第54話 お酒





「りゅうちゃん、せっかくだから少しお酒飲む?」

「うーん。せっかくだから飲もうかな……」


餃子の皮ピザはホットプレートの面積の都合上一気にまとめて焼くことができないので、焼く過程を楽しみながらちまちま食べていたのだが、まゆの提案で少しだけお酒を飲むことにした。


以前、まゆのご実家に行った時にまゆのお母さんがお酒飲めないのにいっぱいお酒もらったからよかったら持って行って。とほろよいを数本押し付けられて冷蔵庫に入れたままになっていた。


「まゆは飲まないの?」

「また迷惑かけちゃうといけないから……」


よほど昨日の夜のことを気にしているらしい。気にしなくていいのに……


「私飲みたい…」

「「未成年はまだダメ!」」


あと数ヶ月で20歳だから我慢しなさい。と僕とまゆは2人でみほちゃんを止める。僕もまゆもあまりお酒好きじゃないからお酒飲みたい。と言うみほちゃんの気持ちはよくわからない。きっと飲んでみたい。という好奇心があるだけだろうけど…


というわけでほろよいの缶をあけて軽く飲む。やっぱりお酒はちょっと苦手かも…と思いながらちびちびと飲む。おつまみはトッピング用のテリヤキ、ベーコン、ウィンナーなどいろいろあるので困らない。


「りゅうさん、美味しい?」

「うーん。ぶどうジュースの方が好き」

「りゅうさん子どもだからなぁ」


僕の感想を聞いたみほちゃんがやれやれ。という感じで僕に言う。


「うるさいなぁ…」

「えへへ。りゅうちゃんの子どもっぽいところ、まゆ、大好きだよ」

「ほんと?ありがとう」

「すーぐいちゃいちゃする……」


まゆに大好きと言われなんかテンション上がる。めちゃくちゃ嬉しい。


「まゆ〜もう一回大好きって言って!」

「え…えっと…だ、大好き…だよ……」


大好きって言って。と言われて照れながら大好き。といっぱい言ってくれるまゆが大好き。かわいい。


「僕もまゆのこと大好き」


そう言ってまゆに抱きつく明らかにテンションがおかしいことに自分は気づいていない。


「りゅうさん、酔ってる?」

「酔ってないよ」

「りゅうちゃん…ちょっと苦しい…」

「え…ごめんなさい……」


まゆに苦しいと言われて慌ててまゆから離れる。まゆに苦しい思いをさせてしまうなんて…


「りゅうちゃん、酔ってる…普段ならぎゅってしてくれる時、まゆのことちゃんと考えた強さでしてくれるはずだもん」


まゆにまで酔ってる。と言われたら認めるしか…あれ?僕、本当に酔ってる?わかんな………い………





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