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『そういえば、蓮はなんの委員会入ったんだ?』


食事をしながら、優斗が訪ねてきた。

今日は各クラス委員会決めをやっていたので、皆の入った委員会が気になっているのだろう。


『俺は、クラス委員だよ』


『は?、え?クラス委員?』


『マジ?蓮が?』


優斗と竜也が2人して驚いた。

まあそう言う反応をすることを予想はしていた。


『珍し!なら俺も今年またクラス委員やれば良かったなー。』


湊は昨年クラス委員をしていたので、多分俺がやるって知っていたら今年もなっていたのだろう。クラス委員が楽ということも彼の情報で知り得ていた。


『なんというか、たまにはいいかなって。』


『まあクラス委員楽だしね〜。なんなら皆でやれば良かったな。』


『確かにそうだな。俺も合唱委員なんてやらないでクラス委員やれば良かったわ。』


優斗は昨年も合唱委員で、引き続き同じ委員会に入ったようだ。


『で、竜也はなんの委員会入ったんだ?』


スナック菓子のようなものを箸で摘んでる竜也に俺は尋ねた。


『俺か?俺は去年と同じ放送委員だよ。てか湊も同じなんだってよ。』


『そそー!去年の竜也楽しそうだったからさー!』


『すごいな。2人共かよ。』


優斗が驚いた声を上げた。自由に昼の放送を弄れる放送委員は人気が高く、うちのクラスでも何人か手を挙げていた。だから2人同時になれることはなかなか珍しい。


そんなこんなで談笑していると気がつけば1時間程経っていた。


『俺ちょっとトイレ行ってくるわ』


そう言って俺は席を立ち、トイレに向かった。


用を済まして、トイレを出て席に戻る途中、ビュッフェテーブルで食事を取っている佐伯藍那の姿があった。その時、たまたま佐伯はこちらを向いてしまい、俺の存在に気づいてしまった。


『やべ』


小声で呟く。そそくさと席に戻ろうとしたその瞬間に佐伯は口を開いた。


『あれ?蓮くんだ。』


『お、おう。』


ぼそっと返事をした。

優斗達が来る前にさっさと席に戻りたい。


『もしかして蓮くんも誰かときてるの?1人…じゃないよね流石に。』


ここに1人で来てたらどんな寂しいやつだよと心の中でツッコミを入れた。


『ほら、優斗とかいつものメンツできててさ。佐伯さんはクラスメートときてんだっけ?』


不思議そうな表情で佐伯はこちらを見てきた。


『え、あれ?もしかして私がいるの気づいてた?』


『あ、さっき見えたからさ。クラスの他のやつといるのが。』


そう俺が言うと佐伯はなるほどと頷いた。


『あれ?蓮なにしてんの?』


後ろから男の声が聞こえた。振り向くとそこにはよりによって一番面倒な湊が立っていた。

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