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土曜日の朝。

近くの山に登りに行こうとしている登山客と同じ電車に揺られながら俺は目的地の浅川駅に向かっている。


『ふああ…』


大きい欠伸をする。

気分が休日のためか、特に夜ふかしなんかしていないのに眠く感じる。


『はあ…めんどくせ…』


独り言を呟く。

浅川から5駅くらいまで清掃するこの活動は夕方くらいまでかけて行う。

体力の無い俺は終わる頃にはクタクタになっているだろう。


そんな思いの中ぼーっとしていると、浅川駅に到着した。電車を降りて改札を出ると、数名見たような顔が集まっていた。


『おっ、きたきた』


俺の顔を見てそう言ったのは先週の委員会で指揮っていた先輩、名前は…なんだったか。


『えっと、おはようございます』


『うんおはよう、今日はよろしく』


笑顔でそう言ってきた。

先輩は動きやすそうなシャツとチノパンに、麦わら帽子のような物を被っている。

いかにも草むしりでもやりそうな格好だ。

隣にいる一年生の二人が普通の私服を着ているためかなり目立つ。


『あとは、君のクラスの女の子だけだね』


時間は10時直前になっていたが、佐伯はまだ来ていない。次に来る電車が10時ぴったりに着くので恐らくそれに乗っているか、寝坊して遅刻かのどっちかだろう。


『そうすね、次の電車に乗ってるんじゃないすかね』


『ところで、君たちはなんでこんな面倒なもの引き受けたんだい?』


先輩がそう言う。

お願いしといて面倒とかいうのはどうなんだ。


『おれはやる気なかったんですけどね、佐伯さんがやるって言って俺も成り行き…というより無理矢理連れてこられた感じです。』


『なるほど、まあそうだね、君はこんなものやりたくなさそうに見えるよ』


かなり失礼なことを言われている気がする。


『めちゃくちゃ馬鹿にしてませんかそれ』


『ははは!馬鹿にはしてないよ、寧ろそれが本心なら尚更きてくれたことに感謝しないとね』


そんな談笑をしていると10時になって、電車が来た。ここで佐伯は寝坊していなければ降りてくるはずだ。


『来ましたね電車』


改札の奥から続々と人が歩いてくる。

観察していると、佐伯がこちらへ走ってきていた。

…その格好は、短いスカートにゆったりとした肩の出てるブラウス。完全に私服だ…というか、絶対に虫に刺されるだろ…


『お待たせしました!佐伯です!』


先輩が若干苦笑いしていた。

こいつほんとに普段奉仕とか参加しているのか…?


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