第63話 本郷くんは未来の若社長
野々宮さん(ひなちゃん)は実の妹に探偵役と恋人役を奪われて、慶介くんと妹が仲良く話すのに堪えられなくなり、家を飛び出して俺の所に転がり込んできた。
関東で教師生活をしていた時、先生と生徒の関係、探偵の師弟関係、そして同い年の親友となっていた。
この子は童顔だが、頭の回転が良く、閃きの才能を持つ有能な探偵だった。人懐っこい性格もあるからきっと妊活中の未央の仕事を引き継げるだろう。
(仕事上でのクビは男性トラブルが問題なのか…?それとも運がないのか?)
まあ、女性が多い職場だから、特に問題ないだろう。
翌日、俺は日向を連れて、白河家の職場に連れて来て社長に紹介するため、社長室に向かった。
その社長の部屋には執務をこなす。本郷くんがいた。
「神里さん。おはようございます。」先月に仮採用された本郷くんは未央と結婚して今は社長の跡取りとして執務をこなしていた。
結婚当初は俺から未央を奪ってしまったと言って、かなり謝られたのだが、すべてを知った上でそうしたことを話したら、納得してくれた。そして未央を幸せにすると言ったので、頼むと言い、人間関係の問題を解決した。
「現場の人間として採用されなかったけど、こうして事務員として雇われて良かったです。」本郷くんは現場に向かなかったらしい。
「これからもよろしく頼む、本郷くん。あと、この子を紹介するよ。野々宮 日向さん。未央の後継者として採用された女性だ。」
俺はひなちゃんを紹介すると、
「野々宮 日向って言います。ひなちゃんって呼んでください。よろしくお願いします。」日向は案の定、本郷くんに近寄ろうとして、
「ご、ごめんなさい!」女子苦手の本郷くんは俺の後ろに隠れてしまった。
「本郷くんは同年代以下の女性が苦手なんだ。だから未央と結婚した。」
本郷くんと未央さんは10歳以上離れた、年の差婚。まれケースだ。
「ほ~、その拒絶は大変だ~、でも、恵令奈先生は大丈夫なんですね。」
日向は同年代の女性に該当しない俺を疑うと、
「女性の体でも、俺の魂は男性なんだよ。霊が見える本郷くんは俺を女性として一切、見ていない。恵令奈の体は本郷くんを好きだったけど、魂が見える本郷くんが恵令奈を女性として見ていなくて、勝手に失恋したみたいだ。」
(恵令奈の体が失恋すると、俺も本郷くんに対して、恋愛感情の気持ちが無くなった。女性はきっぱり忘れられるとは、この事みたいだ。)
女性は気のない男には体が反応しなくなる…。世の男性は覚えておくといいだろう。だから、男はフラれたら追うなよ?ただの変態だからな?
「恵令奈先生と私は元不倫OLですから。複雑な恋ばかりしていますね。」
言うなよ、ひなちゃん。未成年にも行った、君の方がヤバいからね?
「私とひなちゃんは本郷くんへの浮気は100%、無いな。」
俺のその言葉に三人は笑顔で笑っていると、
「楽しそうですね。私も交ぜてくださいよ。」
お茶を用意してくれた、未央が部屋に入ってきた。
さっそく日向が避けられた、話の内容を説明すると、
「若い女の子は特に大歓迎です。よろしくね、ひなちゃん。」
本郷くんと結婚した未央は若い女の子に嫉妬しなくなり、本郷くんに女として見られずフラれた恵令奈や拒絶される紫音を見て、勝ち誇るような優越感を持っていそうだった。
(幸せそうだな。改めておめでとう、未央…。)
しばらくして、
「今、連絡があって社長は急用ができて戻れないようなので、僕から依頼の場所を説明させて頂きます。」
未来の若社長の本郷くんから仕事の依頼内容を聞いていた。
(未央に子供が出来たら、本郷くんは白河家の婿になるのかな。)
(俺の場合は霊の見えない、好みの男性を恵令奈に見つけてあげないとな。)
未央たちを見ていると、早く恵令奈が好みの男性と付き合いたい気持ちに襲われていた。(恵令奈は本当に男性依存が強いよな…。)
「じゃあ、今回は恵令奈と日向の同い年コンビで依頼を解決だね。」
俺はひなちゃんにそう言うと、
「まかせてください!恵令奈先生!」この子は明るくていつも元気だ。
それを見ていた、未央は
「ひなちゃんは太陽みたいに明るくて元気な子ね、可愛いわ。」
日向の事をかなり気に入ったみたいだ。
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