高橋先輩からのエスコート①


「ここ座ってね~。私は2人からメイクと着付け頼まれてる3-A 高橋 茉希まきだよ。よろしくね。茉希って呼んでいいからね。」


「1-E 永祢 真美です。茉希先輩、よろしくお願いします。」


「そんなに緊張しなくていいよ。まずは隆貴のドレスだったよね。最初が赤か~真美ちゃんに似合いそうな色だよね!ってことでよし、時間もないし始めるか!」



赤が似合いそうなんて初めて言われた。

そんな派手な色絶対に似合わないって思ってたから、なんかすごくうれしい。

それに、メイクはここでしてね~って放り出されなくてよかった。

私が自分でメイクしたらとんでもないことになりそう…。

それにしても茉希先輩って高橋先輩となんとなく似てるような気がする?目元とか話し方も少し、気のせいかな。



「あの、失礼なこと聞くかもしれないんですけど、茉希先輩って高橋先輩と似てますよね?」


「そう?」


「はい。目元とか話し方とかがなんとなくですけど。突然変なこと聞いてすみません。」


「いいよ。そっかそっか似てるか~。まぁそうだよね、姉弟だし。」


「え?やっぱり!だから高橋先輩とも佐藤先輩とも仲がいいんですね。」


「幼馴染だからね~。ほんと、変なのに懐かれちゃったよね真美ちゃん。」


「変なの、ですか?」


「ううん、何でもない。」



高橋先輩と茉希さん姉弟だったんだ。

そしたら顔が似てても当たり前だよね。

それにしても変なやつに懐かれたってどういう意味だろう?

変な人なんて周りにいないけど…。



「よし!完璧!我ながら素晴らしいね~!」


「すごい…別人みたい。」


「別人ってことはないでしょ。まぁこんな格好することそうそうもないし、しょうがないか~。」



姿見に映っているのは私とは思えないほどきれいに着飾った人物だった。


赤なんて着たことないから似合わないと思っていたけど、少し深みのある赤なら私って似合うんだ。ボルドーだっけ?

メイクは口紅とかまつ毛に少しが赤足されていたり、ゴールドのアイシャドウがさし色になってる。

髪の毛はサイドポニーで少しボリューム出すために巻いてるし、サイドポニーなんてしたことないからいつもと全然違う。赤いシュシュが可愛い?

でも本当に自分なのか疑っちゃうぐらい綺麗。



「さてと、最後は靴ね!これを履いてって隆貴からのお達しよ。」


「かわいい!」



ピンヒールだけど少し低めだから履きなれてない私でも歩けそう。

色はドレスと一緒だし、ポイントでリボンが控えめについてるのが可愛い。



「おーいそろそろ、着替えはどう?」


「ばっちりよ隆貴、見てみれば?」


「うわ~、完璧じゃん。さすがだね。」


「でしょ?」



高橋先輩は深めの青のタキシードを着て髪の毛もいつものマッシュじゃなくて、オールバックで顔がばっちり見えるようにセットされていた。

いつもと雰囲気が違うからなのかな、すごくかっこいい。



「よし、永祢ちゃん行こっか!」


「は、はい!」



慣れた手つきで私の手を取ってエスコートしてくれる。

私の歩幅に合わせて歩いてくれるからすごくゆっくりになっちゃうし、いつもと雰囲気が違うから緊張して顔も見れない…。



「ねぇ、緊張してるでしょ?」


「当たり前じゃないですか。」


「なんで?」


「高橋先輩がいつもと別人なんですもん…。」


「ははっ、僕、かっこいい?」


「え?あ、、はい!かっこいいです。」


「そっか、そっか~。よし、そろそろだね。僕がいるから安心していいからね。」


「はい…。」



すごく不安が残る中、高橋先輩にエスコートされて観客という名の生徒がいっぱいいるランウェイへ。






-つづく-








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