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『とりあえず座ろっか』


佐伯と俺は二年の列にあった空席についた。

それを確認してか、前にいる先輩がすぐに喋り出した。


『えー突然集まってくれてありがとうございます。私は生徒会の中島です』


…なるほどそういうことか。

新学期始まって間も無い時期である今は生徒会が忙しい。

なので大方、生徒会が放課後にやるはずの仕事を休日に回して、クラスの代表という括りであるクラス委員に仕事を回そうとしているのと言ったところか。


『今日集まってもらったのは皆さんにお願いがあってです、実は急遽生徒会の方に明日清掃ボランティアのお願いが市から来たのですが、そちらの参加人数がとても私たちだけでは足りず皆さまへお願いすることになりました』


予想がぴたりと的中した。

しかし明日だとは…いくらなんでも急すぎる依頼だな。


『あ、勿論参加は自由です、なのでここの人数でも賄いきれない場合は別に有志を募ります』


クラス内がザワザワしている。相談でもしているのだろうか。

しかしよほどのことがない限り自由参加の奉仕なんて行くやつはいないだろう。


『蓮くん、どーするの?』


隣に座る佐伯が声をかけてきた。


『暇だし行けるっちゃ行けるが、面倒だな』


『あ、やっぱり面倒なんだ、こういうの嫌いそうだもん蓮くん』


すごい失礼なことを言われてる気がするが、普通はこんな急な依頼は行こうとする方がおかしい。俺は間違ってないと思う。


『そういう佐伯はどーなんだ』


『私は行くよ、明日暇だし』


『…え?』


つい聞き返してしまった。

まさか佐伯がこれに行くような物好きだと思わなかった。


『え…って、蓮くん私が行くこと意外と思ったでしょ』


『いやそりゃ、そーだろ』


『私ボランティアとかそういうのよく行くんだよー!だから今回も行くよ』


意外だった。

いやそもそも佐伯が普段何してるのかなんて知る由も無いのだが、割と休日とか遊んだりすることが多いのかと思っていた。


『どうかお願いします、4.5人でいいんです』


先輩が再度呼びかけをおこなっている。

しかし誰も手は上がらない。


『私たちのクラスやりまーす!』


佐伯が大きく手を挙げてそう言った。

………私たちのクラス?


『ほんとですか!?ありがとう!!』


すごく嬉しそうにに先輩が笑った。


『おい待て佐伯、俺行くなんて言ってないが』


『いーでしょ暇なんだし、それとも何かあるの?』


『いや、なんも無いけど…』


『はいじゃあ決まりね!』


佐伯ってこんな強引なやつだったのかとため息をつく。


しばらくすると一年生の二人が手を挙げて、参加者が揃ったようだ。


『ご協力ありがとうございます、それでは明日の参加してくれる方は10時に浅川駅へ来てください』


こうして俺の貴重な土曜日が潰れてしまった。

まあ仕方ない、これも経験だと思って割り切ろう。

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