第34話
生きた数ほど『ペガサス』は、『活性化率』の上昇を抑えるために全力で戦えなくなる。『ALIS』のアシスト機能を最低限にしたり、できるだけ怪我を抑えたり、そもそも『プレデター』との戦闘回数を減らしたり、特に真嘉は高等部に進学した時、同級生と全員で本当の意味で学校を卒業する誓いを立てた。そのため真嘉は活性化率を酷く気にしながら、二度の大規模侵攻での、真嘉たち高等部二年生ペガサスは酷く消極的に戦った。
──いっそ大規模侵攻が終わるまで、どこかに潜伏して戦わないほうがいいんじゃないか、そんな考えが何度も頭をよぎったが、そうやって悩む自分は、とても分かりやすかったのだろう。進学してすぐに“卒業”してしまった親友の
──後悔している。自分が何よりも大切に思っているのは同級生たちだ。それは過去も
だから、真嘉は今回の大規模侵攻で、全力を出して戦うと決めた。過去の贖罪のために、ようやく手に入れた幸せを守る為に、そしてもう二度と大切なものを失わないために。
──そんな“新たな誓い”を心で復唱しながら、真嘉はカニ型プレデターに大盾型専用ALIS【ダチュラ】の先端を向けた。
ギュイイイイイイイイイイイイイイイ!!
高速に回転するモーター音と共に半射出した杭がカニ型プレデターの顔面を貫通し、盾の中へと戻る。顔無しとなったカニ型のハサミが力無く下ろされて、そのまま液体へと変化していく。
別個体のカニ型プレデターによる4tトラックを横転させるほどのパワーを持つハサミの殴打を正面から無傷で受け止めて見せた。
「ストライク!」
真嘉はお返しと言わんばかりに【ダチュラ】を勢いよく振るい。カニ型プレデターを軽々と宙に飛ばす。わずか数秒の空中飛行を楽しんだあと別の個体と激突。頑丈な体同士を砕き合う。
「──〈
真嘉は己の対象一体を二秒間、停止させる〈魔眼〉を使用。こちらに向かって高速横移動をしてきたカニ型を停めると、専用ALISの中でも重量級の【ダチュラ】を装備しているとは思えないほど軽やかな動きで懐に入り込み、先ほどと同じく急所である顔に向かって杭を半射出、すぐに消えて無くなる小さなトンネルを作り出す。
「〈
──真嘉は百は超えるカニ型プレデターの群れに入り込み縦横無尽に暴れ回っていた。その戦い方はひどく乱暴で、停めたカニ型プレデターの脚を掴み、〈魔眼〉が解除されるや否や、片手で振り回し始めた。
「オラオラオラぁ!」
自然由来の超頑丈な棍棒と化したカニ型プレデターは同類たちを次々と砕いていくが、同じ硬度のもの同士、五体目辺りで限界が来てしまい、振り回されながら液体化しはじめたので、溶けきる前に適当に投げて道連れを一体増やす。
「〈
二秒間の待機時間が終われば、再び〈魔眼〉を発動してを繰り返しながら、できるだけ外殻を砕くように倒していく、すると飛び散った液体化する前の外殻の破片、残った『遺骸』などが、他の個体へと当たることで、攻撃されたと認識した別の『プレデター』が真嘉のほうへと向かうようになる。
──『ペガサス』の中でも秀でている身体能力、活性化率が上がりにくい天才体質、そして恵まれた戦闘センス。誰よりも才能があるから、誰よりも動いていいから、前衛の
ただし
才能のごり押しと呼べる戦い方で、『プレデター』を次々と倒していく、自分たちだけでは、この戦を千を超える大群を全て処理するのは不可能で、それならせめて、一体でも多く減らす事によって大切な同級生や高等部の仲間達、それに後続にいる中等部ペガサスたちの危険が減るからと、真嘉はとにかく『プレデター』の数を減らす事に集中する。
「貫けぇ!!」
──誰も居ない、自分の隣から感じる空虚さに、もう後悔したくないと真嘉は石よりも固い『プレデター』を貫いていく。
+++
『
瞳を素早く動かし、周辺の状況をしっかりと把握。視認した『プレデター』たちの中で優先して倒すと定めた種を見つけると跳躍、そして【バーダック】内部に溜め込んでいる圧縮された空気を噴出し、それによって生じた運動エネルギーによって咲也は空中にて急加速する。
「死になさい」
まず咲也がシカ型プレデターの真横を通り過ぎる。そして僅かに遅れて後ろに向かって伸ばしていた【バーダック】が遅れてシカ型の首を通過。
咲也を捉えて顔を向けていた、シカ型プレデターは己の首が切断された事に気付かず。天地が回る視界のなかで死を迎える。
咲也は止まることなく、圧縮空気の噴出による再加速。三次元的な直線軌道にて高速移動を行い『プレデター』を奇襲。得物を振るうのではなく、切断したい箇所に【バーダック】の内刃を通過させ、時には空中で全身を回転させて振り回す様は、まさしく命を刈る死神そのものだ。
「──レミ! 右100度、群れの中央辺りにいる大きなイノシシ型を撃って!」
≪サー≫
そうやって戦場を駆け回る中で咲也は、生まれ持った視野の広さを存分に発揮し、普通の個体と比べて、一回り以上大きく、外殻や角も強化されているイノシシ型プレデターの姿を視認。
この巨大な猪型は、何かしらの理由で他の『プレデター』を捕食し、体内の『P細胞』が一定数以上増えた事で『進化』した個体である。独立種と呼ぶにはまだ至っていないが、通常のと比べて強力である事は間違い無い。
倒せるにしても苦労を強いられる。そう判断した咲也は後衛にて真嘉が運んだ瓦礫の土台に伏せて狙撃銃型専用ALIS【Achillea 0,7】を構える『雁水レミ』に指示を送った。
レミの狙撃銃型専用ALIS──【Achillea 0,7】は、正方形と三角形を組み合わせたSF創作物に出てくるようなデザインをしており、対物ライフルほどの巨体故に、使用者であるレミが構えている姿はかなりアンバランスに感じる
≪……距離、角度、風向き、多分ヨシッ≫
レミはスコープを覗き、それっぽい事を言うが、実際はあんまり分かっておらず、射撃は『ALIS』のアシスト機能任せだったりする。
『ペガサス』と『プレデターパーツ』による『接触反応』によって【Achillea 0,7】内部に電気が蓄積される。そのさい、【Achillea 0,7】本体のいたる所からバチバチと放電が発生する。
レミは物語の登場人物が使用する必殺技などのエフェクトみたいなのが好きで、ついつい使っちゃうのだが、そういえばと詳しく調べた
「落ち着いて、気分を入れ替えて、当たる絶対当たる……すぅはぁ……よし、目標をセンターに入れて……」
巨大なイノシシ型プレデターをスコープのデジタル画面越しに覗くと、【Achillea 0,7】のアシスト機能によってレミの体に微弱な電流が流れ、手が勝手に動き、半自動的に照準調整が行なわれる。
「スタンバーイ──
ご丁寧に準備完了を知らせる機能が有り、レミはスコープのデジタル画面に映る
──【Achillea 0,7】は狙撃銃型と銘打ってはいるものの、正しくは電磁加速方式によって弾丸を発射する。いわゆるレールガン型と呼ぶべき『ALIS』である。
バコンッ!! という轟音、そして体に伝わる強烈な反動と共に、
──“物体”は弾丸と成る。音速の世界の中で
「レミ! 結果はどうなの!?」
≪えっと、恐らく額辺りに命中しまして爆発しましたっていうのはちょっとニュアンス的に正しくないような気がして、正確には額から熱によって肉体が溶け出し、弾が外に出た箇所から──≫
「倒したのねっ!? 簡潔に説明しなさいっ!」
≪倒しました!≫
咲也は、いつもの癖で長々と詳細を語ろうとしたレミを怒鳴り、結果だけを報告させる。
──(またそうやって)(隙あらば怒鳴るよね)(別に普通に注意すればいいのに)(とことんなんも変わらないね)
「……っ!」
──幻聴が、『妖精』と呼んでいる五月蠅い声が、鼓膜の奥から意気揚々と囁きだす。楽しそうに、嬉しそうに、中等部の時に“卒業”した同級生の声で、毎日毎日飽きずに自分を責め立てる。
アスクヒドラに罵声を浴びせた日から、彼と一緒にいる時間を取るようになった咲也、そのさいは多少大人しくなる『妖精』であったが、それ以外の時では変わらず咲也を延々と罵倒し続けていた。しかし、その内容に変化があった。
(ねぇ?)(どうして無視するの?)(このままだと)(死んじゃうよ?)
「っ!?」
咲也は咄嗟に真上に向かって跳躍、するとさっきまで自分が居た場所に鋭い尻尾の鎌が通り過ぎた。咲也はすぐさま【バーダック】の内部に溜め込んだ圧縮した空気を放出、空中にて全身ごと回転、尻尾の鎌の本体である奇襲を仕掛けてきたイタチ型プレデターの胴体を切り裂いた。
(本当に気付いていなかったんだ)(目が合っていたのにね)(鈍感だなぁ)(眼曇ってるよね?)(真嘉たち泣いちゃうね)(悲しませちゃうね)
「五月蠅いのよ!」
咲也が気にするもの、あるいは罪悪感を元に罵倒するだけだった『妖精』は、ここ最近戦闘において、まるで助言のように咲也の危機や、危険度の高い敵、味方の窮地などを知らせる内容が混じったものを囁くようになった。
──『妖精』は所詮、咲也が無意識下で生みだしている幻聴でしかない。それは間違いない。だからもしも、『妖精』たちが咲也の何かしらの才能の一部が変質して生まれたものだというのならば。この変化は、咲也本人の変化であるのだろう。
(怠けてていいの?)(真嘉のほうに寄ってるよ?)(それともワザと?)(苦しませたいの?)(趣味悪すぎっ)
病魔が才能に転じる、あるいはその逆か。咲也は持ち前の“視野の広さ”を活かし、戦場を駆け巡り、定期的に真嘉に声を掛け、同級生に指示を出しながら己の倒すべき『プレデター』の命を躊躇無く刈り取っていく。
+++
成人と見間違うほどの成熟した肉体を激しく動かし、赤紫の長髪を靡かせて、槍型専用ALIS【サギソウ】を振るうのは高等部二年ペガサスの『
「……みんな……眠らせるわ」
不眠症で過眠症。香火は重度の睡眠障害を抱えており、起きていれば抗えないほどの強い眠気に襲われている。ならばと眠ってしまえば幸せな夢から転落する悪夢を見せられて、ものの数秒で覚醒してしまう事を繰り返している。
アスクヒドラの傍に居る時は、どうしてだか夢を見ること無く安眠できるのだが、彼が居ないこの戦いの場においては、強制的に現実と夢を交互に往き来しており、とうてい戦える状況でない。その筈なのに香火は純白の【サギソウ】を手足のように自在に操り、誰よりも圧倒的に『プレデター』を葬っていた。
──“最強のペガサス”。誰もが認める天賦の才を持ち、決して努力を怠らず、正に一騎当千と呼ぶに相応しい戦果を上げて大規模侵攻でも伝説を作り上げた彼女は、たった二文字の異名で呼ばれていた。
「ふわぁ……」
そして、その強さは、もう二度と元に戻る事はない心の傷を抱えてからも変わらず。漏れた
武芸を極めた達人と呼ぶには、香火の戦い方は常軌を逸しすぎていた。移動と共に刺突、回避と共に斬撃、跳躍と共になぎ払い。行っている事を言葉にすれば至ってシンプルなもので、動作の全てに攻撃か防御が足されているようなものだろうが、それを理解できるものかと言われれば否である。
──努力では真似する事のできない天才を超えた何か、そう言う他にないでしょう。高等部三年ペガサス『
彼女の位置が変わるたびに、その近くに居た『プレデター』が貫かれるか斬られるか、時には数体纏めて、種類関係無く【サギソウ】の餌食になっていく。『プレデター』に液体化という性質がなければ、香火の周辺一帯は骸の山と化していただろう。
「んん……」
無双の最中、香火は睡魔に負けてピタリと動きを止めてしまう。本人なりに必死に抵抗はしてみるものの無駄に終わり、ついには片膝をついて瞼を落としてしまう。
──夢を見る。高等部ペガサス全員とアスクヒドラとでピクニックに行って楽しいひと時を過ごす。後輩が作ってくれた美味しい弁当を堪能して、持ってきた玩具で遊んで、世界をオレンジ色に染める夕焼けを全員で見て、今日は泊まっちゃおうかとひとつのテントで皆んなで寝泊まり、楽しい会話が延々と続くかと思えたが、ひとり、ひとりと声が聞こえなくなる。もう寝ちゃったの? と問いかければ、みんな起きてるよと誰かが返事をする。そうしている間にも声は無くなっていき、呼びかけは、叫びと代わって、何度も何度も名前を呼ぶが、気がつけば自分だけとなり、テントに閉じ込められ、外から何かに押し出されるように徐々に小さくなっていき──目の前にカマキリ型プレデターが現われた。
「ん……だめ……」
香火は考えるよりも先に、一歩後ろに下がりながら立ち上がると同時に、正面に向かって【サギソウ】を伸ばした。振るわれた鎌腕を寸前のところで回避すると同時に、矛がカマキリ型の頭を貫いた。
足を止めた香火に『プレデター』が殺到する。【サギソウ】を再び振るい、プレデターの蹂躙を再開する。それを離れた場所で見ていた咲也がほっと胸をなで下ろした。
他者からは危ないことこのうえない香火。自分たち以上に戦えているのは分かっては居ても周りは同級生として、仲間として彼女を心配する。
しかしながら、天才を超えた何かという評価は伊達ではなく、常軌を逸した動きを予測することはできず、援護に入ることは容易ではなかった。動きを止めたさいには慌てて駆け寄ろうとするも、すぐにまた何事もなかったように戦い始めるためタイミングが掴めず、真嘉たちは結果的にいつも完全な孤立状態で戦わせてしまっていた。
≪もうっ! 響生がいてくれたらっ……!≫
──本来であれば、高等部二年は五名で戦う筈だったのだが、前日になって急遽、『
≪咲也! 無理はすんなよ!?≫
≪分かってるわ! ……真嘉っ! あっちの群れは諦めてっ!≫
≪──っ、分かった、後ろに流す……。お前らも無理だと思ったのは放っておけ!≫
≪りょっ!≫
本気で戦っている成果はちゃんとでており、数多くの『プレデター』を撃破している。しかし、分かっていた事だが状況的にどうしても後続に流さないと行けない群れが幾つかあって、真嘉は後ろに控える中等部ペガサスたちを思うと、ひどく悔しい気持ちになる。
≪香火は、左の群れを減らしてっ!≫
「ん……いいよ……気球にのって夕日を……見に行こう……」
順調とは言えないかもしれないが、高等部二年ペガサス四名は、着実に『プレデター』を撃破し、できるだけ後ろに向かう群れを少なくしていく。
+++
色んな場所で『ペガサス』たちが最初の群れと闘い始めた中、『プレデター』がおらず平和な『
長く放置されていたカーテンで作られた、通気性皆無のフードで巨体を隠したアスクヒドラと、一眼のカメラが搭載されている『ヘビの仮面』を被った『
――――――――――
16620:アスクヒドラ
質問があります。戦地のど真ん中で、可愛い女の子と大富豪をやっている理由って何があるでしょうか?
16621:識別番号02
回答→暇潰し
16622:アスクヒドラ
極論言っちゃえばそうだけど、もうちょっとこう……納得できそうなのを。
16623:識別番号04
戦闘センスが皆無であるため前線に居るのは危険だと判断されたアスクヒドラに対する慰め行為。
16624:アスクヒドラ
こっちは手加減してほしいんだが?
というかおかしいだろ! こんなめっちゃ強そうなフルアーマーな姿していて、戦闘能力が低いとか!
16625:識別番号02
指摘→人型プレデターとしての性能の話ではなくアスクヒドラ自身の戦闘に関する思考および行動が全体的にヘボ。
16626:アスクヒドラ
ど、どど、ど、どのへんがヘボというのかね?
16627:識別番号02
以下↓アルテミス女学園ペガサスのアスクヒドラの戦闘センスに対しての評価まとめ。
エナ→「アスクは……ほら……支援系だから!」
ツクヨ→「『プレデター』でも、才能という概念は存在するんですね」
マカ→「やっぱり戦うタイプじゃねぇんだな」
サヤ→「なんか下手くそ」
マヒル→「パパよわーい」
16628:アスクヒドラ
まとめないで?? 鬼か悪魔か???
16629:識別番号02
否定→プレデターである
16630:アスクヒドラ
いやぁ……でもさ、なんかさ…… ……この体ってめっちゃ強いのよ。毒を除いても、でっかい体ながら壁を駆け上れるぐらいに素早く走れるし、拳も蛇筒もコンクリート粉々にできるぐらいパワーあるし。
でも、俺自身が運動音痴ってさすがに予想外すぎませんかね?
16631:識別番号04
正確には戦闘音痴だな。
16632:アスクヒドラ
せんちっ!
……こう、綺麗な姿勢で刀を振る事はできるのよ? ツクヨさんも姿勢の正しさだけは人間を超えていますねって言ってくれたし。
16633:識別番号02
指摘→『プレデター』であるため人ではないのは当然であり姿勢の良さのみを評価している。
結論→褒めてない。
16634:アスクヒドラ
俺の中では褒められたって事になってます。
でも、じゃあその動きを戦っている中で、どのタイミングで使っていいのだとか、そもそもどういう動きが正解なのか全然分かりません。
多分、根本的に考えちゃうからダメなんだろうなってのは自覚はあるけど、だからといって直せるものかって言われると難しいっす……。
16635:識別番号04
人間の思考から成るバグか?
16636:アスクヒドラ
分かんない、分かんない夏、分かんない。
アスク渾身の俳句。どうよ?
16637:識別番号02
評価→真夏と呼称される八月の中でのアスクの強い混乱と無理解を感じ取る事ができるが同じ言葉を繰り返し乱用することは人間が言うところの芸術性に欠けていると判断する。
採点→12点(100点満点)
16638:アスクヒドラ
しっかりと採点されて低かった時って結構ショックであることが分かりました。精進します……。
――――――――――
「──次はアスクの番だよ! はやくしないとアスクの反則負けだよ~。ほらゴー、ヨン、サーン、ニー」
仮面に搭載されている一眼レンズでこちらを見つめてニコニコとする響生の催促に、アスクは無機質に、されど内心慌て気味にカードを出す。
「ここで2を出しちゃうのは
うっふっふと悪い声を発しながら、きょうちゃんの無双タイムだーとジョーカーを出す。
――――――――――
16644:アスクヒドラ
2人大富豪ってほぼ運ゲーだよね。
……やっぱ迷惑でしかなかったかな。人手不足なのに、ヒビキちゃんが俺と一緒に居ることになっちゃうし。
16645:識別番号02
否定→ペガサスのヒビキがアスクヒドラと共に居るのは複数の思惑があってのことでありアスクの護衛はその一部でしかない。
16646:識別番号04
問題が生じた場合は呼ばれる手筈になっているのだろう?
16647:アスクヒドラ
そうなんだけどさー! みんなが命懸けて戦っている中、なにもできないってかなりしんどいわー!
でも、危ない目にあってほしくないし、出番はないに越したことはないんだけど、じゃあせめて一緒に居たかったなと思うけど、なんか見てたら見てたで余計な手出ししちゃいそうで怖いしという、色々なジレンマが複雑に混じり合ってます。
16648:識別番号04
面倒だな。
16649:アスクヒドラ
はっきり言いましたね? まあ自覚あるけどね。
みんな無事で何事も起きませんように!
――――――――――
「──アスクはさ。『ペガサス』が好きなの?」
仲間の『プレデター』たちに心配を吐露をしているアスクに、響生は問い掛ける。
「それとも、えなりんたちが好きなの?」
──喋れず、意思疎通に関する行動に制限が掛かるアスク。首や指の動きで簡単なものはできるが、アスクはじっと響生を見つめるだけにする。
「きょうちゃんはね。まかまかが好き。他のみんなも好きだよ。だからまだ動けるの。アスクはどうなの?」
しばらくの間、単眼同士の視線が混じり合うと、唐突に響生は頬を吊り上げた。
「まあなんでもいいけどね……はい! きょうちゃんの勝ちー!」
最後の1枚を場に出して勝利宣言した響生は、次はジジ抜きしようかと、集めたカードをシャッフルしはじめる。
「はい、どれか1枚選んで!」
アスクは、少し迷ってから広げて差し出された54枚のカードから1枚抜いた。
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