第35話 朝の時間
「りゅうちゃん、朝だよー起きてー」
初出勤の日の朝、まゆに起こされて目を覚ます。まだ眠い…と思いながらお布団から出ようとするとまゆはいつも料理をする時につけているエプロンをつけていた。
「ほら、朝ごはん作ったから食べちゃって。いっぱい食べてお仕事頑張ろう!」
「まゆ…ありがとう」
「いいよ。美味しい。って言って食べてね」
「うん」
まゆに申し訳ない気持ちを抱きながら僕はテーブルに置かれた朝ごはんのごはんと味噌汁と昨日の夜ご飯のあまりの肉じゃがをいただいた。昨日の夜よりも味が染みてて美味しさ倍増していた。
「あ、お弁当も用意しておいたから持って行ってね。しばらくはお弁当いるんだよね?」
「うん。ありがとう」
「感想教えてねー。あと、リクエストあれば教えてー」
僕は教師になるわけだが、始業式を終え給食が出るまで1週間ほどお弁当が必要になる。保育士のまゆも似たような感じでお弁当が必要だから全然いいよ。と笑顔で言ってくれた。まゆが作ってくれたお弁当すごく楽しみ。
「まゆ、そろそろ出る時間だよね?朝ごはんの片付けは僕がやっとくから余裕持っていきなよ」
「ありがと。りゅうちゃんも余裕持って行きなよ。時間なかったら置いといてくれたらまゆが帰ってからやるから」
「僕は電車だから時間通り出れば大丈夫だよ。まゆは車なんだからちょっと余裕持ちなよ」
「はーい。じゃあ、任せるね。ありがとう」
「こちらこそ美味しい朝ごはんありがとう。お弁当もすごく楽しみ」
「えへへ。夜ご飯も楽しみにしてて」
そう言ってまゆはカバンと車の鍵やスマホなどを持って出かける準備を終える。
「じゃあ、行ってきます」
「行ってらっしゃい。お仕事頑張ってね」
「うん。りゅうちゃんも頑張ってね。あ、鍵、ちゃんと閉めてから出かけてよ」
「はーい。気をつけてね」
「うん」
まゆがリビングから出て行くのに続いて僕はまゆを見送る為にリビングを出る。玄関でまゆが僕の方を振り向いて両手を広げたから僕はまゆを抱きしめた。
「えへへ。ありがとう。今日1日頑張れるー」
「頑張って」
「りゅうちゃんも頑張って。頑張れるようにパワーあげる」
そう言ってまゆは背伸びしながら僕の頬に軽くキスをしてくれる。まゆにキスをされるのはすごく久しぶりでドキドキした。まゆの唇が触れていた場所がすごく暖かくなる……
「今日1日頑張れそう?」
「うん。めちゃくちゃ頑張れる」
「よかった。じゃあ、行ってきます」
「うん。行ってらっしゃい」
僕に見送られながらまゆは部屋を出て行く。まゆの車が出発するのを見送って朝ごはんの片付けとゴミ出しを終えて僕もアパートを出る。まゆに頑張れるパワーもらったから頑張ろう。
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