page7
『へえ、なんか変な感じだね。』
彼女はそういいながらクスッと笑っていた。
『なんか変か?』
『ううん。面白い人だなって。蓮くんと喋る機会あまりなかったし、なんかそういう面見れたの嬉しいな』
『どこが面白いのか俺にはわからないが、嬉しがってくれているなら何よりだよ』
そんな談笑をしている内に職員室に着いた。戸を開けるため手をかけようとすると、彼女が先に手をかけた。
『私呼ぶよ。蓮くんそこにいて。』
わかったと頷き、彼女は職員室に入っていった。
暫くすると石田先生と共に廊下へ出てきた。
『なんだ、桐谷もきたのか。1人でいいだろ呼びにくるのは』
それはさっき俺が言った。
『あ、着いてきたのは私の方なんです。桐谷くんに司会してもらったので、悪いなと思って』
隣で佐伯がすかさず口を開いた。全くその通りである。
『桐谷が司会だと?俺はてっきり佐伯がやるもんだと思ってたよ』
『めちゃくちゃ失礼っすね先生。ちゃんと俺が最後まで委員会は決めときましたよ。』
『へえ、意外だな。先生お前の評価をちょっと見直したいと思うよ。』
司会をちょっとやったくらいで上がる評価ってどんだけ俺の評価低いのかと突っ込みたくなった。先生の隣で佐伯はクスクスこっちを見て笑っていた。なんだか2人からいじめでも受けている気分だ。
『まあいいでしょ。さっさとクラス戻りましょうよ。』
『そうだな。まあ何はともあれ、初仕事お疲れさん。』
そう先生が言ってから俺達は職員室から自分達の教室の方へ歩き出した。
『しかし、先生は佐伯の方がクラス委員やるのは意外だったな。お前がこう言う役割やるのも初めてだろう。』
『あ、ただ皆少し前に出ることに興味があったというか。そんな感じです。』
すごくぎこちない感じで、先程の俺の言ったことそのまんまに、ニヤニヤしながら佐伯は言った。完全に馬鹿にされている。
『嘘ですよそれ。内申欲しくて立候補したみたいですよ。』
『あ、なんでそれ言っちゃうのー』
少しイラッときたので仕返しを込めて本当の理由を先生にちくってやった。
『なんだ、内申目当てか。まあでもそう言う理由でも人の前に出ると言うことは大事だぞ。』
もっと落胆したような答えが返ってくると思ったら、意外とまともな答えが返ってきた。
『そうですよね、何事も経験です。私頑張ります!』
元気よく佐伯が先生に決意表明をする。たかがクラス委員でそんな決意が必要なのかと思ってしまったが、もしかしたら彼女はかなり勇気を出して立候補をしたのかもしれないと思い、それは口に出さなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます