第4話 お客さん第一号

それからの事を話すと――女の子は小学校3年生の子で、この近くに住んでいるらしい。そして今週の日曜日久しぶりにお父さんとおでかけで、この鉄道の終点の観光地に行くらしい。

女の子のお父さんはいつも仕事でいろいろなところに行っているらしく。家に帰って来るのは久しぶりで、女の子はそんなお父さんに自分が成長したとびっくりさせたいらしく1人でお弁当の注文へとやって来たらしい。

余談を話すと、はじめは女の子自身が作ろうとしていたが。お母さんにも秘密にしたい。やらやらで――どうしようかと思っていたら。駅の近くでおじいさんがチラシを配っていたと。

そして先ほども触れたが……お母さんにもバレたくないということで。今日も遊びに行くと言い。お小遣いを握りしめてここにやって来たとか。うん。すげえよ。お父さん幸せだな。でもお母さんにはちょっとどこに行くかは――伝えてから来た方が……と、俺は思いつつ。女の子の話を聞くことにした。


ちなみに女の子は改札の中で受付をしているとは思っていなかったというか。まあチラシがわかりにくかった――もあるかと思うし。

そもそも改札内ってのがね。切符買ったりしないとなので、ハードルが高いよね。うん。今度から場所は要検討だよ社長。である。


それから数分。俺は女の子と話した。

幸いというか。女の子はこんなお弁当がいいと。絵を描いてきてくれていたため。それを見ながら話し合った。


「—―っていうお弁当が欲しいの!お金これで足りるかな?」


そう言いながら女の子は小さな小銭入れから100円玉や10円玉が出てきた。

お小遣いを貯めた物らしい。って値段がね。うん。難しい。決めるの難しいよ。と思いつつ俺と女の子が一緒にお金を数えると――1130円あった。お手伝い頑張ったんだなー。と俺が思っていると。その時だった。


「かわいいお客さんだねー。なになに今は値段の相談会?」

「—―大羽根おおばねさん?」


俺の後ろから俺と同期で、入社後からずっと男性職員人気ナンバーワンの大羽根さんが顔を覗かせた。

確か駅の方に居たはずだが――どうやらこちらに気が付いて様子見で出てきたらしい。


「なになに。お父さんと食べる。そして――かわいくて、キラキラ。魚さんやカニさんが欲しい。おー、キャラ弁?みたいになるのかな?で、2つ。うんうん。そしてお金かー。値段が要相談だからね」

「まあ、それが難しいですね」


俺が返事をすると大羽根さんが……。


「よし。ここは切りよく行こう!お嬢ちゃん。日曜日?うん。注文は――今度の日曜日ね。じゃあその時にこの100円玉10枚。1000円分持って来てね。そしてお父さんには切符買ってって頼むんだよ?」

「はい!」

「……大羽根さんが仕切ってる――まあ助かったけど」


とまあ、何かこんなのでいいのだろうか。というのはあったが。ここで注文が決まった。ちゃんと書類も書いてくれたし。うん。マジでこの子しっかりしてますわ。だった。ってか。今度から注文書の枠。大きくしようと思った俺だった。うん。これも社長に言わないとだよ。どんな人が来るかわからないからな。あとひらがなバージョンとかさ。うん。いろいろメモしとかないとだよ。


「バイバーイ!」


結局それから最後まで大羽根さんが女の子と話してくれたので、俺は隣でチェックしていく。という感じで――数十分程度で注文は終わった。


次は――日曜日までに俺が頑張るである。


って余談だが。この後すぐの事を言うと。

女の子と入れ替わりで、女の子のお母さんがすぐに駅へとやって来た。どうやらお母さんは娘が考えていた事に気が付いていたらしく。今日も遠くからこっそり見守っていたらしい――まあこのことは女の子には秘密だ。うん。ってかお母さん登場したが。本当にしっかりしていた女の子なのでね。お母さん出る幕なしだったというね。

まあでも女の子に話したことと同じことと。注文書をお母さんにも確認してもらったりした。

ってか。一応だが。連絡先はちゃんと書いてもらったので、この後家にも。お母さんにも連絡して確認とか俺は思っていたのだが。うん。その作業は無くなったのだった。


という感じで初めてのお客さん登場で。今週の予約は終了。

ってかこれってどっと人が来たら大変だよね。うん。今日は人が1人だったからなんか普通に終わったが。朝に一気とか来られたら――だから。予約方法を要検討だろう。と思っている俺だった。


はじめてやることは――いろいろ手探りが多い。ってか――社長の思いつきは穴だらけで大変なんだよ!である。


ってか。社長への愚痴はおいておいて、初めてのオリジナル弁当。うん。どんな感じにするか。これが今から俺が考えなければいけないことだ。


女の子の希望するお弁当は、大きさは小さくて、その中にかわいいや、キラキラ。魚さんやカニさんが欲しい。あとお父さんがびっくりする見た目がいい。だった。


それからは調理場の方で俺が女の子が書いてきたイラストをもとに考える。

ちなみに容器はね。すぐにわっぱ弁当だったかに使うやつに決まったんだが――って容器は、一応小さいのから大きいのまで準備してあったんだよ。うん。社長が。

ってまあ容器だけではなので――中身を俺が考える。


女の子が言っていたかわいいはやっぱり赤ウインナーで生き物を作る。になるだろう。キラキラは――ミックスベジタブルを使って――チャーハン、炊き込みご飯とかか。うん。それでほとんど埋まるよな――と考えつつ。あと予算もね。うん。いろいろ難しいよ。


そんなこんなで俺はとりあえず作ってみた。試作品だ。

いや、料理はね。一応前にだが経験者なのでね。そこそこちゃんとしたものは作れるよ。である。

わっぱの中にまずミックスベジタブルを入れて作った炊き込みご飯。うん。これが土台。その上に赤ウインナーで作ったカニや魚などを並べる。あとちょっと揚物でイカリングを葉物を置いてその上に置いてみたり。イメージは竜宮城ってか。海の中って感じなのでね。リングでちょっと水の中に出来た輪っかというか。まあそんな感じだ。

ちなみに女の子が「お父さんはイカが好き」と話しの途中で言っていたから、イカリングが登場した。なんだがね。

ってか。なかなか全部叶えるって大変だよ。である。

そうそうイカリングの下に敷いた葉物は個人的にはわかめ。こんぶをイメージしていたり――って、なんか普通のお弁当が出来たというね。うん。普通に美味そうだった。するとまたここで何かを察知したのか――。


「やあやあ、松本君。お弁当作りはどうかな?」


受付の時にもやって来た声がまた聞こえてきたのだった。

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