ちょっと待ってくださーい!


「ちょ、ちょっと、どこに連れて行くつもりですか!?」


「んー、教室かな?」


「俺の教室でいいか?」


「いいよ。」



2人がよくても私はよくない!!

2人に両手を握られているから身動き取れないし、歩くスピードは私に合わせてくれているのか少しゆっくりだけど歩きづらい…。

それにさっきの話が気になるし、早く落ち着いて話したい。



「着いたぞ。」


「永祢ちゃんは、ここの椅子に座ってね。」



私は先輩たちに向かって、先輩たちが私の目の前で椅子の背もたれを抱えるように座る。

というか、座らされた。


何も話さない先輩達。


沈黙が辛い。


何が始まるの…。



「よし、僕は覚悟決めたよ。亘輝は?」


「あぁ、俺も決めた。」



2人は何か覚悟を決めたらしいけど、これから何が始まるんですか…?

私の座っている席の机に手を置いてるからすごくすごーく近いのですが。

ただでさえ顔がお2人ともいいから、これじゃあ緊張しちゃう。



「なぁ、永祢。」


「はい…?」


「好きだ。」


「はい!?」


「あ、ちょっと抜け駆け!僕も永祢ちゃんのこと好きなんだ!」


「えぇ!?いやいやいやいやいや!!!!!?」



先輩達が好き???

私のことを?



「なんで?」


「なんでって…」


「理由が必要か?」


「いえ、そうではないですけど。」


「もう、怖がらせてどうするのさ。」



高橋先輩なら好きだってわかる。正直あんまり分からないけど。

でも、佐藤先輩が私を好きなのは少しも分からない!

だって、いままで少しの期間だけど一緒にいてもわからない。

もっと恋愛マンガとかドラマみたいに好きー!ってなってくれてるならわかるけど、こうもそっけないと普通に嫌われてると思ってたぐらいだよ?


どうしよう…。


でも一人で考えててもしょうがないよね。

だって、先輩たちの本当の気持ち分からないもん。



「あの、お返事なんですけど。」


「どうしたの?」


「好きって言っていただけてとてもうれしいんですけど、なんで先輩たちが私なんかのことが好きなのか分からなくて…。」


「なるほどね。…ということは僕たち振られたってことかな?」


「あ、いや、そういうことじゃなくて…」


「どっちかと付き合ってくれるの!?」


「あの、そういうことじゃなくて」


「おい、隆樹、永祢が困ってんだろ。」


「あ…、ごめんね。つい焦っちゃって。」



これだけ高橋先輩が焦ってるってことは本気なんだと思う。

わざとじゃないんだけど、なんか申し訳ない。

先輩たちも本気だったらちゃんと考えないと、だよね。



「お返事なんですけど、1週間ほど時間いただけないですか?」


「どうして?」


「先輩たちのことがまだよくわからないので、ちゃんと答えるために少し時間をください。」


「わかった。」


「ちゃんと考えてくれるなら。」


「ありがとうございます。」


「じゃあさ、僕たちの事もっと知ってもらうためにさ、1週間ずつ仮でつきあってみない?もちろん、変なことはしないって約束で!」


「隆樹にしてはいい案。」


「じゃあ、決定でいい?」



それって私に拒否権無いよね?

高橋先輩は拒否権をくれないように誘導するのが上手だよね…。



「分かりました。」


「じゃあ最初は僕からね!」



いつの間にか順番を決めていたのか、最初の1週間は高橋先輩で次の1週間は佐藤先輩という風に決まった。

その後、文化祭も後夜祭も終り、茉希先輩とも合流しさっきまでの詳細を話した。



「やっぱりそうなるか~。」


「やっぱり?」


「なんとなくね、2人とも真美ちゃんの事好きなのかな~って思ってたから。」


「やっぱり姉ちゃんにはバレるか。」


「いや、亘輝は確実だったけど隆樹は半信半疑だった。」


「え!?佐藤先輩じゃないんですか!?」


「そりゃ、ね~?あんもごmm!!」



そのまま茉希先輩は佐藤先輩に口を押さえられたまま、ちょっと離れたところに連れていかれて怒られてた。


でもそっか、佐藤先輩は茉希先輩から見たら分かりやすいんだ。

ふふっ、いつもクールな先輩が分かりやすいなんて。

って、なに私喜んでるの!?



「なーに亘輝見てニヤニヤしてるの?僕妬いちゃうよ?」


「そ、そんなことないです!」


「ふーん、そういうことにしといてあげるよ。でも明後日の学校からは僕と仮だけど彼女になってもらうからね!」


「は、はい。」


「じゃあ、明後日に駅に迎えに行くから一緒に学校行こうね!じゃあ!」



そう言うと高橋先輩と茉希先輩は帰ってしまった…。

なんかいろいろと嵐みたいに過ぎていったな。

疲れたし、そろそろ帰ろ。



「駅まで送る。」


「びっくりした!!あ、ありがとうございます。」



佐藤先輩との帰り道は無言のままだったけど、駅まで送ってくれてそのまま駅には入らず、来た道を戻っていて申し訳なさもあるけど少し嬉しかった。


でも、明後日は高橋先輩と仮だけどお付き合いの期間が始まるのか…。

どうなるんだろう。

マンガでもこういうのなかったから、未知の世界過ぎて想像もできない。

とりあえず、今日はいろいろありすぎたから帰ったら寝よう。






-つづく-








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