第2話 告白

「ねぇ四葉、一緒に食べない?」


授業が終わり昼休みになろうとしてる時、

俺はイルカに昼飯に誘われた。


「いいのか、他の奴らと食べなくて?」


イルカは男女問わず人気があり友達が沢山いる。それは休み時間の僅かな時間でも分かるくらいにだった。


休み時間になればイルカの周りには人だからができていた。


「いいんだよ、僕か四葉と食べたいんだから、それに四葉の話聞きたいし」


「そういうものなのか、じゃ一緒に食おうぜ」


「うん」


そう言うとイルカは、俺の机に自分の椅子を持って来た。


「懐かしいね、昔はよくこうやってお昼食べてたよね、、、、ねぇ四葉そのお弁当まさか自分で作ったの?」


イルカが俺の弁当を見てそう聞いて来た。

俺は少し冷や汗をかいていた。


「そうだけど、どうした何か変か?」


するとイルカの顔が少し曇った。


「いや、、、四葉って料理できたっけ?」


その問いに俺はイルカから目を逸らした。


「、、、、、練習したんだよ」


俺は昔、料理が死ぬほど苦手だった。


小学校の調理実習でハンバーグを作ったことがあったが、出来上がってたのはダークマターだった。


そのダークマターを食べたイルカは腹を壊していた。多分それから俺の料理がトラウマなのだろう。


「ダークマター作らないように頑張って作ったんだよ」


「、、、、、見た目はよくできてるけど

食べてみてもいい?」


「いいぞ」


そう言うとイルカは弁当に入ってた卵焼きを取り口へ運んだ。


食べ方綺麗だなーと思いながらイルカが卵焼きを飲み込むのをみていた。


少しの咀嚼を得てからイルカが卵焼きを飲み込んみ、口を開いた。


「・・・・おいしい、おいしいなんで!?」


「お前失礼にも程があるだろ!頑張って練習したって言っただろ!!」


「言ったけどここまで腕が上がるものなの!?」


信じられないものを目の前にしているそんな目をイルカはしていた。


なんなんだろう、このどこにもぶつけることができないモヤモヤは。


そんな話をしながら俺達は、昼飯を食べ終えた。


「そういえば四葉、部活とかってどうするの?」


弁当を片付けていると、ふとイルカがそう言った。


「もし決まってないなら僕と一緒に」


「俺は部活やらないよ」


「えっ!?」


俺がそう言うとイルカが信じられないって顔をしていた。


「なんで、なんで入らないの!?四葉運動得意だったよね?」


確かに小学校では常に体育の成績は1位だったけどそこまでのことか?


「疲れたんだよ人間関係ってやつに、東京に行って嫌ってほど人間関係に苦労したからな」


「・・・そうだったんだね、なんかごめん」


「別にルカが悪いわけじゃ無いんだから謝んなよ」


できれば東京の話はしたく無い。


幼い頃の俺は東京や都会などの、言葉に目を輝かせてた。


きっとこの田舎が嫌いだったのだろな。


東京に引っ越すと決まった時は嬉しさのあまりベットから落ちたくらいだ。


だけど俺の思い描いていた東京と実際の東京は天と地ほどの差があった。


できればもう東京には行きたくない。


昼休みも終わる頃、俺はトイレに行こうと教室を出た。


トイレは少し遠く、廊下の端にあった。


いちいちこの長い廊下を歩くのはめんどくさいな。


廊下では人が集まって話をしていた。


東京ではあまり見かけなかった光景だ、田舎特有の文化なのだろうか?


集まりの横を通るとひそひそと声が聞こえた。


「ねぇあれ誰?この学校にいたっけ?」


「アレだろ2組の転校生」


「え、転校生なんて居たの!?」


「今日、転校して来たらしいよ」


「この時期に?」


「なんか訳ありかな?」


聞こえてるは!!

おもっくそ聞こえてるは!! あーほら変な噂が立とうとしてるよ。やっぱりこんな微妙な時期に転校なんてしなければ良かった。


そんなことを心の中で叫んでいると後ろから

誰かが走って来る音が聞こえた。


「しーーーろーちゃーーん!!!」


振り返るとそこには立派なメロンが二つ宙を舞っていた。


なにごと!?


そして次の瞬間、もの凄い衝撃が四葉を襲い四葉は二つのメロンの下敷きになっていた。


めちゃくちゃ柔らかいです。


「お帰り!しろちゃん!」


ふと顔を上げるとそこには見知った顔があった。


イルカがこの学校に居るなら当然か。


俺に抱きついてるこのナイスバディな美少女はイルカの姉の白海クジラだ。


それにしても、大きくなったなー色々な意味で、そう色々な意味で。


「お、おいあいつクジラさんに抱きつかれてやがる」


「う、羨ましすぎる今すぐそこ変われ!」


野次馬がやいやい言ってるが気にしないでおこう。


「帰って来たなら教えてくれたら良かったのに」


「昨日こっちに戻って来たんだよ」


「そうだったんだね」


「とりあえず降りようか、人が見てることだし」


「はーい」


そう言うとクジラは俺の上から降りた。


「あーー!!」


すると野次馬の中からイルカが飛び出して来て俺とクジラの間に割って入った。


「何やってるの二人共!!」


「いゃ〜久しぶりにしろちゃんに会えたから嬉しくて嬉しくて」


しろちゃんとは俺のあだ名だ。

四葉のクローバーは別名シロツメグサなので

あだ名がしろちゃんなのである。


クローバーでクロちゃんでいいんじゃ無いって言われたことがあるがほらなんかいやじゃん。


でもしろちゃんと言うあだ名は主にクジラしか使ってないけど。


「お姉ちゃんはもっとデリカシーを持った方がいいよ!」


「何よそれ!それじゃまるで私がだれかれ構わず飛ついてるみたいじゃない!私しろちゃんにしか飛びがないからね!」


それはそれでいいのかと思ったが黙っとくことにした。


あ、そういえば俺トイレ行きたかったんだった。


二人が言い争ってる間に俺はトイレに行った。


トイレから戻ってみるとまだやっていた。


「二人共、皆んな見てるからそろそろ辞めたら?」


「そうか、それもそうだね」


「あはは、なんか恥ずかしいとこみられちゃたなー」


そういうと二人は自分の教室に戻って行った。


柔らかかったなー。


俺はそっと自分の手のひらを眺めていた。


教室に行くとイルカが不機嫌そうな顔で座ってた。


「なんか嬉しそうだね」


やべ!ニヤついてるのがバレたか。


「久しぶりに会うんだから嬉しいに決まってるだろ」


「僕の時とは反応が随分と違ったけど?」


「そんなことはない」


イルカの態度がさっきまでとはまったく違っていた。


そんなに俺もクジラが仲良くすることが気に入らないのか?


とにかくイルカの機嫌を取らないとな。



授業が終わり俺は帰る支度をした。


教科書などを鞄に入れ俺は教室から出た。


イルカやクジラは部活があるらしく俺は一人で帰ることになった。


イルカの機嫌は治らなかった。


このまま嫌われるのは嫌だし明日謝るか。


駐輪場に向かっていると物陰に入って行くイルカの姿を見かけた。


明日謝るより今謝っとくか。


そう思い、俺はイルカの後を付けた。


追いかけるとそこには、イルカと一人の女子が居た。


女子の方は確か、黒崎ユナだ。


綺麗な茶髪に大胆に着崩した制服。ギャルを体現したかのようなやつだ。休み時間イルカに話かけてたグループのリーダー的存在だ。


こんなところで何をしているんだ?


「どうしたの、ユナ用事って?」


「単刀直入に言うね、私と付き合って」


はぁ??


これ告白ってやつか?そんなことする奴居るんだと心の中で驚いていた。


「・・・・ユナももう知ってると思うけど僕は誰とも付き合わないよ」


「なんで?アタシじゃ付き合えないってこと?」


「違うよ、部活とか勉強に集中したいんだよ」


「イルカは部活でも勉強でもいい成績残してるし、今は部活してないじゃん、なんでそこまでして恋愛から距離を置こうとしてるの?イルカ、告られて続けてるけどなんで全部断ってるの?」


イルカって告られてまくってんだ。


それもそうか、金髪に中性的な容姿そんな奴東京にもいなかった。そしてイルカは優しい。

 

誰かれ構わずに親切だ。そんな完璧と言えるやつが身近にいたら誰もが好きになる、モテまくってるのも当然か。


「恋愛したくないって人もいるでしょ、はっきり言うと僕はもう恋愛とかあまり興味ないんだよ本当に」


「・・・・分かったよ、ごめん突っかかたりしちゃって」


「大丈夫だよ、こっちこそ気持ちに答えてあげらなくてごめん」


「謝んないでよ、その代わりこれからも友達で居てよ、気まずくなるのは嫌だからさ」


「分かったよありがとうユナ」


「じゃ」


そういうと黒崎は去って行き、イルカはその場に留まった。


複雑な気持ちになる。


俺は思いがけず幼馴染が告白されてる現場に遭遇してしまったのだった。






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