第5話 採用と求婚
初仕事(採用試験)の顛末を社長に報告した。
「ようやってくれたな。合格や。正式に採用してもエエかな?」
社長は事の運び方を見て合格と判断したらしい…。
「ありがとうございます。ここで働いてみようと思います。」
俺がこの仕事を続けると言うと、
「やった~。お父さんとずっと一緒。」と紫音が言う。
「末長くよろしくお願いします。」と未央さんが言う。
(ずっと?末長く?)
「いつの間にそんな仲ようなったんや。自分ら結婚するんか?」
と社長が言うと、
「はい。昨日に光さんが紫音の父親になると言ってくださいました。」
と未央さんが言ってしまった。
(言ったね。確かに。でも未央さんには告白してないけど。)
(否定したら傷付くだろうから否定しにくい…。)
「まずは仕事が一人前にできるようになってから…。話を進めるのはそれからと言うことで。」とはぐらかした。
「わしはいつでもかまへんねんけど…。当人同士の話やから好きにしたらええ。」グイグイ攻める義理の娘を止めないと言っていた。
「ありがとうございますお父様。」と言ったあと俺に、
「光さん。せめて婚姻届の提出だけでも…。」と迫ってくる
「未央、それは順序的に最後だ。」と断ると、
「では、先に夫婦の営みをなさるのですか?」
(……とんでもないこと言ってますよ未央さん。)
「光さん。私はそれでも構いませんよ。」真剣な眼差しで俺を見たあと、
「紫音にも兄弟は必要だと思いますから。」と言ってきた。
(意外に肉食系なの?)
「未央、紫音の前で話す内容ではない。」
(紫音が聞いてるぞ!どうするつもりだ!)
「では、どこから始めるのですか?夫婦なのに何もなさらないのですか?」
(未央さん、ガン攻めしてくるよ。)
「続きは二人で話し合いましょう。」と話を反らすため…遮断すると、
「はい。寝室の準備をしてきます。」と言い、未央さんは自室に行った。
(紫音も早く寝かさないと…。)
「紫音。今日はお母さんと寝なさい。」
紫音にこれ以上の話を聞かせるのは不味いと判断した俺はそう告げた。
「お父さんはまだ仕事があるから。」と言い、一緒には寝ない宣言をすると、
「は~い。」と言い、紫音は未央さんの所に行った。
そう言えば、
「社長、気になったのですが…。」この仕事の根本を聞いてみる。
「なんや言うてみ。」社長が言って良いと言ったので、
「給料はどこから発生するんですか?」システム…、根本だ。
「協会みたいなんあんねん。」
(協会?)
「依頼もそっから出てんねんけど、ここからは企業秘密や。」
そう言って逃げたので、
「……了解です。」
(歯切れが良くないし、聞かない方がよさそうだ。)
「光さん。」未央さんに話しかけられた。
「未央、紫音は?」と尋ねると、
「疲れて寝てしまいました。歩き疲れたんでしょう。」
「長い一日だったからな。」
俺は、聞いてみたい事があった。
「未央はなぜ俺と結婚したいなんて言ったんだ?」
すると彼女はゆっくりと話してくれた、
「最初は夫婦のふりだけでした。でも、あなたは私の世界を変えてくれた。
家族を失い空っぽだった私に娘を再び与えてくれました。そしてあなたに会うたびに惹かれていく自分がいたんです。」
(告白されたんだ。ここは真剣に答えないと。)
「ありがとう。その気持ちはとても嬉しい。でも、もう少し俺の姿みてからもう一度、判断してほしい。そう言う答えで今は構わないだろうか?」
結婚は好きの感情だけではダメな事を話すと、
「はい。」と未央さんは一言だけ答えた。
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