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昼休みが終わり、ロングホームルームの時間だ。
まだクラスメイトの半分くらいは席に座らず、散り散りになって先生が来るのを待っている。
暫くして、足音が聞こえた。恐らく石田先生のものだろう。間髪を開けずに教室のドアが空いた。
『ほれ、席に着けー。』
石田先生がそう言うとクラスメートは自席に着席し出した。20秒程で全員が席につき、ロングホームルームが始まる。
『さて、委員会決めを始めるんだが、まずはクラス委員を決めるぞー。』
クラスがざわついた。恐らく誰がやるかとかをクラス内でヒソヒソ話してるのだろう。俺が知る限りこのクラスにはクラス委員になりたいほど積極的なやつはいない。決まるまでに時間がかかりそうである。
『ねえ、クラス委員は流石にやらないわよね。』
前にいる綾がこちらを向いて言ってくる。
『…まあ特にやろうとは思ってなかったな』
『そう、よね。流石にクラス委員はね。』
綾にはそう言ったが、うちの学校のクラス委員が意外に楽であることを俺は知っている。別にやってもいいくらいには。
『成り行きねえ…』
朝自分で言ったことを思い出した。
俺はいつも成り行きに身を任せて生きている。
たまには、自分の意思で何かをやってみるのもいいのかなと、ふと思った。
『先生俺やりますよ』
手を挙げて俺は立ち上がった。
前を見るとこちらをポカンとした表情で見つめる綾の姿があった。
『お、桐谷が手を挙げるなんて珍しいな。そしたら男子のクラス委員はキリヤで決まりだな。』
マジか、意外などの声が周りから聞こえてきた。
まあ俺は今まであまり前に出るような役はやってこなかったが故、クラスメートからはそう見えたのだろう。
着席すると間髪入れずに綾がこちらを向き喋りかけてきた。
『あんた…どうしたのよ。クラス委員なんてやる人間じゃないでしょ。』
『別にいいだろ。クラス委員なんてやることねーし。なんならお前もやるか?』
『え、クラス委員は…』
綾は口を紡いだ。まあクラス委員は特に目立つ作業が無いため楽ではあるが、そこそこ時間拘束される役目である。忙しい綾には厳しいだろう。
少しニヤついた目で綾を見ていたら、彼女が少しだけ睨みながら口を開いた。
『もうっ、わたしには無理よ。全く、知ってて言ってるでしょあんた。』
こちらの表情で察したのか、ご名答と言わんばかりの返しをしてくる。
綾がそう言った後、程なくして先生が口を開いた。
『誰が女子でクラス委員やりたいやつはいないのかー』
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