第379話 私の躾はなっていないらしい…
白河の家で勃発した恵麻とサラの争いは、私の仲裁で武力衝突は無くなった。恵麻はプライドが高いため、3歳のサラへ大人げない態度を取るのは良くないと叱っても、謝らないまま…仕事をすると言って、事務所へ戻って行った。ケンカ中、だんまりを貫いた瑠奈は風見鶏のように、サラへすり寄って行き、変顔をしたりして、笑わせようとしていた。
瑠奈は姉のケンカを止めない。利がある方へ付く。今は姉から離れて、サラ側の味方をしている。
「あの女がああ言う態度を取るのはすべて、紫音様の教育が悪いのですわ!」
サラの怒りは収まらず、私は恵麻の代わりに説教を受けていた。
(こう言う、視野が狭くなる所はけっこう小鈴に似ているよね。)
「美空、お帰りなさい。こっちにいらっしゃい。」
未央はよその子供同士の揉め事など、気にもせずに帰って来た美空を近くに呼んだあと、
「ただいま戻りました、お母様。先日の配慮の至らない発言、本当に申し訳ありませんでした。」
サラに説得?された美空は白河家へ戻って来て、母親への謝罪をすると、
「良いのよ。お母さんの都合で美空には兄弟を産んであげられないんだから、謝る必要は無いわ。私もそこのバカな娘に言われたわ。血が繋がらなくても、美空の姉は紫音で、美空の妹は瑠奈と小春でしょ?みんな美空のように優秀じゃないし、手が掛かるし、似てないけど…あなたは誰よりも姉妹も友達もたくさんいるし、恵まれた環境にいる事を忘れないでね?」
未央は美空の環境はとても恵まれている事を話した。
「わたくしもあなたを姉のように慕ってますわ。紫音様の娘たちは親のしつけがなっていない、ろくでも無い女ばかりですもの…。」
サラは清廉な美空を姉だと言って、恵麻の態度が悪いのは私の躾がなっていないと言って、瑠奈や小春まで、ろくでもなし姉妹だと罵倒された。
(上から目線の長女のせいで巻き添えを喰らったよね、私たち…。)
そんなろくでもない妹と言われた、瑠奈を見るとサラの肩を揉んで何故か、媚びていた。その媚びまくりの行為を受けたサラは、
「あら、瑠奈は分かっているのね。先程の言葉を修正します、神里の血が繋がる瑠奈や小春は良い女ですわ。こんなにも瑠奈は本家のわたくしへの忠誠心を示しているのに…、あの女だけは許さない。」
瑠奈は媚びまくった結果、母親の私を差し置いて、サラからの信頼を勝ち取っていた。
(瑠奈はさっきから、どういうつもりなんだろう?根っからの平和主義って感じでも無いのに…。)
瑠奈は基本的に子供同士のケンカをしない。だから、妹の小春にはやられたい放題だし、美空やサラには言葉でも抗議すらしない。だからと言って、姉の恵麻を怒らせたりするため、よく分からない立ち回りをする。
しかし、瑠奈の奇妙な立ち回りの結果、すべての場は収まり、美空は母親との仲直りが出来て、美空が孤独を感じる事を無くなっていた。親子の時間を作ってあげたい私は、瑠奈の帰る支度が出来たため、白河家の玄関まで行き、
「じゃあ、帰ろっか?瑠奈。サラちゃんは麻友の仕事が終わるまで待つ?」
私はサラにどうするかを聞くと、
「わたくしは表の化け猫にでも、送ってもらいますわ。」
外に出たサラが屋根にいる日向ぼっこ中のマリアを呼ぶと、
「アホか、ウチはタクシーちゃうぞボケ。アホやんのは隣の瑠奈だけにしろや。」
マリアは寛いでいたため、少し機嫌の悪い。なので、呼びつけたサラをアホ呼ばわりした。
「口が悪いのは、あの女譲りね、紫音様はペットの躾もなっていないのかしら?」
こうして、今日は何もかも私の躾のせいになる。
「まあ、かまへんで、ええ天気やし、散歩がてらに送ったるわ。紫音はもうすぐ産まれるんやし、うろうろしてんと、はよ帰って休めや。」
私の体を心配したあと、サラを抱き上げて、走り去って行った。
「マリリンは子供好きだもんね。頼まれたら、無下に断らないよ。」
瑠奈はそう言って、私の手を引いて、ご機嫌なまま歩き始めた。
(本当に切り替えの早い子だよね…。あんまり深く考えずに直感で動くのは、私に似ちゃったのかも。)
姉の恵麻が神里家に引き取られた事と、小春が存在した事で、急成長をした我が家の次女。年齢を重ねる度に母親似なのが分かってきて、嬉しい私は、
「お腹の子も瑠奈に任せたら、きっと大丈夫ね。」
そう言うと、
「お母さん…、早く仕事したいのは分かるけど、さすがに育児放棄はダメだよ?」
仕事が好きな私の心理を見抜いて、育児放棄はダメだと言ってきた。
「瑠奈は新しいお父さんが欲しい?」
娘に父親が必要かを聞いてみると、
「お母さんは見た目と中身が完璧なのに、頭が良すぎて、計算高い所を全面に見せるから意外とモテないよね?それにマユマユがお父さんの代わりをしてくれるから、大丈夫だよ。」
私は周りは女だらけのため、黒子川さん以外の男性としばらく喋っていなかった。離婚してからしばらく男性と会話してないため、男に飢えてる私が優しい彼に癒されていると、美南が彼に色目を使うなと言って、私を彼から遠ざけてくる。
(あとの男の人はみんな妻子のいる人だから…ね。綾美社長の旦那さんと未央お母さんの旦那さんは過去の事で私をメチャクチャ怖がってるし、岡崎さんに至っては私と瑠奈を悪魔の親子って言ってきたし…。)
知り合い男性に対して武力制圧すると、恐れられる事を知った。
「今のお母さんの支持層って女性ばかりだもん。ドラマも始まった当初は、メチャクチャ可愛い新人の子って意見が多かったのに、後期のドラマで妊婦姿を見せた途端、男性ファンはいなくなったね…。恋愛対象路線から外れた女の末路って感じ。」
後期のドラマで小鈴役の日向は不人気から一転して、人気者となった。いじめっ子がいじめていたヒロインを認めて、親友になると言う脚本がベタなのだが、私と小鈴の史実に近い親友関係にキュンってした人が多いらしい。あとは、最終話での小鈴の娘、ハーフの美少女サラの登場が健気なヒロインの紫音人気をすべて奪い去り、今の私は日常のどこにでもいる妊婦として空気になった。
(完全、神里グループの会社宣伝のダシに使われたわ。まっ、脚本家の恵麻は勝手に出演を差し込まれて、編集されたエンディングを見て、かなりキレてたけど…。)
ドラマの最後は神里家の宣伝のために作られていた。学生募集を促す可愛い学園の制服、グループ会社の手厚い福祉、核家族家庭にはツボにハマる子育てのグループ化など、まるで楽園と錯覚する政策の実施だ。
(アレだね…、あの人は日本から独立して国家を作るつもりだ。)
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