第22話 ごめんなさい。
「りゅうちゃん、お待たせ。あれ、みほは?」
「え、えっと…その……」
「何かあったの?」
まゆは持ってきてくれたお茶を机の上に置きながら心配そうな表情をする。
「えっと…その……」
まゆに何があったのかを説明する。するとまゆはそっか。と短く溜め息を吐いた。
「ごめんね、みほが迷惑かけて…」
「いや、大丈夫だけど……」
「ねぇ。みほがりゅうちゃんのこと好きだった。って聞いてりゅうちゃんはどう思った?」
「び、びっくりしたよ。でも、みほちゃんの行動とか見てたりすると…納得できるというか……」
「りゅうちゃん、ごめんね。まゆ、みほがりゅうちゃんのこと好き。って知ってもその気持ちを抑え付けさせてたの…りゅうちゃんがまゆよりみほの方がいいって言ったらまゆ耐えられないから……」
気づいたらまゆは泣きそうな表情をしていた。きっと、みほちゃんに対して罪悪感があるのだろう。
「まゆ、泣かないで。大丈夫。僕は絶対まゆの側にいるから。大丈夫。絶対まゆを裏切らないから」
そう言ってまゆを抱きしめる。そうするとまゆは一気に泣いてしまう。僕は大丈夫だよ。と声をかけながらまゆの背中をそっと摩る。
「あー。りゅうさんとお姉ちゃんがまーたいちゃいちゃしてるーまったく。お熱いなー」
「みほちゃん、えっと…大丈夫?」
「ん。大丈夫。全部言えてむしろすっきりしてるくらい。ほら。お姉ちゃん泣き止みなさい。りゅうさんこまってるでしょ。嫌われちゃうよ」
「これくらいじゃりゅうちゃんはまゆのこと嫌いにならないもん」
そう言ってまゆは僕の眼を見てそうだよね?と聞いてくる。僕がうん。と言ってまゆの頭を撫でるとまゆはえへへ。と笑顔を見せてくれる。その様子をみほちゃんに動画で撮られていたことには気づかなかった…
「みほ、改めてごめんね」
「いいよ。今は気にしてないし、りゅうさんはお姉ちゃんの大切な彼氏だからね。一瞬でも、本気でお姉ちゃんから取ろうとしたから私の方こそごめんなさい」
「大丈夫だよ。りゅうちゃんは絶対まゆ以外の女の子に振り向いたりしないもんね」
「うん」
迷わず答えるとまゆはえへへ。とまた嬉しそうな表情をする。かわいい。
「お熱いねーりゅうさん、お姉ちゃんのこと幸せにしてよ。あ、あと、もしお姉ちゃんと別れたら次は…私が一緒にいてあげてもいいから。まあ、そんなことないと思うけど」
「うん。ごめんね」
まゆとずっと一緒にいたい。まゆが嫌がらない限りは…まゆが僕とずっと一緒にいたい。と言ってくれるなら、ずっと2人で一緒にいられる。これからもずっと2人で一緒にいたい。そう思いながらまゆをぎゅっと抱きしめるとまゆは抱きしめ返してくれる。それを見たみほちゃんはやれやれ。と言いながら部屋から出て行った。
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