(仮)の関係?
高橋先輩と(仮) ① -初日-
『明後日の学校からは僕と仮だけど彼女になってもらうからね!』と言われてから2日。
そうです。
文化祭の振替休日が終わって学校に行く日です。
高橋先輩が学校に行く時間決めるときとかに”彼女”なんて単語をメールで突きつけてくるから、すごく意識しちゃう。
突きつけるは言い方良くないかな…。送ってくるから嫌でも意識しちゃう。
彼氏なんて生きて来て1度もいたことないのに。
もう少しで駅に着いちゃうー。
学校に行くだけなのにこんなにも緊張するなんて。
「あ、おはよう永祢ちゃん!」
「おはようございます。」
「今日から1週間よろしくね!あわよくばそのままずっとでもいいよ?」
「と、とりあえず1週間、よろしくお願いします。」
「真面目だな~。」
「そういえば、佐藤先輩はいないんですね。」
「そりゃ、永祢ちゃんと登校するんだし。てか、いつも亘輝と一緒に登校してるわけじゃないしね。」
「そうだったんですか?いつも一緒だと思ってました。」
なんで私少しショック受けてるんだろう。
いつも2人が一緒にいるのが当たり前だったからかな?
とりあえずは2週間はどちらか片方だけと会うって感じなのかな。
「あれって、佐藤先輩ですよね?」
「本当だ。大変なことになってる。」
そこには校門で多学年の女子生徒に囲まれた佐藤先輩がいた。
コンテストで1位になったしそうだよね。
でも3年生だけじゃなくてほかの学年の生徒にも囲まれてるからさすが。
1週間会わないと思ってたからちょっと嬉しいかも。いやいやいや、なに嬉しいって!!
「ねぇ、あの子って先輩のペアの子じゃない?」「ほんとだ。」「隣にいるのは、もう一人の優勝した先輩じゃない?」
佐藤先輩の周りを取り囲んでいた女子生徒たちが私たちを見つけると、瞬く間に囲まれた…。
何ですかこの状況…。
登校してからというもの、いろんな人から先輩との関係や、ドレスの詳細とか、ペアに選ばれた感想とかの質問攻めにあったけど、やっとお昼になって落ち着いた。
質問の答えには私と先輩達で決めた返答にするって決めてたから答えやすかった。
これで高橋先輩と仮とはいえ付き合っているって噂されたら、それこそ私は学校に来れなくなりそう…。
「本当に疲れた…。」
「お疲れ様。すごかったね。」
「ありがとう、
杏実とは中学からの友達で、唯一この高校で気楽に話せる友達で、この前のコンテストで1位になった時も一緒には入れなかったけど、あとから電話で喜んでくれた。
でも今回の先輩たちとのことだけは、杏実でも話せないかな。
どこから話が広がるか分からないもん。
これじゃあ、信じてないみたいで友達失格かもしれないけど…ごめんね。
終ったら全部話すから。
「この前のコンテストで1位になっちゃったもんね。」
「もう、いつまでそれ言うの。」
「ずっとだよ!だって嬉しいんだもん!大好きな友達がコンテストに出てて、しかも2人の先輩とペアになって、さらには1位取っちゃうんだもん!私には内緒だったけど。」
「も~恥ずかしいって。内緒じゃなくて、突然連れてかれたって言ったじゃん。杏実も出場すればよかったのに。」
「嫌だよ。男の人嫌いだもん。女の子となら出るよ。」
そう、杏実は男の人が大っ嫌いなんだよね。
何があったかは詳しく聞いてないけど、知り合った当時から男の人が大嫌いだった。
そんな杏実に今の状況を話したら怒るに違いないからこそ言えないっていうのもあるんだけどね。
「そうだ真美、今日の帰りに前に言ってたカフェ行かない?」
「ごめん、今日は先輩達に呼ばれてるんだ。また今度でもいい?」
「そっか…、残念だけどまた今度行こう。じゃあ、また明日ね。」
「ありがとう。また明日。」
そんなこんなで今日は、授業の間に少数の生徒が質問に来る以外は普通にいれた。
みんな飽きたのかな?それならいいんだけど、たぶん隣で杏実がすごい睨みきかせていたのもありそう。
放課後は高橋先輩が連れていきたいとこるって言ってたけど、どこ行くんだろう?
とりあえず待ち合わせの校門にいるけど、2年生になるとホームルーム長いのかな?15分待ってるけど来ない…。
「永祢ちゃんお待たせ~!待たせちゃった?」
「大丈夫です!」
「ごめんね、じゃあ行こっか!」
「あの、どこにですか?」
「それは、行ってからのお楽しみ!」
そう言って行先を教えてもらえないままお付き合い(仮)1日目の放課後が始まった。
-つづく-
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