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また夢を見ている。
『お母さん…嫌だよぉ…』
『なんで…俺を置いて…』
ミナと親父が泣いている。
11歳だった俺は、現実を受け止められなかった。
いつも当たり前にそこにいた人、一瞬でいなくなった。
死ねばいきなり全てが無くなる。
それは誰しもそうなんだと、その時初めて知った。
それなら、生きることの意味なんて無いんじゃないか。
その時からずっと考えてるが、答えが出ない。
『蓮くん、元気出して』
小さい綾がそう俺に語りかける。
『お母さんの分まで、蓮くんが生きなきゃだよ』
その生きる意味が、俺にはわからないんだ。
何をしても、何を考えても、何を夢見ようとしても、死が頭に過る。
死ねば全て終わり。何を積み上げても、死ねば意味が無くなると、あの日から嫌でも頭をよぎる。
だからって死にたいわけなんかじゃない。
死は怖い。
自分の存在がいなくなるのだ。
死んだらどうなるのか。
考え始めただけで頭がおかしくなる。
だから俺は、前に進むことができない。
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