第40話

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16892:アスクヒドラ

新種のギアルスが二体で空飛ぶ奴と、地中を潜れるやつってなんやねん!?

まだ二日目やぞ!? サメ映画じゃあるまいし、ほんまどないなっとるねん!!


16893:識別番号04

サメ映画との関係性は不明であるが口調に乱れが生じている、冷静になれ。


16894:アスクヒドラ

まだ冷静だよ……ごめん出来てないのは分かってる。

でも! あの爆弾攻撃で『ペガサス』が“卒業”してるって話を聞いて、幸い無事だったらしいけどマカちゃんのところにも落とされたって話を聞いたら、落ち着いていられないって! こんな事になるなら、みんなと一緒に居れば良かった!


16895:識別番号02

指摘→もしもを考えるよりも今後のアスクの判断が状況を左右する場面である事を自覚して気分を落ち着かせるべきだ。


16896:アスクヒドラ

覚悟はしてたけどさ。会った事すらない子だけどさ。“卒業”したって聞いて現実にぶん殴られた……ああもう、命ってこんなに軽いのか? 『ペガサス』は強いんじゃないのかよ!?


16897:識別番号04

冷静になれ。高等部のペガサスの“卒業”を体験したくないのだろう?


16898:アスクヒドラ

当たり前だろ!! ……悪い。


16899:識別番号04

問題無い。

識別番号03。何か伝えたいのは理解するが解読不能である。


16900:アスクヒドラ

ゼロサン、悪いけど後でな、ほんとごめん。

……それにしても、新種のギアルス二体か、大盤振る舞いっていうか、大規模侵攻と関係あるのか?


16901:識別番号02

肯定→ただ直接的ではなく間接的な理由からだと思われる。

立証→此度のギアルスの登場によって自身が打ち立てた仮説が正しい事が証明されたと断定する。


16902:アスクヒドラ

仮説って、確か『プレデター』を一定の数倒しちゃうとブレインの判断で『ギアルス』が投入されるってやつ?

 

16903:識別番号02

肯定→元より『街林』にて資材回収を行なっているアスクヒドラたちの元のみに出現する説明が付かなかったゆえの仮説であったが今回の大規模侵攻での現われ方を考えるに反撃装置としての運用がされていると判断した。


16904:アスクヒドラ

なんでわざわざ……って、それこそ人を殺しすぎないための手加減ってわけか。


16905:識別番号02

肯定→他に考えられる理由として生産コストなども挙げられるが主な理由はいつものであると思われる。


16906:識別番号04

自身が聞いた戦闘機に類似した轟音の正体が『ギアルス』のものであるならば、ルート上存在すると思われる人間の住居地を素通りして、アルテミス女学園ペガサスたちが戦闘している『街林』へと直行した事になる。


16907:アスクヒドラ

富士山より西から来たって事を考えると、わざわざ東京方面なこっちに来た理由があるはずで、その理由が大量の『プレデター』を倒しちゃったからか……勘弁してほしいよまったく!

じゃあ二体同時に現われたのは!? めっちゃ倒しちゃったからなのか!?


16908:識別番号02

不明→アスクの言うようにめっちゃ倒したから二体同時に現われた可能性も否定できないが偶然も考えられる。

予想→ゆえに大規模侵攻でさらなる『ギアルス』の登場も充分ありえる事であるが『ギアルス・ティラノ』が単体がある程度の期間を空けなければ登場しなかった事を考えるに同種が大規模侵攻の中で再び現われる可能性は低いと思われる。


16909:アスクヒドラ

次が無さそうなのはいいけど、だからって人様の手に届かない地上と地中でダブルアタックはマジで卑怯でおまんがな!!


16910:識別番号04

また語尾が乱れている。冷静になれ。

アスクヒドラ、『ペガサス』たちは新種の『ギアルス』に対する有効な攻撃手段を保有しているのか?


16911:アスクヒドラ

……地中に潜るやつは分かんないけど、エナちゃんと合流するように言われたって事は空を飛んでいるやつに関してはアレを使うんだと思う。


16912:識別番号04

把握した、しかし危険ではないのか?


16913:アスクヒドラ

うん。最後のテストでは上手く行ったけど、本番で使うのは初めてだし、【ルピナス】だと、どうなるかも分かってない。エナちゃんには無茶して欲しくないけども……。

でも、翼竜のギアルスを放っておけば被害が広がるばかりだから、やるしかないって感じ。


16914:識別番号04

『ペガサス』の〈魔眼〉による解決の方法は無いのか?


16915:識別番号02

応答→アスクヒドラから得た情報のみであるが高等部ペガサスたちが所有する〈魔眼〉の中には遙か上空を飛行する『ギアルス』に対して効果が発揮されたとしても有効打を与えられるものは無いと思われる。

補足→『ペガサス』のカビの〈魔眼〉はダメージを与えられると思われるが倒せるとなると難しいと思われる。


16916:アスクヒドラ

カビちゃんの〈魔眼〉は見続けないと効果がちゃんと出ないからね……もしもの時は起こしてって言われてるけど、どっちにしてもエナちゃんとの合流が決まった以上、カビちゃんとの合流は後になる。

ほんと分かっていた事だけどさ。なにも伝えられないって本当にもどかしい、泣きそうだよ。


16917:識別番号04

気力をしっかりと持て、翼竜のギアルスは現在どこに居る?


16918:アスクヒドラ

マカちゃんの所には戻っていないみたい。

そろそろエナちゃんと合流する。しばらく集中しないとだから書き込みできないと思う。

……なにが起きてもおかしくないって思ってたけど、本当に起きて、こんなに動揺する自分が嫌になる。ああもう、こんな感じで変に書き込んじゃうかもだから無視して、ごめん。


16919:識別番号04

了解した。そちらに集中しろ。


16920:識別番号02

了解→事態が急展開したら詳細を求める。


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 二日目になって、訪れる『プレデター』の群れは徐々に変化していった。それは経験者であるアルテミス高等部勢が口にしていたように、数自体は少なくなったが、今まで見なかった中型種、そして大型種などが混じるようになった。


 動きは遅いが、それを補うだけの跳躍力を持ち、触れれば付着する舌を高速射出して食いに掛かってくるカエル型プレデター、口内は圧縮分解装置となっており、よく消化される前に外に出れれば助けられると勘違いされがちだが、いちど口の中に入ってしまえば、中から出てくるのは、どんなものであれグズグズの塊である。


 とはいえ、動きは鈍く、肉体も柔らかいため攻撃が通りやすく、遠距離でマークスマンライフル型ALIS【KG9-MR/ナイン】を撃ってる分には、一方的に倒せる相手であった。


 距離によっては貫通力が高いライフル弾を跳ね返してしまう頑強な『甲羅外殻』を持つカメ型プレデターも居た。体内に数多くの小型種などを内蔵しており、それらを全国を移動してはばら撒くを繰り返す移動要塞。ハジメにとっては、よく見かける大型種であるが、大規模侵攻では、毎年現れるけど数自体はそんなに見ないらしい。アルテミス女学園の『ペガサス』たちからは、装備の面からかなり厄介ものとして認識されている。


 確かに銃など言わば近代兵器を元とした『ALIS』が無ければ、あの防御力を抜くのは厳しいかと思いながら、ハジメは、シャッターで閉じられている正面穴に向かって弾丸を何発が当てる。


 カメ型の中でも薄いシャッター部分は、ライフル弾が貫通して穴だらけとなり開かれる。穴から頭が出てきて、危険だと判断したのか『プレデター』が出入りする口が開いた。


「ルビー! 口が開いた!」

≪見えてるわよ!≫


 カメ型プレデターの“出入口”が開いたのを見計らって、ルビーは弾倉を入れ替えて炸裂弾を発射、ポンっと軽めの音とともに飛び出した弾頭は、口内へと入っていき、中に居た小型種ごとカメ型プレデターを内部から破壊した。


 また大型種にはヘビ型プレデターも居たのだが、こちらは愛奈と月世のアルテミス女学園三年ペガサスコンビがすぐに倒してしまった。


「やっぱり違うね」

「疑問に思うほどでも無かったですね」


 自在に体をしならせて動くヘビ型の急所に当てるのは『アイアンホース』の上級生とはいえ至難の業であるのだが、愛奈はそんなの関係なしに頭を保護する『外殻』の隙間を正確に射抜き、動きのしなやかさと裏腹に斬るとなれば苦労する胴体を月世は一刀両断した。その光景を発砲の最中で見ていたハジメは、慣れもあって特に思うことはなかった。


 ──アルテミス高等部三年ペガサスと元アイアンホース四名のチームの戦績はとても順調であった。現れ始めた中・大型種にも問題なく対応できており、むしろ数が減ったことで負担が軽減、初日と比べて楽な気さえした。これが、活性化率を考えないと行けないのならば、また話は違っていたのだろうが、それは過去の話だ。


 それに戦いを重ねる毎に連携が洗練されているのを肌で感じているハジメは、落ち着いた気持ちで【KG9-MR/ナイン】の引き金トリガーを引き続ける中、この四名ならばどんな相手でも負ける事はない、そんな全能感と呼べるものに支配されかけていた。


「通信?」

≪こちらゼロだ。聞こえているなら応答されたし≫

「ゼロ先生? はい、こちらハジメ、聞こえています、どうぞ」


 しかし、これらの考えが酷く脆いものであったということに、ハジメはすぐに気付かされる。切っ掛けとなったのは、【303号教室列車】の、自身の担任であるゼロ先生からの通信によるものであった。


「こちらハジメ、先生から緊急連絡が入った。しばらく通信に集中する」

≪分かったよ!≫

≪早く済ませなさいよ!≫


 【303号教室列車】は、大規模侵攻の最中でも変わらず通常運行しており、明るいうちは通信可能範囲外に居る。それに、あちらから通信を入れてきたという事もあって、なにか重大な内容であると判断したハジメは、みんなに断わりを入れて、『プレデター』の群れから少し距離を置き通話に集中する。


≪先ほど本校から教室列車全車両に緊急連絡が入った。飛行能力を持った独立種と思われる『プレデター』が鳥取砂丘方面から現われ、アルテミス女学園方面へと移動したとの事だ≫


 ゼロが言う『プレデター』の正体が、高等部二年ペガサスたちの所に現われた翼竜のギアルスであるのは間違いないとハジメは判断する。


≪すでに自衛隊が戦闘機を発進させたが、全てが撃墜されたとの事だ≫

「自衛隊が……!?」


 翼竜のギアルスの登場を聞いて、航空自衛隊の事が気になっていたハジメは、すでに迎撃されていたことに驚くと共に、いつまで経っても現われなかったのは、そのためかと納得し、心に焦りが生まれる。


≪戦闘機を再び発進させるのに最低でも48時間掛かるとの事だ、東京地区では既にレベル5の緊急避難命令が発令された≫


 都市に設立された巨大地下シェルターへの強制避難が、東京地区で始まった。それには『ギアルス』だけではなく、対大規模侵攻の失敗。つまりはアルテミス女学園の“廃校”も想定された動きだと感じたが、ハジメは、自分たちとはあまり関係がない話だと、東京地区に関しての情報を早々に思考の隅に追いやった。


 ──問題なのは、自衛隊の航空支援を受けられないという事だ。こうなってしまえば自分たち『アイアンホース』および『ペガサス』で倒さなければならない。しかし、『すずり夜稀よき』から届いた合成音声による情報によれば、翼竜のギアルスは高度5000メートルの高空を飛行しているらしく、制空権を取られている。


 すでに中等部ペガサスグループがひとつ爆撃によって“卒業”しているらしく、放っておけば、確実に被害が増える。しかしながら遙か彼方を飛ぶ翼竜のギアルスに対して有効な攻撃手段には、現状思い当たるものが無く、想像以上に事態は深刻だとハジメは奥歯を噛みしめる。


≪こちらで本校を通じて航空支援を要請し続ける……ハジメ、飛行能力を持った『プレデター』に留意しろ──≫

「……ありがとう、ございます」


 その言葉を最後に通話が途切れる。感じからして通信可能範囲から外に出たのだろう、この情報を届けるために本来とは違うルートでの運行をしたのかもしれない、ゼロ先生なりに自分たちを助けるために動いてくれている事が分かり、ハジメは嬉しく思った。


「……【303号教室列車】、ゼロ先生からの連絡事項を伝える! 翼竜のギアルスに対して自衛隊の戦闘機は出撃していたが既に撃墜されており、航空支援は最低でも48時間行なえないとの事だ!」

≪はぁ!? なに負けてんのよ! ふざけてんじゃないわよ!≫

≪やはり、そうなっていましたか……『鉄道アイアンホース教育校』は、首長竜のギアルスについて感知していますか?≫

「いえ、首長竜のギアルスに関しては何もありませんでした」

≪そうですか……。ともあれ、今は考えても詮無きことですね。やはり大規模侵攻となれば、想定内で終わるとは行きませんか≫


 ──月世先輩の言い回しに、酷く嫌な予感がした。いや、自分がゼロ先生と通話している時、『プレデター』を斬りながらも、どこかへ連絡を入れて話していたのを見ていて、彼女の中で次のステップへと進んでしまったのを、どことなく察してしまってはいた。


≪──“愛奈えな”、できる事なら止めて欲しいのですが、そう言っても聞かないのでしょう?≫


 ハジメの嫌な予感に答えるように、月世は呆気なく終わりを告げた。


≪……うん、やるよ≫

≪分かりました。既にアスクをこちらに呼んでありますので、合流してください≫

≪分かった≫


 ヘッドカムから聞こえてくる淡々と話を進める月世の声、そして心苦しさを耐えながらもはっきりと了承する愛奈の声を聞きながら、ハジメは不味いと思考しはじめる。


 愛奈と月世は、大規模侵攻が始まってからは本名ではなく月世ヒビキ愛奈マヒルと後輩の名前を借りて呼び合っており、それは高等部の事情を知らない外部の『アイアンホース』への秘密保持のためのものであった。


 それを止めて本名呼びを行なった、それだけじゃない最重要機密であるアスクヒドラの名前まで出したのだ。それが意味するのは、月世たちは『ギアルス』という脅威に対抗するために、一名の“『アイアンホース』”を切り捨てる事を選んだということだった。


≪……愛奈? 誰よそれ?≫

「……っ! お、おおおおおおおおああ!!」


 ルビーの近くに、月世が居るのが見えてしまったハジメは、考えるよりも先に行動に移した。自分でも何でか分からない雄叫びをあげながら、【KG9-MR/ナイン】を連射し、ルビーが居る場所へと走り出した。


ハジメ!? なにとつってきてんのよ!? 馬鹿じゃないの!?」


 本気で意味が分からないと、ルビーもまた、ショットガン型ALIS【KG4-SG/T3フォーティースリー】の散弾で『プレデター』を掃討しながら、ハジメに向かって合流する。


「ああもう、ついに狂ったの? あんたそんなタイプだったっけ!? ……そんなタイプだったわ!」

「ルビー! 今から起きることに疑問を持つな! 関わるな!」

「な、なに、言ってるのよ?」


 お互いをカバーし合いながら会話を始める『アイアンホース』たち、今までのハジメからは考えられないほどの剣幕や雰囲気に、ルビーはひたすらに戸惑う。


「──そうですよ。ハジメ、あまり無茶を言わないでくださいね」

「月世……先輩っ!」

「もう、あれだけ言ったのに、ダメですよ。元の場所に戻りなさい。大変な事になってもいいんですか?」


 いつのまにか傍に居た月世が『プレデター』を斬り殺しながら会話に入ってきた。ハジメは彼女が浮かべる微笑みが、得体の知れない化け物の表情に見えて、心の底から怖気が走った。


 矢の雨が止んだ事から、愛奈は既に移動している。彼女の性格からしてルビーを守ってくれるのではないかという期待をハジメは抱いていたが、愛奈もまた覚悟を決めていた『ペガサス』だったのだと、己の甘さに嫌気が差す。


 ──下手な事をすれば、自分だけではない、せっかく築けた【303号教室列車】の後輩たちの未来も台無しにしてしまう。しかし、リスクを犯してでも、ルビーの事を見て見ぬ振りなんてできるわけがない!


「……月世先輩! 愛奈先輩の支援攻撃が無くなってしまった以上! 戦力を減らすのは避けるべきです! ……それに、このまま『プレデター』を放置して離れてしまえば、後方に配置された中等部ペガサスに多くの犠牲が出ます!」


 『プレデター』に囲まれてるという死地の中、ハジメはあろうことか、戦いながらルビーの“卒業”中断の説得を始める。


「元より『ギアルス』が現われた時点で、ここを放棄する予定でした。転校したてのハジメは知らないと思いますが、大規模侵攻のさいには第一防衛ラインが瓦解して、後は中等部ペガサス任せになるのは、この学園の恒例なんですよ」

「そんな事をしてしまえば、アルテミス女学園に『プレデター』が到達してしまいます! 『ギアルス』の対策も必要ですが、『プレデター』に対する戦力は維持できるようにするべきです!」

「どうして、そう思いますか?」

「体育館で中等部ペガサスを見て、そして二日目の群れを見て確信しました。このまま自分たちが間引きを終わらせてしまうと全滅するだけです!」


 体育館の陰でハジメは、全校集会での中等部ペガサスたちを見ており、経験に基づき、漠然とではあるが中等部ペガサスたちの総合戦力を把握していた。ゆえに大規模侵攻二日目の『プレデター』の物量と強さと脳内で比較して、第二防衛ラインに流してしまえば、戦線は瓦解、アルテミス女学園に『プレデター』が流れこんでしまうと強く、月世に訴えた。


「【504号教室列車】と通信可能になるまでには、まだ時間があります! だからどうか! 現状の維持を!」


 ──じゃあそれがルビーを、このままにするというリスクよりもメリットがあるのかと問われれば答えられない。咄嗟の言い訳、正直いって方便も甚だしい。中等部の強さなんて明確に測れているわけじゃない当たり前だ。それにこの人の事だ。そんなのは承知でルビーを、そして中等部ペガサスたちを切り捨てる事を選んだに違いない。


「月世……愛奈……そういうこと、あんたたち何を隠して──」

「ルビー!」

「────っ!」


 これ以上は駄目だと、ハジメは袖から出したピストル型ALISの銃口をルビーに向けると、彼女もまた【KG4-SG/T3フォーティースリー】の銃口をハジメに向ける。


 しばらく睨み合いが続くと、ふたりは銃口を横にずらし、お互いの後ろに向かって引き金トリガーを引いた。ハジメはイタチ型プレデターを、ルビーは単発スラッグ弾でカマキリ型を打ち抜くと、その場で半回転しながら背中合わせとなって、周辺の『プレデター』たちを蜂の巣にしていく。


「いつもと違う感じに暗い理由が分かったわ、あんたもグルだったってわけね!」

「ルビー、君の願いはなんだ? ……今はただ、黙って一緒に戦ってくれ……頼む!」

「……あんたはともかく、そっちのヒビキじゃない奴は、どう言ってるのよ!?」


 話の内容から、自分の処遇について揉めている事をうっすらと察したルビー。月世は変わらず好き勝手に刀型専用ALIS【待雪草】を好き勝手に振るっており、それがなんだか客席から自分たちを見て楽しんでいるようだとハジメは思った。


「──まあいいでしょう。どうにも流れが悪いようですし、貴女のやる気が削がれるのは困ります。ちゃんと面倒見てくださいね」

「……っ! ありがとうございます!」


 そのために行動したのだが、まさか、お許しが出るとは思わなかったハジメは驚愕しつつも、表情に出している暇すらないと、ルビーに話しかける。


「ルビー。もう一度頼む、今は何も疑問を持たないでくれ、何も質問しないでくれ、大規模侵攻の間はたった一騎の『アイアンホース』で居てくれ……!」

「……あーもう! 分かったわよ! どっちにしても平和にお喋りって時間でもないしね。あとで全部聞かせて貰うわよ!」

「……ああ、できたらする」


 ハジメは煮え切らない返事をする中で、とりあえずは無事に済んだと深く安堵した。とはいえ、彼女の立場は、まだ危ういものだ。それこそ月世の気分ひとつで“卒業”してもおかしくない。


「とりあえず散開するわよ!」

「分かった。ルビー……“卒業”するなよ」

「なに当たり前のこと言ってるのよ。私は……ああもう!」


 ──こういう時“自分とは違い”、優先する事を間違えないルビーは“デコイ”役として、集まってしまった『プレデター』を引き寄せながら、素早く移動をはじめる。


「わたくしと話すためだけに前衛に来るなんて、随分と無茶な事をしてくれましたね」

「……申し訳ございません」


 ──ルビーが離れると、月世先輩が傍に寄って話しかけた。言葉とは裏腹に声色はとても穏やかであるが、この人の事だ。内心ではどんな感情が渦巻いているか分からない。あるいは自分の我が儘も想定の範囲内だったのかもしれない。


「月世先輩……ルビーの事は自分にお任せください。決して、決してあなたたちを裏切りません……!」

「そんなに力まなくてもいいですよ。貴女は可愛らしい後輩の“成果”なんですから」

「……了解」


 月世の言葉に、どれほどの意味が含まれているのかは分からないが、我が儘を言ってしまった以上、もう逆らってはいけないとハジメは深々と了承する。


「それでは、もうしばらく『プレデター』の数を減らしましょうか、ハジメ、そろそろ後衛に戻ってください。突破されてしまいますよ?」

「わかりました……あの、ひとつよろしいですか?」

「昨日も言いましたが、前置きは結構ですよ」

「……翼竜のギアルスに関して、何かしらの有効な手段があるのですか?」


 愛奈と月世の会話の内容から、高度5000メートル上空を飛ぶ翼竜のギアルスに対して打開策があるように感じたハジメは気になって尋ねる。


「はい。しかしながら、あまり使ってほしく無かった方法でして……こういう時、親友の頑固さにはちょっとだけ困ってしまいますね」


 +++


「アスク! よかった無事に合流できて」


 愛奈は、自分たちが居た場所と、中等部たちが配置されている第二防衛ラインの中間ほどの所でアスクとの合流を果たした。そのあと真嘉たち高等部二年ペガサスが配置されている地点へと向かう予定だったのだが、翼竜のギアルスを目視したさいに、ある事に気づき、その場に留まった。


「──やっぱり、月世たちのほうへと行く気だ」


 自分が対処する目標である翼竜のギアルスは、真嘉たちの方ではなく、明らかに自分が元いた場所、つまりは月世たちがいま居る地点へと向かっている事に気付いた。


 事実、翼竜のギアルスの目的は、大多数の『プレデター』が減った地点に存在する人間側の戦力に対する爆撃。つまり高等部ペガサスたちが戦っている第一防衛ラインへ爆弾を落とす事であり、真嘉たちだけではなく、月世たちの地点も攻撃対象であった。


「させないよ。アスク」


 翼竜のギアルスがやっている事は、遙か上空にて爆弾を落とすだけであるが、それは充分に『ペガサス』を“卒業”させるほど凶悪な攻撃である。現に真嘉たちが五体満足で無事だったのは、諦めなかった末に勝ち取ったとはいえ奇跡的な事で、なにかひとつでも噛み合わなかったら、誰が“卒業”してもおかしくなかった。


 ──だから、早急に撃ち落とさなければいけないと、愛奈は切り札を使用することにした。


「──夜稀よき、聞こえる?」

≪愛奈先輩!? あの、さっき月世先輩から連絡があって、アスクと一緒に真嘉先輩のほうに合流するって話だけど……≫


 愛奈の移動の最中、月世は高等部一年ペガサスの『すずり夜稀よき』に、とてつもなく簡潔に愛奈とアスクが、真嘉たちに合流するとだけ伝えていた。


「いまアスクと一緒にいるの。それでね、翼竜のギアルスが、こっちに来ているのが見えた。多分、今度は月世たちが居る地点に爆弾を落とすつもりなんだと思う」

≪そ、そんな! それじゃ早く知らせないと!≫


 キーボードを打ち込む音が聞こえる。このように夜稀は得た情報を直ぐに高等部ペガサスたちに周知しており、とても助かっていた。そんな頑張っている後輩に、心体どちらとも負担を掛けてしまうと分かっていながらも、愛奈は自分が今から行なう事の説明を始める。


「落ち着いて聞いて、元々、私は翼竜のギアルスをどうにかするために真嘉たちへと合流しようと思ったの、でも、こっちに来ているみたいだから──ここで迎え撃つよ」


 愛奈は、紺色の上着の内ポケットから、とある機械を取り出した。


 それは、愛奈の小さな手の平に収まるほどの長方形の板で、表面には細かな部品に電子回路にコード、そして何よりも目が行くのは“結晶のような半透明の歯車”が剥き出しに取り付けられており、見て明らかなほど不完全な接続機器デバイスであった。


≪──む、迎え撃つって、なにを? 相手は遙か上空を飛行する『ギアルス』だよ?≫

「ごめんね。使うよ──『ギアルスパーツ』」

≪『ギアルスパーツ』って、え? ……ま、まさか『Gアタッチメント』を持って来たの!?≫


 夜稀はひっくり返るほど驚愕する。そんな後輩に反応する事無く愛奈は、弓形専用ALIS【ルピナス】のハンドル部分にあるカバーを開いて、その中にある本来であれば無線関係のシステムに異常を来たしたさいにメンテのために使用する、有線用コネクターに、夜稀が『Gアタッチメント』と呼称したデバイスのコードを差し込んだ。


≪だ、ダメだ! 危険過ぎる! 実用に向かないって言っていたのは愛奈先輩じゃんか!≫


 『ギアルスパーツ』とは、『ギアルス』の『遺骸』である。


 従来の『プレデターパーツ』は『プレデター』が絶命して液体化するさいに残った『遺骸』と呼ばれる機械部位を人間の手で加工したもので、パーツ同士の『接触反応』によって電気を生みだす事ができる。


 しかしながら『ギアルスパーツ』は、『遺骸』の時点で透明な歯車の形をしており、そして『接触反応』によって生み出すのは“電気”では無かった。


 夜稀が、この生み出されるものを武器として使えないかと試行錯誤した結果生まれたのが、愛奈が現在、【ルピナス】に接続した『Gアタッチメント』という仮の名を与えられたデバイスである。


≪と、とにかく、別の手段を考えて──≫

「そんな時間はないよ。心配しないで、私とアスクなら絶対に平気だから」

≪そ、そんなこと言われても!≫


 確かに、翼竜のギアルス相手に『Gアタッチメント』を使用するのは適していると思ってはいた。だけど、夜稀は心の底から使用して欲しくなかった。それほどまでに『Gアタッチメント』は、危険なものであったからだ。


 ──『Gアタッチメント』の最初の『ペガサス』での実用実験において、結果だけ先に言えば愛奈は“卒業”しかけた。


 接続して稼働したさい『械刃製第三世代ALIS・弓』が暴発したのだ。寸前で事態に気付いた愛奈がアスクに助けを求め、人外の速力でその場から緊急離脱した事で怪我も無く終わったが、あともう少し遅ければ愛奈は、跡形も無く“卒業”していたであろう。


 それに、稼働させていた僅か数秒ほどで、愛奈の活性化率は30%以上あがってしまい、もしも実験の前に活性化率を下げていなければ、そもそも暴発していなければ、彼女は『ゴルゴン』に成っていた未来も充分にあり得ていた。


 アスクとの生活が始まって以降、初めての大失敗に、夜稀は喉の渇きによって重度の呼吸困難に陥り、犠牲者になりかけた愛奈本人に丸一日かけて慰められた事で持ち直したが、それ以降も数日は引きずる事となった。それから『Gアタッチメント』は、夜稀にとってトラウマ級の発明品となってしまった。


≪それに、ぶっつけ本番で使うものじゃ……まって、もしかして、あの後何度か試したの!?≫

「──ごめんね。ほんとごめん」


 もう今は謝ることしかできないと、愛奈は何度も謝罪を口にする。事実、愛奈、月世の高等部三年コンビ、そしてアスクヒドラ、一緒に『街林調査』をしているからと巻き込まれた真嘉は『Gアタッチメント』を、どうにか使えないかと『街林がいりん』の中で倉庫に眠っていた『械刃製第二世代ALIS・弓』を勝手に持ち出して何度か試していた。


 愛奈からすれば、トラウマを抱えてしまった夜稀に負担を掛けたくなかったし、機会が無ければ、そもそも使わないからと黙っていたのだが、結局こうなってしまったのならば、最初からちゃんと正直に話していればよかったと猛省する。


「心配しないで、アスクと一緒なら大丈夫だから」

≪そういう事が聞きたいんじゃなくて!?≫

「もう時間がない。翼竜のギアルスは任せて……通信切るよ」

≪愛奈先輩!? やっぱ貴女もたいが──≫


 これ以上は話している時間はないと、愛奈は、ヘッドカムの電源をオフにする。


「……酷い先輩だよね」


【ルピナス】と『Gアタッチメント』の接続が無事に済んだのを確認しながら、愛奈は自虐的な言葉を呟く。


「いいよ、アスク」


 紺色の上着を脱ぎ捨てて、黒シャツ姿になると、アスクに声を掛けるが、反応することなく、単眼にて愛奈をじっと見つめていた。


「大丈夫、私とアスクなら出来るよ」


 アスクの単眼を、真っ直ぐ見据えながら愛奈は断言する。


「だからお願い。私に力を貸して!」


 分かったよ、アスクが首を縦に振ったのを確認した愛奈は、ありがとうと礼を言いながら背中を向けた。アスクはコートを脱ぎ捨てて西洋甲冑姿の本体を露わにすると、できるだけ愛奈の背に寄り添い片膝立ちとなる。


「──ん」


 肩甲骨と背中から生えている八本全ての蛇筒を、愛奈の全身に噛みつかせた。


「左手を支えて」


 アスクは言われるがまま愛奈の『ルピナス』を握る左手を繊細な力量にて、大きな人外の手で覆うように握る。


「準備はいい?────行くよ」


 愛奈は【ルピナス】に矢を番えると、弦を強く引き絞った。それと同時にアスクが蛇筒を通して愛奈の体内に“血清”を流し込む。


 スカートに引っかけられた、『Gアタッチメント』が稼働する。『ギアルスパーツ』が他の部品を巻き込み高速で回転しはじめると、光が生まれてコードを通して【ルピナス】に伝う。


 光は矢の先端へと辿り着くと、立体的な光の粒となって、矢を渦巻いていく。パネルに表示される“Error”の文字、そして活性化率の数値は急速に上下を繰り返しており、それを確認しながらアスクは“血清”の濃度を調整していく。


 ──『Gアタッチメント』を使用するにあたり、幾つかの問題点を、愛奈たちは独自の方法で解決させた。


 まず稼働中は、使用者の活性化率を急速に上げてしまう、これに愛奈たちは、使用中はアスクに“血清”を体内に流し続けてもらう事を思いつく、またアシスト機能では補えないほどのエネルギーの伝達によって、狙いがかなりブレてしまうため、アスクの人外のパワーで支えてもらう事によって安定させる。


「……っ! やっぱり……長くは持たない!」


 次に、『ギアルスパーツ』から流れてくるエネルギーは現代の科学機器では、到底耐えられるものではなく、量産型ALISの場合、わずか数秒で自壊が始まり、使用者を巻き込むほどの暴発を引き起こしてしまうが、これに関しては、壊れる前に矢を撃てば良いという結論となった。


 そんな何から何まで力技による解決では、無論リスクが無くなったわけではない。少しでも何かを間違えれば、『ゴルゴン』に至るか、暴発に巻き込まれて消失する危険性がある、それにどんな結果であれ『Gアタッチメント』を接続した『ALIS』は破損してしまう。


 だけど、それらを踏まえても『Gアタッチメント』の効果は、魅力的であり切り札となり得た。


 粒子が渦巻き、まるで光そのものとなった矢を、雲ひとつ無い蒼天へと向ける。流石に5000メートル上空という未知の距離であったが、〈隙瞳げきどう〉から送られてくる情報によって不安は既に解消されていた。


 愛奈は、抑えられてもなお暴れ狂う【ルピナス】を、アスクの支えを利用して調整し続け、時間が残されていない中でも、全神経をやじりの先端へと集中させる。


 十秒ほどの短く、永遠に思えるほどの時の中、見える景色、聞こえる音、体を走る痛みの全てが消え去る中で、その時は訪れた。


「──穿て、【手向けの花ルピナス】」


 ピシリと【ルピナス】本体に罅が入ったとほぼ同時に、愛奈は右手を放した。


 ──弦から放たれた光の矢は天に向かって飛翔する。加速するわけでもなく、減速するわけでもなく、緩やかに、されど高速で、ただただ真っ直ぐに昇る姿は、明らかに物理法則に反しており、矢から零れた粒子が太陽の光に乱反射する線となって、天を切っていく。


 幻想的、あるいは非現実的と評したほうがいいのかもしれない、光の矢を見つめながら、愛奈はぽつりと呟いた。



「────外した……!」



 ──光の矢は通過してきた翼竜のギアルスの“片翼”へと直撃すると膨れ上がり、光の球体となって触れた部分を消失させた。


 片翼を失った翼竜のギアルスは、バランスを取ろうとして体を傾かせたのが原因か、体を回転させながら、ほぼ真下へと墜落をはじめる。このまま地面に叩き付けられてくれれば己の持つ爆発物で木っ端微塵に吹き飛んだかもしれないが、途中で体勢を持ち直して足から落ちたのを見るに期待はできないだろう。


「そんな……倒さないと……いけなかったのに!」


 不時着により発生したと思われる振動音が聞こえてきた。翼竜のギアルスを地に堕とす事は成功したが、切り札を使用して倒せなかったという事実、そして形こそ保てているが、【ルピナス】の無残な姿に愛奈は多大なショックを受ける。


「うっ……」


 蛇筒が体から離れると、愛奈は体の至る所に力が入らず崩れ落ちそうになるのをアスクに支えられる。ショック故にではなく、撃ち終わったさいには【73%】と安全な数値に留まったが、想像を上回るほど活性化率が上昇した事で、アスクは咄嗟の判断で“血清”の濃度を上げた。


 “血清”を過剰摂取する事となった、愛奈体内の『P細胞』は一時的な麻痺状態となり、半端な機能不全を起こした。強い倦怠感に襲われて、まともに立てない愛奈、どちらにしろ彼女自身が『Gアタッチメント』をもう一度使えるような状態ではなかった。


「伝えなきゃ……」


 翼竜のギアルスを地上に不時着はさせたが、まだ生きており、いずれは羽を再生させて、また空に飛び立ってしまう事を周知するために、愛奈はヘッドカムの電源をオンにした。


――――――――――


16947:アスクヒドラ

……俺の所為だ。【ルピナス】に罅が入ったのを見て、ビビって握る手を緩めちまった!

くそっ! 俺がちゃんとやってれば当たっていた筈なのに! くそっ……くそっ!! こうなったら俺がパッと行って倒して来る!


16948:識別番号04

冷静になれ。理解している筈だ。アルテミス女学園の『ペガサス』たちにとって、もっとも発生して欲しくないのはアスクヒドラの死亡である。翼をもいだとはいえ単身で『ギアルス』と戦うべきではない。


16949:識別番号02

同意→地上に降り立ったとは言え人間の戦闘機を破壊する対空能力を保有している翼竜のギアルスに対して戦闘が苦手なアスクの勝率は絶望的である。

忠告→それに戦闘能力を失った『ペガサス』のエナをその場に残してしまえば彼女の身が危ない。


16950:アスクヒドラ

分かってる!


16951:識別番号04

理解していない。冷静になれ。


――――――――――


「……だめだよ」


 アスクが『プレデター』たちに反対される中、表面上なにも変わっていない筈のアスクの心境を、愛奈は正確に読み取って言葉を口にする。


「アスクが行くなら、私も連れてって」


『ペガサス』にとってアスクヒドラという人型プレデターは決して失ってはならないもの、だから例え卑怯と呼ばれる行為であろうがいかなる手段を持ってしても守らなければいけない存在であり、愛奈は彼がもっとも嫌うであろう己の命を盾に、翼竜のギアルスの元へと行く事を阻止する。


 ──みんなの生きるという願いのためにはアスクが居なければ成立しない。そもそも“みんな”にはアスクも入っている。そういうのを抜きでアスクには危険な場所に行って欲しくなかった。居なくなって欲しくなかった。ずっと傍にいてほしかった。


「アスク、ここに居て……お願い!」


 思惑や感情が全てかき混ざった懇願に、アスクは動くことが出来なくなる。


 ――――――――――


16957:アスクヒドラ

……ずるいよ。エナちゃん!

 

16958:識別番号02

当然→アルテミス女学園ペガサスたちにとってアスクという存在は己の命に等しい存在である。

申告→彼女たちにとって都合の良い神様であるという立てた誓いを破るな。


16959:アスクヒドラ

……『ペガサス』が死んでるんだよっ!!

あいつが、もう一度空を飛ぶだけで、今度はエナちゃんたち高等部の誰かが死ぬかもしれないんだぞ!? いま殺せるなら、殺しとかないとだめだろうがっ!!


16960:識別番号04

それについて思考しなければ成らない、対策を立てなければ成らない、会話をしなければ成らない。その何れもが冷静に行なわなければならない。冷静になれアスクヒドラ、短い時間をさらに短くするな、もう一度言うぞ、冷静になれ。

愛奈たちを不幸な目に遭わせたいのか。


16961:アスクヒドラ

じゃあどうすんだよ!!!!


16962:識別番号03

──任せてください。


16963:アスクヒドラ

………………え?  ゼロサン?


16964:識別番号03

自分がどうにかします。

識別番号03は、これより進化を開始します。


――――――――――


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