないけど、朝は迎えに行くからまた駅でね。」


「はい。駅まで送って頂いてありがとうございます。」


「いいえ、じゃあ、また明日ね。」


「また明日。」




そう言って別れたけど、今日が思ったよりも楽しくて名残惜しいなんて思ったのは、まだ高橋先輩には内緒。








-つづく-








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