第15話 燦々と輝く向日葵
『こんにちはー、友達くん! 向日葵(ひまわり)の姉の燦(さん)だよ。よろしくー!』
セクシー系露出お姉さんこと、燦さんはこちらを気にせず気さくに迎え入れてくれた。あまりに大っぴらにされて、流石に何て言えばいいのか分からず、一瞬で動作停止してしまった。
ただ、ここまでオープンな感じであれば、逆にこっちが意識してしまう方が間違いのような気がする。もしかすると夏ノ宮家ではこういうのが普通なのかもしれない。むしろ郷に入っては郷に従え。こちらも脱ぐべきかとさえ思っていた。
が、夏ノ宮が大声を出す。
「おねーちゃん、何やってるの! 早く隠して! 服を着てきて! ……って、たつたつも何を見てるの! 反対を向いてて!」
どうやらこれはこの家のルールでもなかったようだ。
つまり、このハイパー美人さんは残念露出系美人さんだったようだ。
「改めて、こんにちは、友達君! 燦だよ」
服を着てから部屋に戻ってきた燦さんと自己紹介をし直した。
「こんにちは。水ノ宮 達也(みずのみや たつや)です」
「あー、もしかして君が噂の『たつたつ』君かい?」
噂されるほど全国レベルのことをした記憶はない。となると、夏ノ宮から何かを聞いていたのかもしれない。
「向日葵からたくさん話は聞いているよ! そっかそっかー、君がたつたつ君かー」
どんな話をされているのだろうか。気になる。
「えーっと、ちなみにどんな話を……?」
「それはねぇー」
「おねーちゃん! もー、何も言わないで!」
なぜか顔を赤くしてすごい勢いで燦さんを止めた夏ノ宮。
「分かってる、分かってるって! まぁ、たつたつ君これからよろしくね!」
「はぁ、よろしくお願いします」
要領を得なかったが流すことにした。……もし、悪口なんて言われていたら生きていけなくなるし。
「うんうん! 私のことは、『燦さん』でも『お義姉さん』でも好きに呼んでね」
なんか違和感のある『お姉さん』のイントネーションだったような気がする。ただ、お姉さん呼びはなんか照れくさいので、素直に燦さん呼びにすることにした。
それから今日来た理由を話した。燦さんはさらっとOKしてくれて、先にお風呂を進めてくれた。
変に気を遣わせるのも悪いだろうし、ありがたく先にシャワーを貸してもらった。なんとなくの気配であるが、シャワー室に入った後、姉妹で二人だけの話し合いをしているようだった。
流れでシャワーを借りているが、女の子の家にきてシャワーを浴びているなんて、不思議な気分だ。というか、少し興奮する。……もちろん、何かあるわけではないのだけれど。
それから、さっとシャワーを浴びて、夏ノ宮と燦さんもシャワーを浴びた。
しかも、すき間時間に燦さんは近くのコンビニまで言ってお菓子とお酒などを買ってきてくれた。
「せっかく3人で見るんだし、飲まなきゃね!」
こうして、心霊動画鑑賞会は始まった。
そして、それから4時間後、どうしてこうなってしまったのだろうか。
ベッドの上に倒れ込んだ夏ノ宮に覆いかぶさる様に両手をついている。
そうして、夏ノ宮が潤んだ瞳でこっちを見ながらこう言った。
「……ねぇ、たつたつ。本当にえっちしないの?」
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