第32話 オヤスミ





りゅうちゃんにものすごく迷惑をかけておいてこんなことを考えてしまうのは悪いことだと思う。でも、すごくドキドキして幸せであるとまゆは感じてしまった。


歩くのも辛くて、りゅうちゃんにおんぶしてもらって近くのホテルまで向かった道中もりゅうちゃんに大変なことをさせているのにまゆは幸せと思ってしまった。ホテルに着いて部屋に入る。りゅうちゃんはまゆがゆっくり休めるようにベッド2つある部屋を借りてくれようとしたけどまゆが節約と言って無理矢理ベッドが1つしかない部屋を借りてもらった。節約なんて本当はどうでもいい。まゆのせいで余計なお金かかっちゃったからこの分は元からまゆが出すつもりだった。りゅうちゃんに隣にいてほしい。まゆの側にいてほしい。まゆの手の届くところにいてほしい。迷惑かけてるまゆの口からは言えない本当の理由をまゆをおんぶで部屋まで運んでくれたりゅうちゃんの背中を抱きしめて伝えた。


「りゅうちゃん、ありがとう。疲れたよね…ごめんなさい……」

「大丈夫だよ。まゆ、軽いから全然大丈夫。ほら、ゆっくり休んで。僕は適当に暇つぶしてるから」


そう言ってベッドの隣の床に座ってスマホをいじりだすりゅうちゃんをまゆは抱きしめてしまっていた。


「隣にいればいいの?」


隣にいて。ってまゆが言えなくて無言の状態が続いた後、りゅうちゃんがまゆに優しく聞いてくれた。まゆが頷くとりゅうちゃんはわかった。と言ってベッドに入ってまゆの隣で横になってまゆを抱きしめてくれる。


「え、まゆ、大丈夫?ごめん、いやだった?」


りゅうちゃんに優しくされて泣いてしまったまゆを見てりゅうちゃんは慌ててしまう。申し訳ない……


「いやじゃない…嬉しいの。幸せなの。だから泣いちゃったの…ごめんね。迷惑かけて…」

「気にしないの。ほら、ゆっくり休んで」


そう言って優しくまゆを抱きしめてくれる。体調悪いこともあってまゆはすぐに眠ってしまった。隣にりゅうちゃんがいてくれる安心感や、りゅうちゃんの優しさとかりゅうちゃんのおかげでまゆはゆっくり休むことができた。りゅうちゃんはずっとまゆが寝るまでまゆの頭を撫でてくれてまゆが寝たらまゆにちゃんとお布団をかけてくれてまゆのわがままを聞いてずっとまゆの隣にいてくれた。迷惑をいっぱいかけてしまったのに、ずっと優しくしてくれたりゅうちゃんのことを改めて大好きになってしまう。まゆの体調が良くなったらきちんとお礼しないとな…

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