第6話 初めての夜





「寝ちゃってるし……」


髪を乾かし終えたまゆはお布団に包まっているりゅうちゃんに声をかけるが返事がない。初日だし…まゆの引っ越しのお手伝いとかしてくれて疲れてるのはわかるけど……


「約束したのに…」


すごーく楽しみにしてたから残念だった。りゅうちゃんとお茶でも飲みながら少しお話して2人が眠くなったら一緒にお布団入ってお布団でちょっとお喋りして……りゅうちゃんを思いっきり抱きしめながら寝たかったのに……


まゆはわざとらしく頬を膨らませる。りゅうちゃんに不満があると伝える時の仕草でまゆが頬を膨らませるとりゅうちゃんはすぐにどうしたの?と聞いてくれるが今日はそれがない。完全に寝てる……


お布団をめくっても目を覚さない。りゅうちゃんの寝顔を少し見つめる。かわいい。すかさずスマホを手に取りりゅうちゃんの寝顔の写真を撮る。りゅうちゃんには内緒……


りゅうちゃんも寝ちゃったしまゆも疲れちゃったから今日はまゆも休むことにしよう。と思いまゆは歯を磨いたり寝る支度をする。


お布団をもう一枚敷こうかな……りゅうちゃんの許可なくりゅうちゃんと同じお布団で寝るのはいくら彼女でもよくないかな……と思う。でも……


「約束破られたんだからこれくらい許してもらえるよね」


そう自分に言ってドキドキしながらりゅうちゃんのお布団に近付いて、りゅうちゃんを起こさないようにそっとりゅうちゃんの隣で横になる。


りゅうちゃんの方を見るとすぐ近くにりゅうちゃんの顔があり、りゅうちゃんの寝息がそっとまゆに当たってまゆの顔は真っ赤に染まってしまう。


ドキドキしながらまゆはりゅうちゃんを抱きしめる。ドキドキしすぎて心臓が破裂してしまうと思ってしまう。まゆのドキドキした心臓の音でりゅうちゃんが起きてしまわないか不安になるくらいまゆの心臓の鼓動は荒ぶっていた。


ドキドキする。ドキドキしすぎて辛い……でも、まゆはすっごく幸せ。大好きなりゅうちゃんと同じ部屋でこうして寝ることができて…一緒に暮らすことができてすごく幸せ。


「りゅうちゃん、ありがとう」


ドキドキしながらりゅうちゃんに小声でそう言ってりゅうちゃんの頬に軽く唇を当てる。本当にドキドキしたけど…りゅうちゃんが寝てる時じゃないと恥ずかしくてできないだろうし…りゅうちゃんにもまゆにキスしてくれるような度胸ないから……りゅうちゃんに内緒でまゆのファーストキスを渡しちゃった。


「これからもずっと一緒にいてね」


そう言って、絶対離れない。ずっと一緒にいる。と表現するようにまゆはりゅうちゃんをぎゅっと抱きしめた。





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