第9話 お出かけ
「もう夕方だけどどうする?」
起きてとりあえずお腹が空いたから僕とまゆは昨日の夜ご飯の余りの味噌汁とご飯を食べた。このあとどうしたいかをまゆに尋ねるとまゆは少し考える。
「うーん。お散歩したい。ここの近く案内してよ」
案内して。と言われても僕も暮らし始めてからコンビニしか行ってないんだよな…まゆと部屋決めの時に少しアパートの周り見て回ったくらいだから案内なんてできないんよ…だから、2人で一緒に街探検のお散歩することになった。
「りゅうちゃん、準備できたよ」
出かけることになり、僕はリビングで着替えて寝室で着替えていたまゆが来るのを待っていた。まゆがリビングに入ってきてソファーに座っていた僕の隣に座る。
「りゅうちゃん、行こ」
「うん」
まゆが着ている服が、去年のまゆの誕生日に僕がプレゼントした服でその服をまゆが着てくれていることを嬉しく思いながらソファーから立ち上がる。
「りゅうちゃん、手…」
「うん」
玄関から外に出て部屋の鍵を閉める。そして歩き始めようとするとまゆがそっと僕に手を伸ばしてきたので僕はまゆと手を繋ぐ。デートとかで外を歩いたりする時はいつもまゆと手を繋いで歩く。付き合った時から、僕とまゆにとっては当たり前の行動だった。最初はお互い緊張して手を繋ごうとして手を引っ込めたりを繰り返していたが、いつの間にかこうしてまゆと手を繋いで歩くことが当たり前になっていた。
きっと、僕とまゆの生活も徐々に当たり前のものになって気づいたら緊張なんてせずに一緒に寝たりできるようになると思う。
幸せが当たり前になって、幸せという気持ちが薄れて幸せなのに幸せと思えず、自分が幸せであること気づかなくなることはないようにしたい。まゆと付き合って手を繋いで歩くことが当たり前になった時に僕はそんなことを考えていた。
まゆとずっと一緒にいられる幸せを当たり前のことにするのではなく、幸せな日々を過ごさせてくれてありがとう。という気持ちを忘れることなくまゆと一緒に暮らしたい。まゆと一緒に歩いていたい。まゆの隣にいたい。
「りゅうちゃん、どうしたの?」
「ん?なんでもないよ。まゆと手を繋いで歩けることが嬉しくて…ありがとう」
「何それーまゆもりゅうちゃんと手を繋いで歩けて嬉しいよ」
そう笑顔で言ってくれるまゆを見てますます幸せな気持ちになる。まゆの素敵な笑顔が崩れることがないようにまゆを幸せにしてあげたい。まゆと幸せになりたい。まゆと手を繋いで歩き始めながら改めてそう思った。
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