page14
『完成〜』
キッチンの方を見ると綺麗なオムライスが出来ていた。ミナはオムライスが得意料理…ではなくすぐ作れるからよく作っている。
『またオムライスか、好きだな』
『まあ私一人の時は楽だし。あ、お兄ちゃんコーヒー飲む?』
ソファに寝転がってる俺に対しての提案。
いつもミナは一人で夕食を食べる時、寂しいのかコーヒーやらなんやらいれて俺や親父をテーブルに座らせようとする。
『じゃあ貰うわ』
『はーい』
そう返事をすると手際よくコーヒーを淹れてゆく。ほどなくして、ホットコーヒーがテーブルに運ばれた。
『サンキュー』
ソファからテーブルに移動して、仲良く着席。
二人でいただきますと言って、俺は淹れたてのホットコーヒーに手をかけ、口にした。
その時ふと前を見ると、ミナは食事をしながら俺の顔をまじまじと見ていた。
『なんだよ』
『いやさ、お兄ちゃん、なんかあった?』
ビクッと体が震えた。
平静を装ってたつもりだったのだが、いつもと違うように見えたのだろうか。
『なんでそう思った』
『いやさ、なんかいつもよりぼーっとしているというか、なんかわからないけど』
なるほど。
言われてみればぼーっとしていたのかもしれない。
『すごいな、流石妹だな』
『で、なにがあったの?教えてよ!』
ニコニコしながら俺に言ってくる。こうなると教えてくれるまで聞き続けてくる。
まあ別に教えるのはなんともないのだが、綾に情報が回るのは避けたいところである。
『綾に言わないって約束するなら教えてやるよ。』
『言わない!言わないです!』
目をギラッギラさせて俺の方を見つめてくる。
まあ釘は刺したし、相談に乗ってもらうとするか。
『なんか、同じクラスの女子に好きって言われたかもしれない』
そういうとミナの顔が一瞬キョトンとしたが、すぐに驚きの表情に変わった。
『ええ?えええ?本当に?お兄ちゃんが?』
声を荒げる。まあ驚くのも無理はない。俺は色恋沙汰をしてこなかったのだから。
『まあ間違いかもしれないけど』
『なんて言われたの?ねえ?』
『好きかもって』
『それからそれから?』
畳み掛けるように次々と質問を投げてくるが、残念だがこれ以上の話はない。
『いやそれだけ』
ミナの表情が再びキョトンとしたものに戻る。
『…え?それだけ?』
『ああ、それだけだな』
『好き"かも"なの?』
『ああ』
うーん…考えた素振りをした後、
困惑したような顔で俺を見てきた。
『えっと…その人とはいつからの知り合いなの?』
『今日初めて喋った。』
そう言うとはあ…と大きなため息をつかれた。
『お兄ちゃんが一目惚れされるわけないでしょ、からかわれてるか、なにかの間違いだと思うよ』
『あ、やっぱり?俺も間違いだといいと思ってるんだけど』
そう俺が言うとさらに大きいため息をつかれた。
『間違いだといいって…お兄ちゃん本当に恋愛興味無さすぎ!』
同意しただけでなぜか怒られた。どう言うことなんだ。
『なんで怒るんだ?てゆかしょうがないだろ、興味持てないんだし』
『そんなこと言ってるといつまで経っても彼女できないよ!お兄ちゃん無気力すぎる!』
そう言われて、胸にちくっと何か刺さる感覚に襲われた。俺が一番治さなきゃいけないと思ってる問題を見事に突かれた。
『まあ、そのうちな…』
『お兄ちゃん、本当にそろそろ変わらないとダメだよ。』
ぼそっと俺が呟いたら心配そうに返して来た。変わりたいとは…一番俺が思っている。
『ご馳走様でした、私部屋で勉強するから食器洗いはよろしくね』
そういうとミナは洗い場に食器を置いてすぐ、自室に戻っていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます