『和の侵略』
石燕の筆(影絵草子)
第1話
(愛国心規正法)が制定されてからこの国は変わった。
今までは外国の文化を柔軟に取り入れた多国籍文化といっても支障がない自由な国だった日本も今は無き古きよき日本の文化を取り戻そうと民間人への愛国心の強要を政府は命じた。
それに従わない人間には重い罰が与えられるようになり久しい。
すでに何人もの人間がその理不尽な規正法で処罰されている。
食事のマナーから挨拶の仕方まで様々な日本文化を無理やりに学ばされる。
洋服さえ着れない。和服か着物以外は着用してはならず、日本語はすべて江戸弁に矯正された。
御用、御用と提灯をぶら下げた奉行所の連中が髷をして法律違反者を追いかける。
やがて法律違反者は取り押さえられて連れて行かれる。
その国の法律に嫌気が差した馬渕はアメリカに逃げた。
うまく逃亡に成功したが、そこにあったのは日本と同じくアメリカン精神に支配された西部の開拓時代のような街だった。
唖然とする馬渕。
すると後ろから何者かに威嚇される。
『go ahead!』
ゆっくりと振り向くが、
振り向き様に撃たれた。
気づくと天国にいる。
やっと文化から解放されると思ったのもつかの間、天国でも独自の文化があり再び馬渕は文化の檻に囚われるのだった。
『和の侵略』 石燕の筆(影絵草子) @masingan
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