第5話 ワインレッドの心。

次の日から、俺達は……

残飯のエサを食わない様に、


お腹が空いても、お腹が空いても


ワラをかじったり

柵をかじったりして空腹感を

しのいでいた……。


また水をたくさん飲んだりも

した。


♂♂【喰われたく無い!!!】


養豚場での優雅な生活が……

一気に、恐くなった。


♂♂【太ったら喰われる。

  太ったら喰われる。】


俺達は……エサを前に、

ガマンの限界を超えていた。



だけど……。明日の朝日を

拝みたい!!!


俺達は……確かにケンカばかり

してきた。



だけど……こんな仕打ちは、

神はするのか??と……打ちひし

がれていた。


ぶるぶると、体中震える。


俺達は……。俺達は……。




いやだーーーーーーー!!!!!




その時……飼育員のジジイが


あるモノを持参してきた。

ほんのりアルコールの香りが

漂う。


テレビで……見た事ある!!!



まさか???!!!


飼育員のジジイは…………

俺達が……急に、エサを食べなく

なったので。



ワインを俺達に、強引に

飲ませてきた。



♂♂【ウッッ……!!!!】

くっ、苦しい!助け……助けて!



俺達は……ワインブタにされた。



毎日毎日ワインをたくさん

飲まされた。



悲しかった。辛かった。



だけど……俺達は今や

所詮ブタなのである。



なすがまま、ワインをたくさん

飲まされ続けた。



俺達は……おかげさまで……



美味しそうな、丸々と……肥え太り、肉付きもかなり、良くなっていた。



♂♂【あの時、エサをたくさん

   食べ無ければ……。】



♂♂【あの時、俺達が……

  事故に合わなければ。】



♂♂【あの時、ケンカばかり

   しなければ!!!!】




俺達は……悔やんでも悔やんでも



おばさんブタは、明日には……

出荷されるのだ。



そうだ。俺達もきっと出荷されるのだ。


ワインをたらふく飲んだブタは


さぞや人間に、とって美味く感じるだろう……。




明日には……切断加工されるんだ。

俺達は、涙も出ずに



ただ、ただ……


いたずらに時が流れていた。




♂♂【ばばあ。元気でな。】


俺達が……悪かったんだ。


俺達が……間違っていたんだ!!



ばばあには……2度と会えない。

家にも、帰れない!!!





そして…………


迎えた次の日に、


俺達は……おばさんブタと、

お姉さんブタと共に、出荷された。

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