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『はあ…はあ…やべえ…人生で一番疲れてるかもしれん…』
まだ肌寒い気温の中、無我夢中で自転車を漕いでいたことで身体中が熱っていた。
時刻は8:10、学校のすぐ近くの坂を登っていた俺はとりあえず間に合うことが濃厚となったことで安堵し、漕ぐスピードを落とした。
『蓮じゃん。珍し、自転車で登校かよ。』
後ろから声が聞こえて振り返る。そこにいたのは自転車を漕ぎながら片方のイヤホンを外しこちらを見ていた…同級生の平野優斗だった。
『はあ…はあ…おはよう、ゆうと…』
『うわ!お前汗ビショビショすぎるだろ…どうした?寝坊でもしたのか?』
『当たり…7時半に起きた。』
『なるほど、それで自転車登校ってわけね。』
俺は普段自転車は使わず、バスと電車で登校している。寝坊して遅刻しそうな時は、自分が頑張れば40分で学校につくことができる自転車で登校することを選ぶ…のだが、家から学校まではとにかく坂が多く、よっぽどのことがない限りは使いたくない手段だ。
『優斗は家が近いから羨ましいよ…自転車で20分だもんな…』
『まあな。辺境の地からこの学校選んだ蓮が悪いんだよ。』
馬鹿にしたかのような声で優斗がこちらに言ってくる。どちらかと言えば辺境の地はこの学校なのだが…何度もしたやりとりなので一々は言い返さない。
『で、今日チャリなら、どこか遊びにいこーぜ。』
『ああ、いいよ。どこいく?』
『そうだな…晩飯でも食いに行くか。気になってたバイキングがあってな。他にも声かけとくわ。』
俺らは食べ盛りの年頃ということもあり、とにかく夜ご飯を食べに行くことが多い。優斗が言う他のメンバーとは、俺の属するグループみたいなものにいる2人のやつのことだ。
『OK。じゃ放課後は空けとくわ。』
そんな話をしていたら気づけば学校に着いていた。
時刻は8:20。あの寝坊をかました俺にとっては、上出来すぎる登校時間だ。
自転車を止めた俺たちは、登校口で上履きに履き替え、階段を登る。二年生の教室は三階で地味に毎日疲れる。ちなみに俺は1組、優斗は5組で、昼休みなどでなければ滅多に顔を合わすことはない。
『じゃ、詳細決まったら後で連絡するわ。』
三階に着くと優斗が言った。
『おう、よろしくな。』
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