第3話 夢とブラコン娘

あの光景がまだ頭から離れない。


俺はひょんなことから幼馴染が告白されている現場を目撃してしまった。


転校初日にしては濃すぎるくらいの内容だ。


なんで俺はこんな気持ちになっているんだ、気持ち悪い。


ただ幼馴染が告白されてるところを見ただけじゃないか。


イルカが告白されることは、これからも多分いや絶対にあるだろう。


多分この気持ちは「寂しさ」と「劣等感」なのだろう。


俺が知らない間にイルカは遠い存在となっていた。


イルカは昔、よく俺に着いて来る弟みたいな存在だった。


弟が居なかった俺からしたら実の兄弟の様で嬉しくて嬉しくていつも一緒にいたのに。


・・・・・・・


「ただいまー」


「おかえりーお兄ちゃん!!」


家に帰るやいやな、俺に飛び付いてくるものがいた。


双子の妹の琴葉だ。


「お風呂にする?ご飯にする?それとも、わ、た、し?」


それ兄妹でやるものじゃないでしょ。


心の中でそうツッコミを入れる。


「風呂先で(棒)」


「・・・・はい、お風呂ねー」


その間は一体なんなのだろう。


靴を脱ぎ、まだ見慣れていない自分の部屋に行った。


ブレザーを脱ぎワイシャツ一枚で俺はベットに倒れ込んだ。


「疲れた」


部屋にはまだ荷解きが済んでいないものだらけだ。


落ち着かない。


「・・・・・・・・」


視界が狭くなって行く。


目を開けるとそこは、さっきまで居た部屋では無かった。


学校の教室だ。


「四葉!」


突然、俺を呼ぶ声が聞こえた。


誰だ?聞き覚えが無い声だ。


とても可愛らしい声で四葉は声の方に体を向けた。


後ろを向くとそこには、1人の女子が立っていた。


銀髪ショートの女の子、クジラじゃないよな?髪で顔が見えないな。


「○○○○○○○○○○○○」


何を言っているのかがまるで分からない。


しかしポタポタと水滴が落ちる音が聞こえてくる。


なんだ、泣いてるのか?


すると、女子がこっちに向かって来た。


そして俺を押し倒して唇にキスをした。


そして見えなかった顔がようやく見えた。


その顔を俺はよく知ってた。


「なんでだよ?」



「・・・ちゃん・・・・お兄ちゃん!!」


「!?・・・なんだ琴葉か」


俺は琴葉の声で飛び起きた。


ゴンッ!という鈍い音を立てて俺と琴葉は額をぶつけた。


「痛てて、『なんだ?』じゃないよ、お兄ちゃんお風呂は?」


「あぁぁごめん行くよ、今行く」


そして俺は風呂に向かった。


引っ越して2回目の風呂、前の家と比べたら少し大きいバスタブ。


肩まで浸り、天井をボーッと眺めてた。


「さっきのは夢だったのか?」


夢にしてはやけにはっきりしていた気がする。感触も、、、


俺は唇を触った。


どうしてあんな夢を見たのか。


色々考えてを巡らせてると、突然風呂のドアが開いた。


「お兄ちゃん!一緒に入ろ!」


真っ裸の琴葉が微笑みながら風呂に突入してきた。


「・・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


四葉の悲鳴が家中に響いた。


「なんで入って来るの!?」


「なんでってお兄ちゃんと一緒にお風呂入りたいから?」


「そーーゆうことじゃないでしょ!とりあえず俺はもう出るからな!」


「やぁぁぁーー待ってお兄ちゃん!一緒に入ろうよ!」


「入るか!子供の頃じゃねーんだから!あと素っ裸でくっつかないで!」


マズいこのシュチュエーションはマズ過ぎる。


琴葉のすべすべ肌が腕に当たる。


俺は琴葉をなんとか引き剥がして、急いで自分の部屋に戻った。


最近、琴葉のブラコン度合いが加速して来ている。


原因はストレスだ。


東京の学校でイジメに遭ってしまい、そこから琴葉は不登校となってしまった。


そして家族にしか心を開かなくなった。


以来、何故か重度のブラコンとなってしまった。


まるで子供に戻った様にスキンシップしたり、甘えたりしてくる。

 

なので余り強く叱らずにいた。


はぁ.......


思わずため息が出た。本当に今日は色々あったなぁ。毎日これじゃ俺の体と心が持たないよ。


薄れゆく意識の中で色々思い出していた。


「明日は少しいい日になるといいなぁ」


俺はそうして眠りに着いた。


「・・・・・・・・」


朝、目を覚ますと隣に琴葉がいた。


なんで?


鍵閉めたはずだよ?


「琴葉、起きて」


「・・・・お兄ちゃんおはよう」


「おはよう、じゃなくて、なんで琴葉が俺のベットにいるの?」


「お兄ちゃんと寝たかったから」


「鍵かけたはずなんだけど?」


「合鍵」


「そんなものあるのかよ!?」


いつの間にそんなものを!?とゆう事はこれから毎日、琴葉が俺のベットに侵入してくるのか。


気が気じゃ無い。


朝食を済ませて学校に行く準備をする。


「この制服なんかデカくないか?」


急いで作ったからかな?まぁいいや。


制服に袖を通して家を出た。


学校に着くとイルカの席に人だからができてた。


「おはよう、イルカ」


「あ、四葉おはようなんか疲れてない?」


「疲れてるっちゃ疲れてるな」


「ちゃんと休まないと体壊すよ」


「あぁそうだな」


軽く会話をしていると俺達の席に1人の男子が近づいて来た。


「朝からご機嫌だな白海、と確か桟だっけ?」


近づいて来たのは、イルカとは別ベクトルのイケメンだった。


よく見ると汗をかいていた。なんでだ?


汗も滴るいい男ってか?


「秋風か、四葉コイツは秋風緑、僕と同じ中学でサッカー部のエースだよ」


「よろしくな、四葉!」


「あぁぁよろしくな」


そういうと、秋風は爽やかな笑顔をこちらに向けた。


すると秋風の後ろから1人の少女がやって来た。


「緑!また汗拭かないで教室に来たの!?」


そういうとき少女はタオルで秋風の額を半ば強引に拭った。


「痛い、辞ろ!」


「ちゃんと拭かないと風邪になるでしょう!」


まるで子供の体を拭く母親だ。


「四葉この人は猫屋敷さん、秋風の幼馴染だよ」


幼馴染か、俺ら以外にも居たんだってか幼馴

染とゆうより夫婦に見えて来る。


「猫屋敷さん大変そうだね」


「大変だよ、緑ったら全然話聞かないんだもん、ほらちゃんと拭いて」


「お前は俺のお袋か!!」


「おぉぉこれが夫婦喧嘩か」


「「誰が夫婦だ!!」」


息ぴったりじゃん!


四葉は心の中で2人のことを新婚夫婦と呼ぶことにしたのだった。

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