第21話 コクハク





「りゅうさん、お姉ちゃんとは上手くやれてる?」


まゆが部屋から出て行ってすぐに、みほちゃんは心配するように僕に聞いてきた。僕としては上手くやられていると思う。まゆと一緒に幸せな時間を過ごせていると思う。そうみほちゃんに伝える。


「ならよかった…私、人叩いたことないから」


みほちゃんはまゆのことが大好きだ。めちゃくちゃ仲がいい。だから、まゆが僕と暮らすことになった時、お姉ちゃんを幸せにしなかったらぶん殴るから。と言われている。


「それでーお姉ちゃんともう初めてのことはしたのかなぁ?男としての度胸が1ミリもないりゅうさんでもあんなにかわいいお姉ちゃんが近くにいたら手出しちゃうよね?」

「し、してない…」

「えー嘘だー」


嘘だー。って、本当にそういうことはしてないんだよ…


「じゃあ、どこまで進んだの?キスくらいはした?お風呂一緒に入ったりしてるの?」


ぐいぐい聞いてくるな…まゆとは毎晩一緒に寝ているけど一緒にお風呂に入ったりはしていない。寝る時は一緒に寝よ。って言ってくれるまゆだけど、お風呂とかは誘ってくれないから1人で入りたいのだろう。


「受け身すぎ…たぶん、お姉ちゃんから誘われるの待ってたらずっと待つだけだよーお姉ちゃん、胸が小さいの気にしてるから…」


た、たしかに…まゆは…その…ちょっと小さい。みほちゃんは抱きつかれたらすごい感触が来るのだが…まゆは…たぶん、みほちゃんに全部持ってかれたんだろうな。で、でも、胸が小さいからって僕は気にしないのに…


「りゅうさんの方からきちんとリードしてあげてよ。お姉ちゃん、りゅうさんのこと本当に大好きなんだから…」


そう言ってみほちゃんは黙り込んでしまう。急に黙り込んでどうしたのだろうと思っていると…


「は、初めてだったんだから…私とお姉ちゃんが本気で喧嘩するの…」

「ん?喧嘩?」

「わ、私は…りゅうさんのこと好きだったの。本気でりゅうさんに振り向いてもらおうと…お姉ちゃんからりゅうさんを取ろうとしたことがあって本当に喧嘩したの…」

「え?」


まゆはそんなことがあったなんて一言も言ってなかったからびっくりした。ていうか、みほちゃんが僕のことを???


「その様子じゃ気づいてなかったでしょ。まあ、りゅうさんはお姉ちゃん以外の女の子に興味ないから仕方ないよねーお姉ちゃんが羨ましい」


「まあ、今はもうそんな気持ちないから…先輩と後輩として…お姉ちゃんの彼氏として、私と関わってくれたら嬉しい。今の告白は忘れて」


僕が何も言えずにいるとみほちゃんは悲しそうに言う。そして、ごめん。ちょっと外出てくる。と言って部屋から出て行ってしまった。





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