第226話 出来る女は恋も上手

 従者の麻友は依頼人の霊体を取り込んで、依頼を来なそうとしていたが、女子高校生の制服を着こなしながら、霊体の情報を読み取り男性器を形成して女性を抱くために動き始めた。


(肝が座りすぎだよ…、麻友。)

 

 麻友の顔は特にボーイッシュって訳でも無いのに、女性をナンパするって成功するのかな?少し様子を見てみよう…。

 

 麻友は京阪電車で祗園四条まで行くと、河原町近くの繁華街まで歩き、それなりの年齢の女性に声を掛けて、個室で防音設備のあるカラオケ屋に連れ込んでいた。

 

(大胆だな~。そんな所でヤるのか?)

 

 俺は入る訳にはいかないので、近くのカフェのテラスでカフェモカを飲みながら待っていると、一時間ほどして、麻友だけが出てきた。

 

(あれ?連れの女性がいないぞ?)

 

 連れの女性を待つわけにはいかないため、麻友を追い掛けると、違う女性を引っ掛けて、次はラブホテルに連れ込んで行った。

 

(麻友、プレイボーイ過ぎるだろ…。)

 

 どうやら、女性の麻友は性行為をしたい女性が分かるらしい…。そう言う性の匂いに敏感なのだろう。

 

(追うのを辞めよう。この調子だと、彼女は依頼人の願い通りにたくさんの女性を一晩の関係を続けて、抱くつもりだから…。)



 俺は家に帰り、夕食を作っていると、恵麻の子守りをしていたマリアがやって来て、


「紫音、仕事終わったん?早いな~。」と聞かれたため、

 麻友が男性の霊の願いを聞いて、女性を抱いていると話すと、


「人間も猫のウチと変わらへんねん。本能で性行為をしたいねん。だからな、男も女も溜まっているんやで…。あんたの体は今はそんなに性欲が高くなくても未央さんぐらいの年齢になったら、しょっちゅう男とヤりたくなる体に変化するかもしれへん。」

 マリアは本能で依頼を叶える麻友のやり方を否定はしなかったが、


「穢れる事を恐れない麻友は清廉な紫音の体とあんたの心の良さを引き立てる。だからな、あんただけは変わらんままでおってね?ウチと恵麻の理想の人間であり続けてくれよ。」

 そう告げて、マリアはご飯作りを手伝ってくれた。


 マリアと恵麻を俺の近くに置いても本部が許している理由はここにあるんだ。穢れなき心と信念を持っている魂を持っている。母さんは他者依存で脆い紫音の体に息子の魂を入れてコントロールしようと企んだのか…。


(母さん…、あなたは悪人だよ。紫音の体と相性の良い麻友を送り込んでスパイみたいな真似をさせたり、予め、紫音の体に悪霊の呪いを与えておかしくしたり…。)


「あんたも両刀使いのJKの体に押し込められて、神里のババアと本部の権力争いの間に挟まれて大変やな…。」

 調理した料理を盛り付けながら…、マリアに言われたので、


「マリア、権力争いの板挟みされている状態は分かるけど、両刀使いって何?」

 そう言って、彼女に尋ねると、


「んなもん決まってるやん。あんたは今、女の体やけど…女も行けるやん。だって…あんた、恵麻とウチの三人で寝てる時にいつもウチの胸は揉んでくるし、ウチにキスして触ってくるやん。」

 身に覚えの無いことを話して来たので、


「私、そんなことしてないよ~。」やっていないので、否定したのだが、


「そうやな、寝ごとで未央が好きだ。愛してるって…。どんなけ昔の女を引きずってんねん。でも、昨日は麻友~、好きだよって言っとったで?やっぱ若い女の方が良くなったん?ウチは猫やからエエけど、ペットを性の捌け口に使うんは…どないなんやろ?」

 どうやら、寝言で女性を抱いているらしい…。


(私…ヤバい女だよね…。やっぱり麻友に抱かれた方が良かったのかな?)


 仮眠していた恵麻が起きてきたため、三人でご飯にすることにした。彼女は夕食のメニューを見て、


「母君、肉類が好きなのは知っているが、ちと、野菜が少ないぞ?」

 野菜が少ないと大人恵麻からクレームが入ったため、冷蔵庫からサラダを差し出した。


「作ってたのに隠すなや。子供か!」マリアに怒られた。


「だって…、野菜が嫌いなんだもん…。」

 紫音の体は野菜が大嫌いため、こうして、ちゃんと作ったのに無意識に遠ざけてしまう。


 三人で仲良くご飯を食べていると麻友から連絡が来たため、早い目に食事を済ませて、もう一度、麻友と合流することにした。


「おかあさん、ついてく」

 恵麻も来ると言ったので、マリアに彼女の着替えを頼んで、出掛ける準備をして、二人で麻友に会いに行くと、


「麻友、シャワー浴びたの?髪の毛濡れてるよ?」

 さっぱりして、着替えも用意していた麻友に尋ねると、


「さすがに、疲れましたよ。成人女性が意外に体力あるんです。でも、私は紫音様、一筋ですよ。」

 そう言って、彼女は私に笑顔を見せてくれたので、


「ありがとう。麻友、彼は満足したんでしょ?」

 麻友の隣で霊体に戻った彼は今にも成仏しそうな感じでグッタリしていた。


(あっ、霊体って疲れるんだ…。何回ぐらいHしたんだろ?)


 そのあと、門を開くとフラフラな彼はそのまま歩いて旅立っていった。


(変な依頼だったな~。性欲って霊体でも持ってるんだ…。)


帰り道で気になる事を彼女に聞いていた、

「でも、麻友は女性を上手く引っ掛けていたよね~。イケメンでも無いのになんで?」

 女性をホテルまで連れ込めた理由を聞くと、


「紫音様、女性の中には、女子高校生に迫られたい女性もいるんですよ。男性器の付いた女性と性行為をしたい女性と言う、需要も意外とあるんです。」

 性癖を持つ女性の夢を叶えつつ、男性の霊の夢も叶えたと話してくれた。


(へぇ~。そんな世界もあるんだね~。)

 男も女も色んな性癖があることを知った俺は、


「今度は麻友と一緒に夜を過ごしたいな…。」

 麻友と一緒に過ごしたいと誘うと、


「ふふっ、今度、添い寝して差し上げますよ。」

 そう返事した彼女は微笑みながら、


「では、今日は依頼で疲れたので失礼しますね、紫音様、恵麻お嬢様。」

 挨拶したあと、主に誘われた彼女は嬉しそうに帰って行った。


「私たちも帰ろっか?恵麻。」娘に話して帰ろうとしたら、


「母君は恋の駆け引きが出来ぬ女だな。まあ、我は母君の新たな伴侶には麻友で良いと思うぞ?裁縫と工作、何でも出来る女だからな…。」

 恵麻はミニ女子高校生の制服を作ってくれたのが嬉しかったみたいだ。


(でも…、お母さんポジションが奪われちゃうから、出来れば、男に戻って、麻友をお嫁さんに欲しいな~。)

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