第55話 感情
「りゅうちゃん寝ちゃった……」
まゆがお酒を勧めてしまった結果、酔わせてしまったみたいだ。申し訳ない…それにしても…ほろよい一本で酔っちゃうりゅうちゃんかわいい。
「みほ、悪いけどりゅうちゃんお布団に運ぶの手伝ってくれない?」
「了解」
まゆがりゅうちゃんの肩のあたりを持ち、みほがりゅうちゃんの足を持ってりゅうちゃんをお布団まで運ぶ。
「おやすみなさい」
りゅうちゃんにお布団をかけた後、りゅうちゃんの耳元で小さく囁いてりゅうちゃんの頬に軽くキスをしてしから寝室の電気を消してリビングに戻る。
「みほ、ありがとう。みほは今日お泊まりするんだよね?りゅうちゃん寝ちゃったし、今日は一緒に寝る?リビングでだけど……」
「うん!いいよ。でも、お姉ちゃん大丈夫?りゅうさんと一緒じゃなくて寂しいんじゃないの?」
「さ、寂しくないもん!きょ、今日は…みほで我慢するもん………」
寂しくない。と言うまゆをみほはニヤニヤとした表情で見つめる。恥ずかしいからやめて……
「じゃあ、リビング片付けちゃお。私も手伝うから」
「ありがと」
みほと一緒にホットプレートなどを片付けたりしながら軽く近況報告の雑談をする。
「みほは最近どうなの?いい人いないの?」
「ダメ…お姉ちゃんと違ってなかなかいい人に出会えない…だからお姉ちゃんが羨ましい。優しくてお姉ちゃんのこと本当に大切にしてくれる素敵な人と結ばれたことが…」
「みほにもいつかそんな人が見つかるよ…」
だってみほはまゆにないものをいっぱい持ってるから。まゆより明るくて社交的なみほならいつか必ず素敵な人を見つけられると思う。
何回か考えたことがあった。もし、まゆとりゅうちゃんが出会ってなくてみほが先にりゅうちゃんと出会っていたらきっと、この部屋にまゆの居場所はなくて、りゅうちゃんとみほ、2人だけの場所になっていたのではないか…と……
そう考えると怖かった。みほがりゅうちゃんのこと好きだと知った日からたまにこのことを考えて寝れなくなるくらいに……
まゆは運がよかった。みほより先にりゅうちゃんに出会えてりゅうちゃんに好きになってもらえて、りゅうちゃんにすごく大切にされてるから。
「お姉ちゃん?どうしたの?」
「ん?あ、なんでもないよ」
ちょっと、考えすぎてしまったみたいだ。今は今、まゆが今を生きている限りどうやっても過去に遡ることはできない。だからこんなこと考えるだけ無駄だ。
そんなことを考える暇があったら、これから先りゅうちゃんと何をしたいかを考えよう。だって、過去に遡ることはできないけど、未来を決めることはできるのだから。
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