第23話 昼食後の休憩の前に管理人達から報せが来た。
数日後、昼食後の休憩の前に管理人達から報せが来た。オオバコは死んだらしかった。
オオバコが死んだのはこの厳しい労働と悪質な環境のせいだいうのは明らかだった。しかしそれは改善されることはなかった。契約書に書かれていた通り、全ては自分の管理不足という問題に押し込められた。自己責任という言葉は結局管理者が責を負わないというだけの話だった。しかし人々はそれに反対するどころか、その言葉を自分でもよく使った。なぜなら人々も他人のことなど考えもしたくなかったし、自分自身も管理者になりたがっていたからだった。
管理人達は静かに深刻そうな雰囲気を醸し出していた。このそれに合わせて誰もが押し黙っていた。
「本当は何も感じていないのに深刻そうな顔をするな」
立ち上がって叫んでいたのはやはり蓼だった。
「嘘つき達め、本当に悲しんでみろ
どう見られるかしかとしか、いやそれすら考えていないんだろうななにも考えないで、何も考えないで、本当に何もかもに無関心で……目を覚ませ!! 死んでるんだよ! 食べ物や石ころじゃないんだ、私達自身が死んでるんだ……」
蓼はわめきながら泣いていた。
「だから変えなきゃいけないんだ、もういい加減……このまま何も見えないままで死んでいいのか、本当にそれでいいのか。
この穴ぐらを出たって一生穴ぐらの中にいるんだよ、このままでいれば……美しい人間になりたいとは思わないのか? 美しい世界にしたいと思わないのか。
なあどうして歩きたがらない? 何をそんなにこだわっているんだ? 一体何を守っているんだ? 何故そんなに頑ななんだ?
皆が本当に笑い合える世界があるんだよ、それなのにどうして限定的な幸せに浸っていられるんだ……気付けよそこは泥沼なんだよ……お前の下には人が沈んでいるんだ……そしてお前も泥の中で溺れかけているのに……。
引き上げても引き上げても死体かもしれない…でもそうし続けなきゃ人間になれないじゃないか……」
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